レポートや課題、資格試験が毎日のように続いている。やるべきことがたくさん、しかも同時に自分にふりかかってきた。こんなとき、あなたならどうしますか?
頑張ろうと気合を入れても、何から手をつけていいかわからない。そこで、先延ばしにする。でも、先延ばしにしたところで、何の解決にもなりません。誰しも、経験したことがあるはずです。
これからご紹介する方法を実践すれば、必ず「先延ばし」癖を克服できますよ。
1. 現在の自分の先延ばし状況を確認する
自分の行動を変えたいときは、自分の現状を知ることから始めましょう。
- 頻度(いつも? ときどき? たまに? どのくらい先延ばしにしているか。)
- 対象(どんなタスクを先延ばしにしているか。)
- 問題の大きさ(それは自分にどれくらい悪影響を及ぼしているか。)
2. 後回しにしてしまう理由を突き止める
「先延ばし」は、いくつもの要素が絡んだ複雑な問題です。なぜ後回しにしてしまうかを考えてみましょう。以下のような原因もあれば、自分なりの理由があるのかもしれません。
- 全部終えられるか自信がないから?
- 無意識に先生や両親、上司に対して反抗的な気持ちになっているから?
- トピックに興味がないから?
- 体力的、または精神的に疲れているから?
- 最もベストなタイミングを見計らっているから?
- どこから手を付けていいかわからないから?
後回しにしている理由がわかれば、あとはシンプル。以下から最適な方法を見つけ出して実践するだけです。
3. 先延ばししているタスクが何かを書き出す
ストレスを感じたり、やるべきことの多さに困惑したりしているときに、後回しにしがち。そんな時は、先延ばしにしているタスクを書き出してみましょう。リスト化するだけで、「意外にできそう」と感じることもあります。
一瞬で終わる解決策ですが、後回しにする頻度がぐんと減りますよ。
4. タスクを机の上に置く
もっと簡単な方法もあります。タスクを終える中で一番難しいのは、そのタスクを「始める」こと。そこで、まずは課題を机の上に置いてみましょう。置くという動作だけなら、抵抗なくすぐにできます。
いったん目の前に課題を置いてしまえば、こちらのもの。視界に入る場所に課題があるだけで、取りかかることへのハードルが下がります。
5. タスクをスモールステップに分解する
具体的に何をすればいいか、全体像が見えていないために、必要以上に焦ることがあります。スモールステップに分解するだけで、やりやすく感じられるもの。
例えば、レポートを書かないといけない場合を想定してみましょう。以下のスモールステップに分けられるでしょう。
- 参考文献や教科書を読む
- パソコンで調べる
- 調べた情報をまとめる
- レポートの概要を書き出す
- 序論を書く
- 本論を書く
- 結論を書く
- 校正する
その時々で、1つのステップを終えることだけに集中しましょう。気づいたときには、レポートを1本仕上げることも、難しく感じなくなりますよ。
6. 締め切りを設けた予定表を作成する
5で作ったスモールステップに基づき、各ステップに締め切りを設けます。すると、やるべきことだけでなく、いつやるかも明確になります。予定表を作成したら、あとは従うだけ。タスクに対するハードルをさらに下げられます。
上記と同じ例で考えてみましょう。
- 1月30日:参考文献や教科書を読む
- 2月2日:パソコンで調べる
- 2月3日:調べた情報をまとめる
- 2月5日:レポートの概要を書き出す
- 2月8日:序論を書く
- 2月12日:本論を書く
- 2月14日:結論を書く
- 2月16日:校正する
日にちを書き出すだけで、緊急性が増したように見えるもの。締め切りを守りやすくなること間違いなしですよ。
7. 意欲的で勉強熱心な人と共に過ごす
