「きちんと復習してください」というのは、もはや決まり文句。少なくとも1度は言われたことがあるでしょう。
授業で一度聞いただけの内容を完全に理解し、ずっと覚えていられる人は滅多にいません。分かったつもりになっていることはよくありますし、1日もすれば多くのことを忘れてしまいます。そのため、やはり復習することは大事なのです。
では、復習をするといっても具体的に何をすればいいか教わったことはありますか? 「復習しておいてください」の一言で終わってしまうことがほとんどでしょう。効率的な復習の仕方は科目によっても違うものですし、監督者がいないため自己流になりがち。
もちろん自分に合った方法があると思いますが、よくある復習の方法にはいくつかの落とし穴があるのです。今一度、自分のやり方を振り返ってみてください。
「読むだけ復習法」の落とし穴
復習のやり方として、文章を何度も読むだけというものがあります。何度も何度も同じ文章を読むと、内容の理解が進んでいきます。そうなるとすべて完璧に覚えてしまったように感じてきます。
しかし、これが落とし穴なのです。
例えば、好きでよく聴く曲がお店などで流れていたとします。聴けば、すぐにその曲だとわかりますよね。しかし、その曲を頭から歌ってみて、と言われたときに歌詞を間違えずにちゃんと歌えるでしょうか? 歌ったことがあれば歌えるかもしれませんが、聴いていただけでは完璧に歌うことは難しいでしょう。
復習においても同じことが言えます。「読むだけ復習法」で化学を勉強したとき。 「固体から液体は融解、液体から気体は蒸発、液体から固体は凝固、気体から液体は凝縮」 これを何度も読めば、4つの状態変化に対し、融解、蒸発、凝固、凝縮の4つの単語が対応していることは分かるでしょう。
しかし、「文字列を見て認識すること」と「言葉を思い出すこと」は全く違うもの。「認識できるようになること」は簡単ですが、「思い出せるようになること」は大変なことなのです。
“読むだけ復習法”では、自分で思い出せないまま終えてしまう可能性があります。そのため、「知っている」だけではなく、「アウトプットできる」状態まで持っていくことがポイントなのです。ただ読むだけでなく、問題を解くなどして、アウトプットする機会を設けるようにしましょう。
「まとめて復習法」の落とし穴
1つの科目をまとめて一気に復習しよう、という威勢のいい方法が“まとめて復習法”です。筆者も高校時代はこの勉強法をよくやりました。何と言っても、1つの科目を粘り強く続けるので、終わった時の達成感は心地良いものです。
しかし、このやり方は効果的ではありません。確かに復習直後は膨大な量の情報が頭の中に詰め込まれていますが、全てをずっと覚えていられるわけがなく、どうしても忘れてしまうもの。一回復習しただけでは、いずれ頭から抜けていってしまうのです。
カリフォルニア大学のKornell教授による研究で、被験者の90%が一気に復習した時よりも複数回に分けて復習した時の方がより良い学習理解度を示していたことがわかりました。
復習は、何回かに分けて行い、「前回覚えたけれど忘れてしまっている」という内容を補いながら進めていくのがオススメです。「長時間やってやったぞ」という達成感に惑わされず、こまめに数回に分けて復習するようにしましょう。
「蛍光ペンで線引き」の落とし穴
大事だと思うところには、よく蛍光ペンで線引きをしますよね。これで、何が重要かを自分で見抜き、次に見たときに分かりやすくなります。かなり能動的な勉強法だと思いますよね。
しかし、このやり方は効果がほとんど得られません。逆に、勉強を手助けするどころか妨げになっている、という研究結果さえ出ています。
アメリカの大学のDunlosky教授によると、生徒は線を引いた部分にばかり注目し、文脈や全体像を掴めずにいたそうです。この方法では、きちんとした内容理解ができません。
大事な部分はもちろん、その前後にある事柄との相互関係を意識した勉強を心がけましょう。
*** 勉強法だけでなく、復習にも気をつけるポイントがあります。なかなか効果が出ないと感じたら、上の項目に当てはまっていないかチェックしてみてくださいね。
(参考) The Guardian|The way you're revising may let you down in exams – and here's why BBC News|evision techniques - the good, the OK and the useless TIME|Highlighting Is a Waste of Time: The Best and Worst Learning Techniques BBC - Future|Memory: Why cramming for tests often fails Williams Sites|Nate Kornell Kent State University|John Dunlosky