「PDCA」を回しまくっている人が時代遅れなワケ。世界は “まずはやる” 方式にシフトしている。

「PDCA」という言葉。知らない人はいないと言えるほど、日本のビジネスにおいて広く浸透している言葉ですよね。

でも、このPDCAはもう時代遅れかもしれません。なぜならば、世界では今、それに代わる「デザイン思考」が主流になりつつあるからです。いつもPDCAを回しているつもりの人は、自分自身の仕事を知らず知らずのうちに “遅くしている” ことを、今すぐ自覚するべきです。

“変化し続ける世界” にPDCAはそぐわない

「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(評価)」→「Act(改善)」→「Plan(計画)」→……というサイクルを回してビジネスを進めていく「PDCA」が、なぜ時代遅れになりつつあるのか。それを理解するには、PDCAが考案された当時の時代背景を知る必要があります。

実は、PDCAという言葉は日本人が作ったのです。戦後、来日した統計学者デミングによる統計的品質統制 (SQC, Statistical Quality Control)をテーマにした講演がきっかけです。デミングは師であるウォルター・シュワートの『仕様 Specification →生産 Production → 検査 Inspection 』からなるシュワートサイクルから影響を受けた『設計(Design)→生産(Produce)→販売(Sell)→再設計(Redesign)』のサイクルを説明しました。(中略)この講演を主催した日本科学技術連盟(日科技連)の幹部がデミングの講演を聞いたあとに打ち出したのがPDCAなのです。

(引用元:ハーバー・ビジネス・オンライン|日本を支配する呪縛「PDCA」は日本ガラパゴスの概念。激変する現代社会では新しい理論が必要

このPDCA、当初は工場などにおける品質管理の場で用いられ始めたものでした。そして、その有効性が認知されるや否や、PDCAは品質管理の世界を飛び出します。企業経営やマーケティング、さらには個人の仕事の手順にまで応用されるようになったのです。

でも、そもそもPDCAがどんな世界を想定して考案されたものなのかを理解している人は、そう多くないかもしれません。

じつは、PDCAが前提としているのは、あくまで “想定外のことが起きない” 世界。つまり、「常に安定しており、かつ心理や感情など人間的要素が関わらない環境」の中で継続的に改善を繰り返して品質を高めていくというシーンで使うのであれば、確かに有効なのです。しかし、“いつも想定外のことが起きる” “昨日と今日で状況が変わる” といった「先がまったく読めない」環境では、そもそも最初の「P(計画)」の立てようがありません。そこでPDCAにこだわりすぎると、かえって物事が前に進まなくなる原因にもなり得るのです。

経済ジャーナリストの井上久男氏は、アメリカと中国での取材を通じて、海外では経営の意思決定がとにかく速いことを痛感したそうです。一方、「日本企業は総じて意思決定が遅い」と述べています。

昨年、イスラエルの投資セミナーのようなイベントを取材した際にも、冒頭で講演したイスラエルの人が「すぐに決めない人は、今日は帰ってください。日本企業は、提携や投資などを最終決定するのに時間がかかり過ぎる」と言っていた。日本企業はどうやら「決められない病」にかかっている、と世界からはみなされているようだ。 (中略) 日本の企業は、Pづくりにこだわり過ぎて、社内調整に時間を浪費しているように見えてしまう。そして、Pが出来上がった時には情勢が変化してしまっている。

(引用元:YAHOO!ニュース|日本が世界から劣後する一因が「PDCA」のやり過ぎ 世界は「デザイン思考」にシフト ※太字は編集部にて施した)

この話は、企業風土のみならず個人の仕事にも当てはまるでしょう。失敗するのが怖くて、最初の計画をとにかく完璧に作り込みたがる。でも、その間にもビジネスの世界は動いています。気づいたときには、他社や同僚に先を越されていたりする可能性だってあるのです。では、ほかにもっと良いメソッドはないのでしょうか?