「あなたが共に時間を過ごす5人の平均が、あなた自身である」。コカ・コーラやIBMなどアメリカの一流企業のコンサルタントとして活躍した、モチベーション・コーチとして名高いJim Rohnの格言、聞いたことがある方も多いでしょう。
勉強や仕事に熱心な人と付き合っているだけで、あなた自身にも彼らのやる気が伝染していきます。同様に、いつもやるべきことを後回しにしている人と付き合うと、あなたの先延ばし癖は直りにくくなるもの。
慎重に友人を選びましょう。ポジティブな影響を与えてくれる“勉強仲間”を見つけてください。
だからといって、もちろん楽しんでいけないわけではありません! 友人と過ごすときは、全力で楽しむときと、まじめに仕事や勉強に取りかかるときを、明確に分ければいいだけです。
8. 2人以上に、これから片付けるつもりのタスクの計画を話す
今からやろうとしているタスクについて、他者に話せば、より実行可能性が高まります。これは、Accountability(説明責任)の原理に基づいています。自分は有言実行できる人だと周りの人に思われたいがために、行動が促進されるのです。
“勉強仲間” だけでなく、友人に“アカウンタビリティー仲間”になってもらいましょう。1日の始めに、その日やろうと思っているタスクについて、仲間に共有します。1日の終わりには、計画通りに進められたか、互いに報告し合いましょう。
9. 環境を変える
あなたの周りの環境が、スムーズな仕事・勉強の流れを停滞させていることもあります。タスクに取りかかるとき、ベッドがすぐ近くにありませんか? または、スマートフォンなどの誘惑が手の届くところにありませんか?
環境が先延ばしの原因ならば、環境ごと変えてしまいましょう。
ベッドルーム内のデスクや、テレビの目の前のテーブルではなく、ダイニングテーブルで課題をやってみる。レポートを終えるために、近くのカフェに行ってみる。
視界に入ってくるものを変えるだけで、勉強や仕事がはかどるようになりますよ。
10. 先延ばし癖を克服した人と話す
周りの友人に、同じ問題を以前抱えていて、すでに克服した人がいないか、聞いてみましょう。もしいたら、その友人の経験から学ぶことができます。
ターニングポイントは何だったのか、どんな方法で解決したのか。自分にも使えそうなやり方があるかもしれません。あとは真似するだけです。
さて、次からは、オリンピック出場経験のある名高いスポーツコーチや、TEDビデオでトップ10のスピーチから得られる、効果的な方法をご紹介していきます。
11. タスクを終えたら自分にごほうびを与える
“ごほうび”はささいなものでかまいません。例えば、以下のようなごほうびはどうでしょうか。
- タスクを終えたらお気に入りのテレビ番組を見る
- 教科書や本を1章読み終えたら10分間だけFacebookを開く
タスクを終えることに対するモチベーションになりますよ。
12. 締め切りに間に合わなかったときの罰を決めておく
やるべきことを始める前に、後回しにすることへの「罰」を決めましょう。逃げ道をなくすため、あらかじめ周囲に宣言しておくと、さらに効果的です。
6で作成した、予定表を開いてください。予定表通りに進められなかった場合、例えば以下を実行に移すことを決めてはどうでしょう。
- 兄弟に100円支払う
- スマートフォンからゲームを1つ削除する
締め切りに間に合わなかったら、タスクごとにその都度実行してください。自分にとっていやな罰であればあるほど、締め切りの厳守を後押ししてくれるはずですよ。
13. 成功した姿を思い浮かべる
30秒間目を閉じて、タスクを終えたときの姿を想像してください。どう感じているでしょうか? やるべきこと全てを終えたことに対する満足感を味わっているでしょうか? 自由な時間を楽しんでいるでしょうか?
