学会やミーティングでのプレゼン資料、かっこよく作れますか?
「時間がないから」「大切なのは中身だから」こんな言い訳をして、スライド作りをおろそかにしていませんか?
確かに、あなたには時間がないのかもしれません。また、見た目よりも、あなたの研究内容や、企画そのものが大切であることも否定しません。ですが、外見を綺麗に、そして見やすくすることは、非常に大切なことです。
いくら優れたストーリーでも、幼稚な文面の小説は売れません。どんなに美味しい料理であっても、盛り付けが汚ければ、食欲を失うはずです。「見た目」は、我々の予想以上に、大きな力を持っているのです。
今回は、時間がなくても、センスがなくても、真似するだけで「綺麗な」「伝わる」スライドが作れる方法をご紹介しましょう。(記事内のスライドサンプルはすべて筆者が作成しました。)
1, パワポを使うな
もしあなたがMacユーザーなら、PCにはデフォルトでプレゼン資料作成ツール「Keynote」が内蔵されているはずです。今日から「PowerPoint」ではなく「Keynote」を使ってください。
筆者がKeynoteをおすすめするのには、フォントやアニメーション、テンプレートの種類が豊富であるなど、様々な理由があげられますが、最大の理由は操作が非常に直感的でわかりやすいこと。「パワポ歴10年! スライド作成お手の物」というなら話は別ですが、Keynoteはスライドが苦手な人でも非常に操作しやすいのです。テキストボックスや図形を動かすのも簡単なので、急いでいる時にも素早くスライドを作成できます。
もちろん、PowerPointにも良い点はたくさんあります。図形などオブジェクトの種類が豊富ですし、何よりユーザー数が圧倒的に多いこと。他の人へのスライドのシェアや共同編集が容易に行えます。
しかし、今回の目的は「短時間でイケてるスライドを作る」こと。その目的に関して言えば、Keynoteの方が優れていると言えるでしょう。
2, 色は3色まで
遠くから見やすくしようと、スライドをカラフルに彩る人は多くいますが、それはおすすめしません。テーマカラー一色と、アクセントのための色、そして黒の三色で事足ります。
テーマカラーには原則3色を選択するようにしてください。もちろん慣れてきたら5色、7色と増やしてかまわないのですが、数が増えるほど扱いが難しくなります。3色というと一見少な過ぎるように感じるかもしれませんが、決してそんなこともありません。
(引用元:デザイン・レイアウトで伝わる!PowerPoint Design|プレゼン資料で色を効果的に使う方法)
学生時代を思い出してみてください。華やかなペンを5色も6色も使う子が、どのクラスにも2、3人はいたはずです。ですが、そういう子のノートを見せてもらうと、なんだかぐちゃぐちゃで、カラフルすぎて逆に見づらく感じた……なんてこと、よくありましたよね。
良い例
悪い例
スライドは、情報をギュッと凝縮したものです。余計な色は使わないようにしてください。
3, 単色ラインを一本引け
お洒落なテンプレはたくさんありますが、使い慣れていないと逆効果です。時間もないことですし、既製のものを使うのはやめましょう。だからと言って、何も使わず真っ白に黒字のスライドも、間の抜けた印象を与えてしまいます。
代わりにおすすめしたいのが、白のスライドの背景に、単色のラインを一本入れること。これだけで全体が引き締まって見えます。おすすめはオレンジ、水色、黄緑などのやわらかな色。赤・青・黄などの彩度の高い色を使ってしまうと、全体がうるさいイメージになってしまいます。
先ほどのスライドは、水色のラインを上部に挿入しています。 あのラインを取り除くとどうなるでしょうか。
良い例
悪い例
なんだか間が抜けたように見えますね。ぜひ色をつけてみてください。
4, フォントは「ヒラギノ角ゴシック」を使え
一番の悩みどころが、文字のフォントです。ああでもない、こうでもない、と試行錯誤を繰り返した経験のある人は多いかもしれませんね。
