「時間がない」のはむしろ勉強に有利! 忙しい社会人のための最強の学習法

スキルアップや資格のために勉強をしたいけれど、忙しくてなかなか手を付けられない……。そのような悩みを抱えている人は少なくないはずです。

実際、勉強をするとなるとそれなりの時間が必要になりますし、仕事に追われている中でまとまった時間を見つけ出すのは至難の業であるように思われます。しかし実は「時間がない」というのは効果的な勉強法を確立するにあたって、むしろ好都合な状況かもしれませんよ。

勉強計画は「引き算」で立てる

仕事が忙しくて勉強をする時間がなかなか作れない場合、重要なのは「わずかな時間でどれだけ学べるか」ということ。つまり最大限の効率性を実現するために、目標に対するアプローチをしっかりと検討する必要が出てくるのです。

アレもコレも全部やって……と欲張ることなく、やらないこと」を決めて引き算していくことで、「やるべきこと」がむしろはっきりしてきます。短時間で効率を上げるためには、無駄な部分を徹底的に省くことが重要です。そのためにも、シビアなスケジュールの中で計画を立てるというのが勉強に対して良い影響を与えることになるのです。

医学部卒業後に医師として研鑽(けんさん)を積みつつ英語を勉強し、ハーバード大学へ留学。並行してボストン大学でエグゼクティブMBAを取得した猪俣武範氏も、その著書『最強の勉強法』の中で同様の見解を述べています。

彼の『最強の勉強法』とは医療で言う「トリアージ」の考え方を用いて、重要なタスクを見極めて短い時間で着実に学習することが重要だとされています。

例えばある分野についての本を最初から最後まで読み、すべてを理解しようとするのではなく、「今一番必要な部分」を特定し、そこを集中して読み込んでいく、というようなやり方が有効なのです。それ以外の部分については、必要に応じて参照したり、全く見ないで終わったりしても、優先順位が高い部分は習得できているはず。

つまり、優先順位を検討して無駄を削っていくということが、勉強において最も重要なことだといえます。

時間は「作る」のではなく「見つける」もの

忙しい中で勉強をするとなると、必然的に「いつ勉強するのか?」という問題に直面するはず。毎日色々なことに追われているせいで「勉強する時間を作れない」と思ってしまうかもしれませんが、時間を作るのではなく「見つける」という意識に切り替えることこそが、勉強時間を確保するためには最も重要なのです。

時間を「作る」と考えている限り、一日の中の「何かをしている時間」を組み替えて「勉強のための時間」を生み出す必要があります。ですが実際、人間の一日には意外と多くの「何もしていない時間」が存在しているのです。

試しにあなたの一日の行動を詳細に記録にとってみてください。必ずどこかに「何もしていなかった時間」を見つけることができるでしょう。電車の中でスマホをいじっていた時間、食事を終えた後しばらくテレビを見ていた時間、寝る前に布団の中でダラダラと雑誌を読み続けていた時間など、つい何となく過ごしてしまう時間から、仕事中に発生した待ち時間なども、日常に眠る勉強時間の鉱脈です。

電車で読むための本を持っておく、「食事を終えたら○分以内に片づけを終える」というマイルールを設ける、寝床には雑誌やスマートフォンを持ち込まない、いつでも開けるような小さな「勉強用メモ」を持ち歩く……。このようにちょっと意識するだけで、1日に1~2時間程度はコンスタントな学習の時間を確保することが可能です。

また、猪俣氏はさらに「ディストラクションタイム」という考え方も提唱しています。これは日常の中で集中力が途切れたり、作業が中断したりすることによって余計にかかってしまう時間のこと。

例えば会議で使う書類を作っている途中にメールが届いたとします。そこで一度作業を中断してメールを処理、再び書類の作成に戻った場合、どこまで作業を進めていたかを確認し、集中力を持ち直すために余計に時間がかかってしまった、という経験はありませんか?

このようなディストラクションタイムは、「メールチェックは○時にまとめて行う。それ以外の時間には処理しない」とというようなルールを決めることで削減することが可能でしょう。

人間は本来マルチタスクが苦手なもの。だからこそ、一つ一つのタスクを順番に、丁寧に処理していくことを心がけるべきなのです。そうすることで、集中しているときに妨げとなる電子メールやスマートフォンの着信などにも上手に付き合えるようになります。ディストラクションタイムを削ることで、勉強時間の確保が可能になるのです。

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目標を必ず立てる

効率よく学習をするために目標を立てることは、モチベーションの維持とは別に、実用的な効果を発揮します。その際に重要なのは、必ず「達成できそうな目標」を掲げること。そうすると必然的に、目標を達成するために必要な道筋や、それを阻害しそうなリスクなど、現実的な側面に目が向いていくからです。

例えば、特定の資格試験に合格するという目標を立てるなら、試験までの日数、それまでにこなす必要のある教材の数、合格ラインとなる基準、などの具体的な情報をそろえることで、「どこに力を入れ、どの部分は切り捨てた方が効率が良い」という優先順位に基づいたトリアージができるようになります。

さらに勉強期間についても、「この時期に山場が来るはずの仕事が一件あるから、勉強に影響が出るかもしれない」とリスクを認識し、あらかじめその影響を加味した勉強計画を立てることが可能になります。それにより、ペースが乱れることなく集中して勉強に取り組めるはず。

このように目標を立てるプロセスが学習計画の見通しを良くし、学習効率の上昇に大きく寄与することになるのです。目標を立て、実際に達成できたかどうか、ということは大きな問題ではありません。もし達成できなかったなら、新たな目標を再び練り直し、新しいアプローチで努力をすれば良いのです。

最も危惧するべきなのは目標をしっかりと検討せず、そのせいで目標に辿り着くための効率的なアプローチを取り損ねてしまうこと。一分一秒を最大限に生かすためにも、現実的な目標を検討する一手間を大切にする必要があるのです。

*** 腐るほど時間があるからどれだけだって努力ができる、という人間はなかなかいないもの。実際に結果を出す人間は、短い時間だからこそ驚くべきパフォーマンスで結果へとアプローチしています。時間のなさを言い訳にせず、むしろ味方につけることで、しっかりと目標を達成できると良いですね。

(参考) THE 21 ONLINE|司法試験のカリスマ・伊藤真が教える「成功する勉強法」 Study hacker|医師×ハーバード×MBA。猪俣武範氏の『最強の勉強法』を東大生が試してみた。 猪俣武範 (2016),『ハーバード×MBA×医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法』, ディスカヴァー・トゥエンティワン. シティリビングWeb|毎日が変わる!スキマ時間使いこなし術

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