ビジュアライゼーションはシンプルなエクササイズです。でも、タスクを始めるときに行うと、大きな効果を発揮してくれますよ。
14. 目標達成に必要なプロセスを思い浮かべる
実は、結果を想像するよりもさらに効果的なことがあります。それは、目標を達成するまでのプロセスを思い浮かべること。
Terry SchroederやBrandon Slayなどの、オリンピック出場経験もある優れたスポーツコーチは、結果ではなく過程を重視して指導しています。また、リーグ最優秀監督賞を三度受賞した、現代野球を代表する名将と名高いJoe Maddonは次のように述べています。
ニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックス、トロント・ブルージェイズを打ち負かそうとするのではない。ただ、野球の試合でスコアを取ろうとするだけだ。
(引用元:George Lucas Education Foundation edutopia|Focus on the Process and Results Will Follow)
プロセスを重視することが成功に不可欠であることは、スポーツの世界だけではなく、教育現場でも立証されています。後回しにしていることがあったら、タスクを終わらせるためにはどんなプロセスが必要かを考えてみましょう。例えば以下のことを、具体的に思い描いてみてください。
- 必要な資料
- 手伝ってくれそうな人
- タスク完了までにかかる時間
- タスクに取りかかる場所
- タスクを進められたときに得られる喜び
ビジュアライゼーションは、効果的な頭の訓練になります。目標達成までの道のりがいったんわかれば、より集中してタスクに取り組みやすくなりますよ。
15. タスクを終えたい理由を書き出す
なぜそのタスクを終えたいかがはっきりすれば、さらに取り組む意欲もわいてくるもの。数分間かけて、理由を書き出してみましょう。以下の例を参考にしてください。これ以外にも、自分にとっての理由を探してみましょう。
- 役に立つ情報が得られる
- そのトピックに詳しくなれる
- 終えたとき、達成感を得られる
- 学校の成績や職場での評価が上がる
- 自分を良い方向に変えられる
- 学生として、または社会人としての責任を果たせる
- 明確な目標達成のために努力できる人になれる
16. タスクを終えられなかったときに感じる負の感情を書き出す
タスクを終えられなかったとき、自信を失ったり、やる気をなくしたりしてしまうことでしょう。先生、両親、上司、同僚だけでなく、自分自身までをも、がっかりさせてしまいます。
ネガティブな感情に囚われ、長い間くよくよ考えているのは賢い方法だとはいえません。しかし、タスクを完了できなかったときにどのように感じるかを想像することは、有効な手段です。タスク遂行がどれだけ大切なのかに気づくことができますよ。
17. 一番難しいタスクを最初にやる
多くの人は、一番難しいタスクより、一番簡単なタスクから始めるもの。しかしこの順番では、いやなタスクを最後に回してしまうため、効果的とはいえません。
「まずそのカエルを食べろ!」は、アメリカのビジネスコンサルタントの権威であるBrian Tracyの言葉です。1日の始まりに、最も難しいタスクを片付けてしまいなさい、と彼は意味しています。
この言葉の背景には、Mark Twainの次の一文があります。
「毎朝最初にやることが生きたカエルを食べることだとしたら、その日起きることで一番いやなことは終わったという満足感にひたりながら、一日中過ごせるだろう」。
ここでの“カエル”とは、最も先延ばししそうな、困難で、且つ重要なタスクのこと。Brian Tracyは、Mark Twainの言葉をもとに、次のように述べています。
1.もし二つのカエルを食べなければいけないのならば、より醜くて不味そうなカエルを食べろ
二つの重要なタスクが迫っているときは、より達成が困難でより大切なタスクを優先しなさい。そのタスクにすぐに取りかかり、完了するまで他のことには手をつけてはいけません。
2.本当に生きたカエルを食べなければならないのならば、ゆっくり座ってカエルを眺めていても何も始まらない
あれこれ考えたり、他のことに気を取られたりすることなく、毎朝真っ先に、やりたくはないけれども重要なタスクを終わらせる習慣を形成しましょう。これこそが、生産性を上げる鍵となります。
