「友だちゼロ人」最強説。なぜ “群れたがる人” は一流になりきれないのか?

「“ぼっち” なんて嫌だから、とにかく友だちが欲しい」 「SNSで多くの人とつながっていないと不安だ」 「嫌われたくないから周囲に合わせよう」 こんな息苦しい生き方をしている人はいませんか?

人付き合いがそれほど得意ではないにもかかわらず、無理に他人と関わろうとしたり周囲に迎合しようとしたりするのは、あまり得策とは言えません。なぜならば、人生が窮屈になってしまうのはもちろん、この “同調する” という行為が、あなたの成長を阻んでしまうから

日本人にありがちな「同調しまくる」ことの弊害と、その解決法を探りましょう。

同調しまくる弊害1:ひとりで物事を考えられなくなる

「ひとりでいるのが怖い」というのは、確かに自然な感情かもしれません。“みんなで一緒に” を是とする教育がこれまでの日本で行なわれてきた背景もありますし、何か新しいことを始める際にも、ひとりだと不安が付き物であることは皆さんもご経験済みでしょう。しかし当然のことですが、いつも周囲に同調していては、ひとりで物事を考えられなくなります

米国公認会計士でエデュビジョン代表取締役の午堂登紀雄氏は、SNSの存在が当たり前になった “常時接続” の時代だからこそ「孤独力」を獲得する必要があると述べています。この孤独力、言い換えれば「ひとりで物事を切り開く力」のこと。決して、他人との接触を避けて “物理的な孤独の状態” を推奨するという性質のものではありません。人とは関わり合いながらも、自分の意思を主軸に置いて自己責任で生きる力のことです。

それが育つと、過剰に他人の目を気にして行動するとか、人からどう思われるか気になって本音が出せないとかといったことが少なくなります。そして、無理に自分を抑えてでも誰かと一緒にいなければならないとか、友達がいない人間は価値が低い、などという強迫観念もなくなります。 誰にも依存せず、すべてを自分で決められる(決める)という意志がある。すべてを自分で解決できる(する)という覚悟がある。他人のネガティブな影響を受けず、ポジティブな影響だけを自らの判断で選んで受け止めることができる。外的な要求や圧力に屈することなく、自分の意思と信念で自分の行動を選別できます

(引用元:Business Journal|常に他人の目を気にして「窮屈な人生」を送るキミへ…「孤独を楽しむ力」で解放!

逆に言えば、同調しまくっている人は、この「孤独力」が充分に鍛えられていないということ。いつも周りの意見に乗っかったり他人に頼りすぎたりしているようでは、いざ自分ひとりで突き進まなければいけない状況になったときに、足踏みしてしまうこと必至です。昇進して重要な決断をする機会が増えたとき、将来のための独学が必要になったとき、プロジェクトリーダーを任されてチームを動かさなければいけなくなったとき……。自分の行動を導いてくれる人は、もういないのです。

同調しまくる弊害2:クリエイティビティーが発揮されない

スパイダーマン、超人ハルク、X-メンなどのアメリカンヒーローを生み出してきた漫画原作者のスタン・リー氏は次のように述べています。

「私にとって、他人とは知的好奇心を刺激し、たのしませてくれるものなんだ。だから多くの人と関わることは、私にとってとても大切なこと。でもその刺激は、そのままでは形にならずに流れていくだけ。その刺激が何かを生み出すためには、ひとりにならなければならないんだ」

(引用元:プレジデント・オンライン|SNS好きな人が実社会で活躍できない理由

同様に、傑作『失われた時を求めて』の著者であるプルーストも、自室に引きこもりながら執筆していたのだといいます。彼は、フランス・パリのオスマン通りのアパルトマンの自室の部屋のドアを締めきり、華やかな社交界とは一線を引きながら創作にふけったのだそう。

クリエイティブな人は、独創的なアイデアをひねり出すときには孤独を選択しますたとえ外界から何か刺激を受けたとしても、その刺激を “使えるアイデア” としてまとめるためには、ひとりになるのが最も効率的なのでしょう。心理学者のスコット・バリー・カウフマン氏は次のように述べています。

1人でいると、自分が普段は目をそらしているものまで含めて、さまざまな側面に思いを馳せることになる。だからこそ、1人になってスローダウンし、良いものも悪いものも含めて自分のアイデアに耳を傾けなければならない。クリエイティブな仕事をするうえで、ある程度の孤独は欠かせないのだ。

(引用元:東洋経済オンライン|現代人は「孤独は悪い」と勘違いしている

いつも人と一緒にいたがっている人は、自分のクリエイティビティーを充分に発揮できていない可能性があります。みんなと意見を出し合うことも大切ですが、良いアイデアを創出するためにも、たまには「ひとりでいる時間」も設けたほうが良さそうです。

