勉強には予習・復習が大事と言われます。しかし、自分なりに予習・復習はしているけれど、なかなか効果が出ないと悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
予習・復習は、ただ漫然としているだけではあまり意味がありません。予習と復習には、それぞれにおいて大事にすべきことがあり、それをおさえているかいないかで、成果が目に見えて変わってきます。では、予習と復習を進めるうえで何をおくべきなのか、考えてみましょう。
望ましい予習・復習の流れ
授業の前後に予習・復習することを考えた場合、「予習する→授業に臨む→復習する」というのが一般的な流れであり、多くの人が実践しているものだと思いますが、今回筆者は次のような流れを提案したいと思います。
「予習する→予習したことを復習する→授業に臨む→復習することの予習をする→復習する」
下線を引いたところが、予習と復習、それぞれの過程にプラスしたいこと。次からは、流れに沿って、詳しい内容を紹介していきます。
1. 予習のあとは、予習の復習を
予習とは、授業で学習することを、前もって教科書を読んで確認したり、問題を解いてみたりすること。このレベルであれば、予習をする人なら当たり前にやっていることかと思いますが、予習の効果を上げるためには、さらに一歩進んだ「予習の復習」をすることを心がけましょう。
予習の復習とは、「予習した内容に再度目を通し、予習段階での不明点や引っかかりを言葉にして残しておく」ことです。
予習の復習をきちんとしておけば、自分の理解不足を補おうという意識が生まれ、授業の聞き方が変わってくるはずです。また、予習で生じた疑問点については、予習段階での自分の考えを明確にしておくことが大切。「この問題は○○という解き方が合っていると思っていたのに、それではだめなのはどうしてだろう」と、疑問に思った内容を具体的な言葉にしてメモしておきましょう。
ただ漠然と読んだり、解いたりするだけでは不十分。予習の復習をしっかり行っておくことで、学習内容の身につき方が格段に違ってきますよ。ここに挙げたポイントに注意して、予習に取り組んでみてください。
2. 授業中は、予習内容との照らし合わせを
授業では、予習の復習で明らかにしておいた不明点や疑問点を、先生の話としっかり照らし合わせて、ひとつずつ解消していきましょう。
予習ではわからなかったところがどうしてわからなかったのか、きちんと考えながら授業を聞くことが大切です。曖昧なところは残さないつもりで聞くようにします。
授業は、新しいことを学ぶ場ではなく、予習段階では理解不足であった内容をしっかり理解する場として臨みましょう。そうすれば、予習で1回、授業で1回、と2回学んだことになりますので、記憶の定着力もアップしますよ。
授業を聞きながら、新たな疑問やどうしてもよく理解できない点が出てきたときは、その場でメモしておいてください。その点が復習の際に力を入れるべき箇所となります。
3. 復習の前に、復習の予習を
授業が終わったら復習をします。予習と同様、ただ漠然と復習するだけでは効果半減。ここで意識して取り組みたいのが、「復習の予習」です。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、復習の予習とは、授業では何を学んだのか、何を復習するのか、どの程度時間をかけるか、復習についての計画をきちんと立てるということ。もちろん、きちんと言語化してメモしておきましょう。
本格的な復習に取り組む前に、復習すべきことは何なのか、思い出しておく時間を取りましょう。その点を意識して、疑問点や未習熟な箇所を解消するべく、復習に取り組んでください。すでに授業までの段階で2回学んでいますが、復習の段階でさらに学ぶことで、記憶がより強固になり、勉強が完成します。
*** 勉強は予習・本番・復習の3本柱が重要です。今回は、特に予習・復習に関する大事なポイントを紹介しました。
勉強で差をつけるのは、予習の「復習」、復習の「予習」。ここが、予習と復習の本当の大事な部分なのです。普段から予習・復習に取り組んでいる人こそ、ぜひ意識して取り組んでみてください。
(参考) 篠ヶ谷 圭太(2011), 「学習を方向づける予習活動の検討—質問に対する解答作成と自信度評定に着目して—」, 教育学心理学研究, No. 59, pp. 355-366. 篠ヶ谷 圭太(2012), 「学習方略研究の展開と展望―学習フェイズの関連づけの視点から―」, 教育学心理学研究, No. 60, pp. 92-105. 篠ヶ谷 圭太(2013), 「予習時の質問生成への介入および解答作成が授業理解に与える影響とそのプロセスの検討」, 教育学心理学研究, No. 61, pp. 351-361. Study Hacker|勉強は段取り八分。京大生が勧める効果的な計画の立て方