確認メールの送信忘れ、書類の不備、発注ミスなど。いつも注意しているはずなのに、つまらないミスがなかなかなくならない……。そんな経験はありませんか?
仕事上の細かいミスは、笑い話になる小さなものから、その後の社会人人生にまで影響を及ぼすものまで様々。何度も上司に叱責され、毎回言い訳をしながら謝って、そんな自分自身に疲れ果てているあなた。 自分なりに二度とミスを起こさないよう様々な方法を実行していると思いますが、それは本当に効果的でしょうか?
今日は脳科学の視点から、あなたのケアレスミスをぐっと減らす方法をご紹介しましょう。
ミスを誘発する環境
まず最初に、あなたがどんなに注意をしてもミスをしてしまう原因を探りましょう。
「真剣に考えて実行した結果、その方法が最善ではなかった」という事象はしょうがないと言えますが、いわゆるうっかりミスには様々な共通の原因が考えられます。 体調が悪いとき、やるべきことがたくさんあったり納期が短くて焦っているとき、あるいは逆に、習慣化してしまっていて全く注意を払っていないとき。このような状況では、ミスを起こしがち。まずこれを自覚して、こういった状況に陥らないよう気をつけることが大切です。
そして次は、このような状況は回避した上でも起き得るミスの防ぎ方をご紹介します。
人間はミスをする存在である、という前提
ミスを完全に無くすこと。私たちがロボットではなく人間である以上、残念ながらそれはできません。そこで生まれたのが安全工学という学問です。 工事現場のマネジメントや、家電製品のデザインの際、人間がミスをしないよう、ミスをしても事故にならないよう、研究する学問です。(参考:Study Hacker|"ミスを憎んで人を憎まず! 『安全工学』に学ぶミスを減らす3つの考え方" )
安全工学の基本となる考え方は、「人間はミスをする」というもの。個々の能力を高めてミスを減らすのではなく、システムを工夫して、ミスをカバーする。「ミスは起こってしまうものだ」と考えるのです。 ならば私たちも、それに倣いましょう。見直しを充実させて、ミスをカバーする方法を考えるのです。
ミスの確認はシンプルタスクにせよ
でも、「見直しならもうやってるよ、チェックリストだって作ってるし」という方だって多いはず。見直しの一体何を、どう変えれば良いのでしょうか。 まず確認してほしいのは、人間はマルチタスクができないということ。産業技術研究所は、運転と通話を同時に行う例をあげ、集中できないのは「注意を運転と電話の内容に交互に切り替えるせいだ」としています。私たちの脳はあれもこれも、と平行で考えることが苦手なんですね。
この脳の特性を利用して筆者がおすすめしたいのは、一度にチェックするのは一つの項目だけにすること。得意先に送るメールを例にしましょう。 一度書き終えたら、一周目は敬語表現をチェック。不自然な敬語になっていないか確かめます。二周目は誤字脱字をチェック。三周目は……。こんな風に、一度の見直しでチェックするのは一つの項目だけ、と決めておくのです。
そうすれば、一度の見直しで、いくつもいくつも確認する「マルチタスク」を回避できます。脳の切り替えも必要ありませんから、ミスをぐっと減らせるはずです。 ひとつの項目を一人で担当しますから、他の人にチェックしてもらうのと同じくらいの効果があります。もう一人の自分に見直してもらう、多重人格チェックといったところでしょうか。
*** いかがでしたか。なかなか無くならないケアレスミス、今度こそ少し減らせるのではないでしょうか。 5千人以上の倒産経験を持つ社長をコンサルしてきた野口誠一氏によれば、失敗する社長の共通点は「自信過剰であること」だそう。もし色々な環境整備やシンプルタスクの確認でもなおミスが減らない場合、自分自身のメンタルも今一度確認してみてくださいね。意外と自信過剰な自分に気がつくかもしれませんよ。
参考: 日本心理学会HP|携帯電話で話しながら車を運転すると危険なのはなぜ? Study Hacker|"ミスを憎んで人を憎まず! 『安全工学』に学ぶミスを減らす3つの考え方" REAL BEING ミスの原因と防止策 第7回経営者基礎コース|仕事の出来る人、出来ない人