同調しまくる弊害3:物事の本質が見えなくなる

「みんなに合わせなければいけないのではないか……」 こんな “同調圧力” が働いている空間、ちょっと居心地が悪いですよね。この同調圧力、わかりやすい言葉で言い換えれば “場の空気”。「その集団の一員であり、その集団の規範を守らなければならない」という雰囲気がどこかで生まれてしまっているのです

たしかに、集団や組織の中に溶け込むのも大切です。また、特に日本という国では、空気を読むことが “ある種のマナー” として認識されている部分もあるでしょう。しかし、元LINE代表取締役社長(現在はC Channel株式会社代表取締役社長)の森川亮さんは、空気を読むことに気を遣いすぎると「物事の本質が見えなくなる」と指摘しています。

日本は何か空気を読むとか、評価でも「協調性がない」とか、変なことに気を取られて本当に大事なことを見失う場合が多いんじゃないかなと思ってて。そういうのが気になるんですよね。

(引用元:ログミー|南場智子氏「できる奴ほど全く空気を読まない」 DeNAとLINEに共通するユーザー目線のガチ文化とは?

場の空気に影響されすぎて、物事の問題点や本質をつかみ損ねたら元も子もありません。例えば会議の場で、本当は「あまり良い案ではないのではないか……」と思ったとしても、上司の存在や会議の雰囲気に恐々として言い出せなかったら、のちのち大変なことになるかもしれません。空気を「読まない」ことと「読めない」ことは意味が違います。空気を読めたうえで「読まない」決断ができるビジネスパーソンこそが、最強なのです。

“同調しまくり” から脱却するための2つの方法

もしも、自分が周囲に同調しすぎていると感じているのならば、以下の2つの方法を試してみましょう。

1. 課題の分離

アドラー心理学に関する多数の著作を持ち、30年以上にわたってアドラー心理学の研修を行なってきた岩井俊憲氏は「課題の分離」という方法を紹介しています。

「以前、彼氏がいる女性がカウンセリングに来ました。その彼氏は、自分と会うとなぜか不機嫌でいるようなんです。彼女は『私のせいだ』と思って彼のために何かをしないといけないと言うのですが、何かをすれば『ウザったい』と煙たがれる。だから彼女に言いました。他者が不機嫌であるのは、他者に不機嫌である理由があるのであって、自分とはまったく関係ない、と。でも彼女には理解できないんですね」 岩井さんが話してくれたこの例のように、日本人は問題を客観的に見ることがとても苦手なようです。これに対して、アドラー心理学では「課題の分離」というものを提唱しています。「他者が不機嫌であるのは、他者に不機嫌である理由があるのであって自分とはまったく関係ない」という部分です。

(引用元:d-Labo|「アドラー心理学」が現代日本人の心に響いた理由

例えばビジネスパーソンの場合、「自分の仕事においてプロフェッショナルになる」は自分でコントロールができる課題ですが、「自分がどのように評価されるか」は、文字通り他人の評価に依存する課題です。自分ではどうしようもできないことを心配しても意味がありません。これは同調圧力にしても同じです。

仮にあなたが他人に合わせることで疲弊している場合、他人に合わせることはやめ、「他人に合わせなかった場合、相手が何を思うか」は自分の課題ではないと割り切ってみるのです。相手も案外、特に気にしてはいないものですよ。

2. 同調圧力に身を置く自分を客観視する

メンタルコーチの大平朝子さんは、自分自身の行動を “見える化” すると楽になると述べています。

自分が気遣いや気配りをし過ぎていると感じた回数を記録することで、「すごく無理している気がしていたのに、1日3回か。大騒ぎするほどのことでもないな」と冷静になれたり、「私、今日は15回も無理して周囲に合わせていたんだ。それは息苦しくなるわけだ」など、見える化するのです。 事実が分かれば、冷静に判断することもできます。その上で、これからどうしたいか考えて対策を練ればいいのです。

(引用元:日経スタイル|周囲に合わせすぎ? 同調圧力を逆利用する3つの方法

大平さんによると、同調圧力による心理的プレッシャーはカウントして客観視することによって負担を軽減できるようになるのだそう。1日の自分の行動を記録してみたり、眠る前に振り返りをしてみてはいかがでしょうか。

*** 日本人にありがちな “同調しまくること” の弊害と解消法についてまとめてみました。ぜひ今後のコミュニケーションに生かしてみてください。

(参考) Business Journal|常に他人の目を気にして「窮屈な人生」を送るキミへ…「孤独を楽しむ力」で解放! プレジデント・オンライン|SNS好きな人が実社会で活躍できない理由 東洋経済オンライン|現代人は「孤独は悪い」と勘違いしている ログミー|南場智子氏「できる奴ほど全く空気を読まない」 DeNAとLINEに共通するユーザー目線のガチ文化とは? d-Labo|「アドラー心理学」が現代日本人の心に響いた理由 日経スタイル|周囲に合わせすぎ? 同調圧力を逆利用する3つの方法

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