基本的には「ヒラギノ角ゴ」「ヒラギノ角ゴシック」と呼ばれるフォントが見やすく、お洒落です。ひとつの資料の中に複数フォントを使う人も多いのですが、使い分けが難しいので、一種類に留めるたほうが無難でしょう。
これまで紹介してきたスライドは全て「ヒラギノ角ゴシック」を使用しています。どうですか? 比較的文字が見やすいかと思います。
理系研究者の研究発表を「デザイン」の面からサポートし、様々な分野の研究者から高い評価を得る「伝わるデザイン 研究発表のユニバーサルデザイン」というウェブサイトでは「スライドの文字は基本的にゴシック体がよい」とされています。
ポスターやスライドは、懇切丁寧に文章を書いて内容を説明するものではなく、一般に、要点だけを端的に説明し、プレゼンテーションの補助的な役割をするものです。したがって、文章が長くなることは想定せず、基本的には、可読性(読みやすさ)よりも視認性(遠くからでもしっかりと字が認識できること)が求められます。(中略)全体を通じてゴシック体を用いるのがよいでしょう。
(引用元:伝わるデザイン 研究発表のユニバーサルデザイン|書体の選び方)
5, 画像は「ピクトグラム」を使え
スライドの挿入画像にネットで拾ったかわいいイラストを使う人がいますが、画像探しに時間がかかる上、スライドに適したスマートなイラストはあまりありません。
そこでおすすめしたいのが、トイレのマークでおなじみの「ピクトグラム」です。
人やモノを抽象化して表現しているため、文字で説明しなくてもわかりやすく伝わります。なにより、シンプルでかっこいいのが特徴です。画像探しに使うサイトも一つに決めてしまえば、時間短縮にもつながります。
良い例
悪い例
ちなみに、筆者おすすめの画像提供サイトがこちら。 ■ human pictogram 2.0 (無料人物 ピクトグラム素材 2.0) ぜひ使ってみてください。
6, 「丸四角」「丸」「矢印」以外は使うな
説明の時に図形を使う人も多いのですが、多用するとわかりづらいですし、あまり格好良くありません。
シンプルに、「丸四角(角の丸い四角)」「丸」「矢印」以外は使わないようにしましょう。特に「吹き出し」は要注意です。便利なので使いがちですが、結構ダサいものです。
また、ここでも「3色の法則」は守りましょう。図形は挿入時、デフォルトで色がついていることが多いのですが、白抜きに直すか、テーマカラーに合わせましょう。先ほど紹介した「伝わるデザイン」のサイト中でも、図形の使いすぎは煩雑さを増す、として敬遠されています。
某ソフト(※)に入っている既存のオブジェクトは、使うのを避けましょう。どれも、いまいちバランスが良くありませんし、なんだか不自然な感じです。(中略)使用するのは、四角や角丸四角、丸、三角などの単純な図形だけにし、顔や矢印は自分で描くようにするとよいです。
(※PowerPointのこと) (引用元:伝わるデザイン 研究発表のユニバーサルデザイン|図形と挿絵)
良い例
悪い例
7, 一行におさめろ
テキストを書く際、一行に収まりきらない人が多くいますが、とても見づらくなってしまいます。 改行する際にも、必ずキリの良いところで改行し、読み手に負担をかけないようにしましょう。
良い例
悪い例
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以上、7つのコツを紹介しましたが、私が共通して伝えたいのは、たった一つ。 読み手に理解してもらえるスライドであることです。
余計な情報は絞り、読み手にわかりやすく、伝わりやすくすること。 シンプルですが、それが一番重要なのです。
(参考) Code部|結局どっちがいいの?KeynoteとPowerPointを徹底比較 デザイン・レイアウトで伝わる!PowerPoint Design|プレゼン資料で色を効果的に使う方法 伝わるデザイン 研究発表のユニバーサルデザイン|書体の選び方 伝わるデザイン 研究発表のユニバーサルデザイン|図形と挿絵 human pictogram 2.0 (無料人物 ピクトグラム素材 2.0)