「デザイン思考」が仕事スピードを速めてくれる

おすすめしたいのが、シリコンバレーのビジネスパーソンも重視しているという「デザイン思考」です。端的に言えば “デザイナーが行なう、問題解決のための考え方” のこと。デザイン思考では、以下の手順にしたがって物事を思考していきます。

1. 共感:ユーザーを観察し、そこで得られたさまざまなデータを分析することによってユーザーの価値観を理解する 2. 問題定義:観察したことから、ユーザーすら自覚していないような解決すべき課題を定義づける 3. 創造:できるだけ多くの解決策を用意し、ブレーンストーミングを繰り返すことでオリジナルの解決策を作り出す 4. 試作:アイデアを可視化するためにプロトタイプを作り、新たな気づきを得る 5. 検証:プロトタイプをユーザーに使ってもらい、そのフィードバックをもとに改善を行う

正解を捉えることが難しい今の時代は「潜在的なニーズ」を探し出すことのほうが重要だと、前出の井上氏も述べています。そのためのベースとなるのが「共感」から始めるアプローチ方法です。

20年前、人々は新しい製品が出ると、その情報を受動的に受け取り、仮にその製品が多少使いづらかったとしても、他製品とそれほど比較することなく受容していました。しかし、インターネットやスマートフォンの普及によって、人々が能動的に情報を受け取るようになると、あふれんばかりの商品が目につくように。そのため消費者は、少しでも自分の求めるものでなければ、その商品を必要としなくなりました。そこで必要になるのが「共感力」というわけです。共感から得られたニーズを分析し、その解決策となるアイデアを練っていくことになります

例えば、iPodはこのような「デザイン思考」によって生まれました。心理学や人間工学の専門家35名により、たった11ヶ月足らずで開発されたそうです。約2ヶ月で100ものプロトタイプが開発され、そのプロトタイプの改善が幾度となくなされました。そして、発売後に瞬く間に世界を席巻したことは説明するまでもありませんね。

「まずはやってみる」が大事

こういったデザイナー的才能は先天的なものだと思われがちですが、じつはアメリカでは “教育によってデザイン思考は身につく” と考えられています。デザイン思考を身につけるには、どうすればいいのでしょうか。心がけるべき4つのことをご紹介しましょう。

1. 常にユーザー志向 新規事業を立ち上げるときを想定してみましょう。その事業から生じる利益やコストにばかり意識が向くようになってしまいますが、そのようなときこそ「ユーザーが求めていること」に注意を向けるのが肝要です。「ユーザーが本当に悩んでいることは何か?」「どのように解決するのか?」「なぜ必要なのか?」といったユーザーの視点を思考の軸にしましょう。

2. コミュニケーションを重視する チームや関係者とのコミュニケーションを活発にしましょう。良質なアウトプットはコミュニケーション量に比例するといいます。些細な事柄であったとしてもオープンに話し合える環境作りを意識しましょう。

3. まずは作ってみる 前述したように、まったく新しいモノの完璧な答えはユーザーにしかわかりません。そのため、完璧な状態を最初から目指すことは不可能。なるべく早い段階でプロトタイプを作り、ユーザーに触ってもらうことが重要です。質を高めるのは、その後でいいのです。

4. 1つのアイデアに縛られない 1つのアイデアに縛られてはいけません。時代によってユーザーの求めるものは変化していきます。そのため、「これがユーザーの求めるモノだ!」と提示したとしても、時と場合によってはすでに時代遅れになっている可能性も。単一の考え方に縛られず、「これがダメだったら次はこれで」ぐらいのフットワークの軽さを持つことも大事です

*** PDCAに頼りすぎるのは危険です。これからは「デザイン思考」を仕事に取り入れ、すばやいスタートを切れるようになりませんか?

(参考) ハーバー・ビジネス・オンライン|日本を支配する呪縛「PDCA」は日本ガラパゴスの概念。激変する現代社会では新しい理論が必要 I&company|「OODAループ」と「PDCA」の違い [ビジネス] YAHOO!ニュース|日本が世界から劣後する一因が「PDCA」のやり過ぎ 世界は「デザイン思考」にシフト btrax|【やっぱりよくわからない】デザイン思考ってなに? SCIENCE SHIFT|人生に、仕事に効くデザイン思考、その先のアート思考〜イノベーションプロデューサー・biotope佐宗氏が学生に伝えたいこと ITmediaマーケティング|第5回 「PDCA」の意外な歴史と本質

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