見えないところにムダがある。仕事に潜む『見えないロス』のつぶし方。

皆さんは仕事において、より効率的な作業をするために何か取り組んでいることはありますか。時間の管理方法を見直したり、タスクの進め方に気を配ったり、便利なツールを新たに導入したりと、考えられることはたくさんありますよね。しかし中には「いつまで経っても効率が上がらない」と、その努力に対する成果がなかなか見えてこず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

それはもしかしたら「見えないロス」がたくさんあるからかもしれません。今回は、そんな「見えないロス」をなくす方法についてお伝えいたします。

「見えないロス」とは何か

そもそも「見えないロス」とはいったいどのようなものなのでしょうか。

その言葉からも想像できるとおり、ロスには「見える」ものと「見えない」ものが存在します。「見えるロス」というのは、特にお金など “数値” で可視化できるものについてのロスのことです。

一方の「見えないロス」は「見えるロス」の反対で、数値化することはできないものの確実に生み出されているロスのことです。具体的には「機会ロス」などが挙げられるでしょう。これは、売り上げを伸ばす機会はあったものの、商品そのものが不足していたために本来得られたはずの利益を逃してしまうこと。数字で表すことは難しいのですが、販売機会を最大限活かせなかったという損失が出たことになり、長い目で見れば「見えるロス」が生まれる要因ともなってしまいます。

なぜ「見えないロス」をなくすべきなのか

この「見えないロス」は、なぜなくすべきなのでしょうか。数値化できない「見えないロス」をなくすことに注力しても、作業効率や成果は大きく変わらないのではないかと思われた方もいるかもしれませんね。

たしかに、「見えないロス」をなくすには少々手間がかかるかもしれません。「見えないロス」が数値で可視化できないという特性を持っている以上、そこには「振り返りがしづらい」「改善しづらい」、あるいは「そもそも改善すべきものなのかどうかわからない」といった一面があるからです。また、一見すると作業の本質には関係ないように思えてしまうことから、往々にして対応が後回しになってしまうものでもあります。

しかし、たとえ些細であっても、そういったロスがたくさん積み重なってしまうと、生産性や作業効率に与える影響は決して無視できないものになってきます。そのような意味では、「見えないロス」の削減は、必ずや生産性や作業効率の向上につながっていくはず。また無駄を削って新しい時間を生み出すことができれば、成果により直結する本質的な仕事に労力を費やすことだってできるようになります。

では、私たちはこの「見えないロス」をなくすためにどのようなことを実践すればよいのでしょうか。具体的にご紹介していきます。

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「見えないロス」をなくす方法

1. 必要のないことはやらない

電気設備資材、管材等の製造・販売を行なっている未来工業株式会社の創業者、山田昭男氏によれば、不要だと感じたことはいったんやめてみるとよいのだそう。

たとえば、週に2回の定例会議の機会を設けている部署があったとしても、特に何も話し合うことがない場合は、わざわざ人手を集めて会議を行なう必要はありませんよね。書類報告だけで済むような内容のものもあるでしょうし、会議以上に優先したい緊急の仕事に追われている社員だっているかもしれません。

あるいは仕事のデータを提出する際、同じ上司が確認するにもかかわらず「データをメールに添付する」「USBにデータを入れて渡す」「印刷したものを手渡す」の3つの方法で提出しなければならないとしたらどうでしょうか。たとえそれが昔から行われている会社の習慣であったとしても、ただ確認するだけなら、提出方法をいちいち分けるのは必要のないことですよね。

このように周りを見渡せば、削ることのできるものは意外と多いはず。数字を報告するだけの社内会議にもかかわらずパワーポイント資料を無駄に作りこんだり、上司に提出する書類であるのに体裁を必要以上にきれいに整えようとしたり……。私たちは知らないところでつい時間や労力を無駄にしてしまっています。

ちょっとでも「これは必要なのかな?」と感じたものがあれば、思いきってやめてみたり、やめることを周囲に提言したりしてみてはいかがでしょうか。まずは小さな無駄からやめることを始めてみてください。新しく生まれた時間を、もっと生産的な仕事に充てることができるようになりますよ。

2. 「5Aサイクル」を回す

webマーケティングの支援ツールを開発している株式会社ショーケース・ティービーの共同創業者兼取締役副社長である永田豊志氏によれば、成功する人は5つのビジネスプロセスを高速で循環させているのだそう。その5つとは、以下の通りです。

1. 顧客の抱える問題の『認知』(Awareness) 2. 問題解決のための従来と異なる『アプローチ』(Approach) 3. アイデアのスピーディな『実行』(Action) 4. 仮説と実行結果の差異に対する『分析』(Analysis) 5. マーケットニーズに合わせた柔軟な『適応』(Adjustment)

(引用元:ITmedia エンタープライズ|ヤマト運輸に学ぶ「見えないコスト」に着目する術

たとえば、商品開発の仕事を行なうビジネスパーソンが、商品の改良を重ねてきたもののなかなか販売数を伸ばすことができずに悩んでいるとしましょう。そこにこの5Aサイクルを当てはめてみると以下のようになります。

  1. 「商品自体はよいものなのに、パッケージが地味だからもっとおしゃれにしてほしい」という顧客からの要望があった(Awareness)
  2. 「おしゃれなパッケージ=かっこいいパッケージ」だと仮定した(Approach)
  3. パッケージデザインをリニューアルし再販売を行なった(Action)
  4. それほど販売数が増加しなかったため顧客の考える商品イメージを調査したところ、「かっこいい」というよりも「かわいい」であることがわかった(Analysis)
  5. パッケージデザインをよりかわいらしいものとなるように改良したところ、販売数が増加した(Adjustment)

せっかく顧客の声があったのにそれを反映できなかったり、アイデアがあるにもかかわらず発表・実行する機会がなかったり、充分なデータはそろっているのに分析の機会を設けなかったり……。成果につながるチャンスを失ってしまっている場所を、この5Aサイクルは気づかせてくれます。「見えないロス」の可能性に目を向けて5Aサイクルを意識し、これを繰り返し回すことができれば、効率よく成果を出すことが可能になるでしょう。

*** 皆さんも、お伝えした方法をぜひ実践してみてください。きっと今までよりも作業を効率化することができるようになるはずです。

(参考) 津曲公二,清水茂著(2013),『仕事は半分の時間で終わる!:あなたの常識がスケジュールを遅らせる』, ダイヤモンド社. ITmedia エンタープライズ|ヤマト運輸に学ぶ「見えないコスト」に着目する術 東洋経済ONLINE|楽園企業の「ムダを省く力」が超スゴすぎた PRESIDENT Online|見えないロス撲滅の秘策「権限2倍、ハンコ半減ルール」 −三井化学社長 田中稔一氏 コトバンク|チャンスロス

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