タイタニック号、女性の生存率は53%高かった。危機に見る "貴族の振る舞い" とリーダーシップ。

意欲あるビジネスパーソンの多くが、リーダーシップやマネジメント能力など、「上に立つ者」に求められる能力について一生懸命学んでいることと思います。リーダーシップとは何か、マネージャーに必要なスキルは……こうしたことを説くビジネス書も数多く出版されていますし、セミナーに参加したことがあるという方も多いのではないでしょうか。

しかし、そうしたスキルを学ぶだけで、果たして立派なリーダーになることができるのでしょうか?

人の上に立つ者に必要なのは、本や講師の話から学べるようなスキルだけではないのです。今回は歴史的観点から、「上に立つ者が果たす義務」について考えてみようと思います。

タイタニック号の貴族は勇敢だった

レオナルド・ディカプリオが主演し大ヒットとなった映画『タイタニック』。豪華客船タイタニック号の沈没事故をドラマチックに描いたこの作品では、主人公とヒロインのロマンスだけでなく、沈みゆく船内で露呈する、人間の汚い部分も描かれています。

ヒロインのフィアンセである貴族が、嘘をついて我先にと救命ボートへ乗り込んだシーンを覚えている方も多いでしょう。映画『タイタニック』では、富裕層の人間は悪いイメージで描かれていました。

しかし、実際のタイタニック号の船内では全く違う光景が見られた、という研究が発表されたのです。

(スイス・チューリッヒ大学の)研究チームは、「ノブレス・オブリージュ(社会的地位の高い者の責任)」、あるいはマナーの良さが、救命ボートへと殺到することに何らかの影響を及ぼした可能性があるとの見方を示した。 (中略)研究チームは、タイタニック号のような状況下においても「女性や子どもを優先する」といった社会規範が、氷山衝突からおよそ3時間にわたって維持され続けていたと結論づけたという。

(引用元:AFPBB News|英国人は避難より紳士道を優先か、タイタニック号沈没で研究

実際のタイタニック号では、女性の生存率は全体に比べ53%も高く、児童の生存率も15%高かったといいます。

この研究結果で言及されている「ノブレス・オブリージュ」は、元はフランス語で、上のニュースでも紹介されていた通り「社会的地位の高い者の責任」と訳される言葉です。この考え方は古くからあるもので、「地位の高い者が持つ特権には責任を伴う。義務を負うことによって、特権を持たない人々との間の釣り合いをとるべきだ」という倫理的な考えから生まれたものなのだとか。

持つ者が与えなければならない理由

しかし、いくら倫理的、道徳的に正しいからといって、本当に「ノブレス・オブリージュ」なんてものが理解され、広く浸透していたのか、疑問に思いませんか?

誰だって、自分の所有物を分け与えるのは嫌なはず。他人よりも自分の身を可愛がり、その感情に沿って行動するのは、当然のことでに思えますよね。

にも関わらず「持つ者が与える」という文化が生まれたのは、一体どうしてなのでしょうか。その理由を、"プロブロガー" であるイケダハヤト氏はこのように語っています。

どれだけ社会的に恵まれていても、人生には不運が付きまといます。運悪く事故に遭って働くことができなくなること、病気にかかって寝たきりになること、最悪死ぬこと、すべて、誰もが否定することができません。ノブレス・オブリージュを実践する人々は、そういう未来を自分ごととして捉え、「自分のために」恵みを循環させます。大きな恵みの循環をつくっておけば、いざ自分が没落した時のセーフティネットになるからです。

(引用元:まだ東京で消耗してるの?|ノブレス・オブリージュと日本人

このように考えた時、「ノブレス・オブリージュ」の精神はヨーロッパだけのものではない、と気づくことができます。日本でも古くから「情けは人のためならず」という諺とともに受け継がれているのですから。

自分のために、下の者に与える。この考え方は、タイタニック号の沈没といった非常事態だけでなく、日常生活でも生きるはずです。

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ノブレス・オブリージュを実践してみよう

「ノブレス・オブリージュを日常生活で生かす、と言ったって、別に貴族ではないし……。」 「人の上に立つ、だなんて、そんな大それた経験したことないし……。」

こう思う方もいるかもしれませんね。もちろん、大きな事故や、多数の命がかかった場面で、「ノブレス・オブリージュ」の精神が欠かせないのは当然です。ただ、そのような場面はまれですから、実践の機会がないように思えてしまうのです。

でも、よく考えてみてください。「ノブレス・オブリージュ」の原点である「情けは人のためならず」という考え方に立てば、あなたにも実践の機会があるはずです。部下やチームメンバーに情けをかければ、いつかそれは自分に対する信頼となって、返ってくるのです。

「面倒だな」と思っても、後輩に仕事のやり方を教える。 自分の仕事で忙しくても、部下と一対一の面談の時間を設ける。 疲れていても、手が足りず困っているチームメンバーの仕事をフォローする。

こうした何気ない「与える」という行為が、「ノブレス・オブリージュ」の精神そのものではないでしょうか。

*** 上に立つ者が持つべきリーダーとしての資質とは、優れたリーダーシップを発揮することや、マネジメント能力を身につけることだけではありません。必要なのは、下の者に丁寧に尽くすことではないでしょうか。

ぜひみなさんも今日から実践してみてください。

(参考) AFPBB News|英国人は避難より紳士道を優先か、タイタニック号沈没で研究 まだ東京で消耗してるの?|ノブレス・オブリージュと日本人 Wikipedia|ノブレス・オブリージュ

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