(引用元:Brian Tracy International|The Truth About Frogs)
苦手な科目や好きではない仕事は、最初に取りかかりましょう。いやなことさえ終われば、他のタスクに対するやる気がどんどん増してくるはずです。その上、最初に片付けた困難なタスクに比べれば、どんなことも簡単に感じるもの。他のタスクを後回しにすることもなくなるはずです。
18. タイマーやストップウォッチを活用する
タスクに取りかかるときは、ストップウォッチやタイマーを活用することを勧めます。持っていない人はオンライン上のストップウォッチや、オンライン上のタイマーを使うのも手です。
タイマーをセットし、30〜45分ほどかけてタスクに取り組みましょう。制限時間を設けることで、緊急性が増したように感じ、後回しを防げます。タイマーが切れるまで集中して取り組めば、その後は休憩をとれると自分に言い聞かせながら進めましょう(タイマーが切れたら、ちゃんと休憩してくださいね)。
19. 邪魔になるものを排除する
気が散る原因となるものをなくせば、集中しやすくなるもの。以下の方法を参考にしてください。
- ゲームやソーシャルメディアのアプリをスマートフォンから削除する
- スマートフォンの通知機能を全てオフにする
- グループチャットの通知の消音設定をする
- 使われていないチャットグループを整理する
- スマートフォンの電源を切るか、機内モードに設定する
- スマートフォンを3メートル先など、離れたところに置く
- (タスクに必要なければ)パソコンのインターネット接続を切る
- インターネットをブロックするアプリを使う
- 気が散る原因となる他のもの(食べ物、雑誌、タスクと関係のない本等)は部屋の反対側に置く
- テレビの電源を抜く
- 周囲がうるさければ耳栓をする
20. 1日の始まりに特に重要な2、3のタスクを書き出す
やるべきことの優先順位を付けるのに役立ちます。TEDビデオの再生数がトップ10に入る、「The first 20 hours: how to learn anything」のスピーチで有名なJosh Kaufmanは、次のように述べています。
「最も重要なタスクは、この先、意味のある結果を出すために必要不可欠だ。」
すべてのタスクの重要度が同じであるわけはありません。最重要のタスクを認識し、1日のできるだけ早い段階でそれを終えることで、最も効率的に勉強や仕事を進めることができます。
今日、絶対にやらなければいけないことは何でしょうか? まずは最重要タスクを終え、満足感にひたりながら、他のタスクも気分良く片付けていきましょう。
さて、ここからは、意外な実験結果や、ベストセラー作家が推奨する効果的な方法などをご紹介していきます。
21. 完璧を目指すのではなく、進捗状況に着目する
タスクに取りかかるのにベストなタイミングを見計らっているために、後回しにする人がいます。または、完璧に仕上げたいから、タスクの完成を先延ばしにすることもあります。でも、内心、完璧に仕上げるのは無理とわかっているはず。だから、始めることさえ、後回しにしてしまうのです。
まずは完璧を目指すのをやめましょう。その代わり、その時々の進捗状況に目を向けてください。何に対しても、完璧なタイミングなど存在しません。また、完璧にタスクを仕上げるのも無理な話です。
自分のベストを尽くせば、それで良いのです。タスクをどれだけ進められたか、どれだけ改善できたかに焦点を当てれば、先延ばし癖も徐々になくなっていきますよ。
22. 計画性を身につける
計画性のない人は、物事を後回しにすることも多いもの。どのタスクが締め切り間近なのか? いつ、どんな試験が予定されているのか? それらを思い出せないなら、混乱し、ストレスを感じるのも当然です。これが結果的に、先延ばし癖につながるのです。
以下の中からできそうな方法を見つけて、試してみてください。
- 記憶だけに頼らず、メモを取る
- やることリストを作成する
- 学習計画表を活用する
- カレンダーに、試験日程、プロジェクトの締め切り、休暇、誕生日、家族行事などを書き込む
- 1日の終わりに、翌日の計画を立てる
- 勉強科目や各プロジェクトごとにファイルを用意し、資料を整理しておく
