皆さんは資格試験の対策や語学の勉強等、何かを独学したいとき、まずは本屋で参考書を買いますよね。机の前で気合を入れて、参考書を開いて読み進める。だけど内容が頭に入ってこない。なかなか覚えられない、なんてことありませんか?
参考書を用いて独学するとき、私が行っている「書き捨て勉強法」という勉強の方法をご紹介します。
書き捨て勉強法
書き捨て勉強法は、とてもシンプルな勉強法です。参考書を読みながら、重要な部分を紙にひたすら書いていくだけです。手順を少し細かく見ていきます。
まずは、勉強したい参考書と、大量の紙を用意しましょう。紙は罫線のないものがベスト。お好みの書き味のものを選ぶと気分ものってきます。
テキストに取りかかる際に、まずは序章を読んでおきましょう。全体像をまずざっくりとつかんでおくことが重要です。本文に入ったら、熟読しつつ自分が重要だと思った部分を書き写していきます。イメージ図やグラフなどもできるだけ書いていきましょう。書き殴りでOKです。文字の大きさや、レイアウトにはこだわらなくて大丈夫。内容を把握した、記憶したと思ったら書き終わった紙は捨ててしまいます。
すごくシンプルですね。読んで書いて、捨てるだけです。
手書きには高い学習効果あり
読み書きの体系と、その学習プロセスとの関係を研究しているVirginia Berniger博士は、キーボードではなくペンを使う方が、子供たちのライティング能力(書く量、速さ、センテンスの完璧さ)が一貫して優れていることを発見しました。
Berniger博士はこの違いについて、「文字を書くために手を使うと、脳がより活発にはたらくせいではないか」と指摘しています。
また、手書きが学習や記憶の定着に効果的であるということは数多くの研究結果で知られています。書く行為は、脳幹の網様体賦活系(RAS)にある多くの細胞を刺激します。RASには、脳が処理する情報の中で「その瞬間に積極的に注意を向けているもの」をフィルタリングする働きがあります。 書くという動作により、対象に対する集中度が高まるのです。
汚くてOK。書いた後は捨ててOK
手書きの「まとめノート」をつくることは、学習をする上でとても訳に立つものですね。私も以前は参考書の内容を自分でまとめなおしたノートを作成していました。カラフルできれいにまとめられたノートは見ているだけで気分が良くなります。
しかし、このまとめノートの最大の弱点は、作るのに時間がかかりすぎること。忙しくなるにつれ、きれいなノートを一から作るのは難しくなり、だんだん勉強そのものが億劫になってしまいます。
大切なのはノートの完成度ではなく、思い立ったときにすぐに始められること。これでは本末転倒です。
それに、参考書はそもそもわかりやすくまとめられています。原本があるのですから、わざわざまとめ直すのは時間の無駄とも言える行為。参考書の内容を覚えてしまったのであれば、書き終わったノートはもういらないのです。
内容を忘れてしまった場合は何度でも書きましょう。繰り返すことによって記憶が定着します。
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いかがでしょうか、何かを大量に覚える必要があるときには手書きが効果的。でもそれはなにも、きれいにまとまっている必要はないのです。一気に書いて、どんどん覚えていきましょう。
参考書という、「プロの手によるまとめノート」を徹底活用することで、記憶するというプロセスだけに注力していきましょう!
なお、「勉強ノート術7選! 東大生・京大生おすすめ」では、ほかのノート術も紹介しています。ぜひご参照ください。
(参考)
The Wall Street Journal | How Handwriting Trains the Brain
茂木健一郎(2007), 『脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」』,PHP研究所