- ルーズリーフやプリント、メモは毎週まとめておく
- 不要な資料やメモは捨てる
23. 「しなくちゃいけない」ではなく「することに決めた」と言う
「レポートを書かなきゃ」「課題をやらなくちゃ」と言うのは、やりたくないと思っている証。先生や学校、上司や職場に愚痴を言いたい気分かもしれません。
「しなくちゃ」の代わりに、「することに決めた」と口に出してみましょう! 実際のところ、あなたがしなくてはいけないことなど、ありません。レポートを書かないことを選ぶこともできるのです。トラブルが起きることは確実ですが、あなたに選択の権利があることには変わりません。
「タスクをやることに決めた」と声に出すだけで、なんだか力がわいてくるもの。やるべきことに対する意欲がわいてきますよ。
24. 週に一度は机を整理する
勉強や仕事をする場所が散らかっていると、意欲が下がるだけでなく、ストレスもたまります。これが先延ばしの原因になることも多いもの。机をきれいにするだけで、ストレスが減って、勉強や仕事がはかどるようになります。
毎週、たったの10分だけで構いません。定期的にデスクを片付ければ、長期的に大きなメリットを得られますよ。
25. 2分で片付くタスクなら、今すぐやる
生産性向上コンサルタントDavid Allenのベストセラーの著書『Getting Things Done』で紹介されている法則、2分ルールを実践してみましょう。
多くのタスクが積み重なると、後回しにしがちなのは実感しているはず。重要だけれどもすぐにできるタスクをできるだけ早く片付けることで、先延ばしを防げます。
例えば以下の事柄は、機会があったら2分で片付けられるものです。他にも自分のタスクの中ですぐに終わるものがあれば、意識して今すぐ終わらせましょう。
- プロジェクトのグループメッセージに返信する
- 部屋の床に落ちている、必要のないものを拾って片付ける
- チェック済み、採点済みの課題の結果を見る
- 両親や上司の確認が必要な書類を依頼する
- 手短に電話をかける
- やることリストを書く
- ミーティングの日程調整のためにメールを送る
- 買うと決めているものをネットで注文する
26. 1つのタスクを終えてから、次のタスクに取りかかる
2、3のタスクを交互に同時並行にやっているとき、生産的にタスクを進めているとはいえません。マルチタスクは、1つのことに集中するシングルタスクに比べ、効率が下がることが科学的に証明されています。
スタンフォード大学の調査によると、マルチタスクは作業スピードを下げることが明らかになりました。さらにロンドン大学での実験結果は、マルチタスクによって、IQまでも下がる懸念があることを示唆しています。
先延ばし癖を克服するためにも、1つのタスクを完了させてから次のタスクに移りましょう。最初のタスクを終えたときに感じる達成感が、次のタスクへのやる気につながります。
27. 徐々に集中力を向上させる
先延ばし癖を、1日で解決するのは無理な話です。後回しにする習慣から完全に抜け出すには、時間がかかるもの。徐々に解決の方向へと持っていきましょう。
先延ばしせずにタスクを終わらせようと試みても、一度に10分間しか集中できない……。最初はそれでもいいのです。まずは1週間、1日に10分間の学習を、3セット行うことから始めましょう。2週目は15分間の学習を3セットというように、だんだんと増やしていってください。
何週間も続けていくと、初めの頃と比べて、集中できる時間が格段に長くなっていることに気づくはず。この変化に、驚くこと間違いなしですよ。
28. タスクに取りかかる前に、感謝していることを3つ書き出す
感謝の気持ちは、精神的安定・肉体的健康だけでなく、精神的な強さももたらしてくれます。これらは意欲向上につながります。感謝の気持ちが強ければ強いほど、後回しにする頻度も減るのです。
2006年に行動療法に関する学術誌『Behavior Research and Therapy』に掲載された論文では、ベトナム戦争の退役軍人の中で、感謝の気持ちをより多く持っている者は、心的外傷後ストレス障害を発症する率が低かったことを指摘しています。
また、社会心理学の学術誌である『the Journal of Personality and Social Psychology』に2003年に掲載された論文では、9.11のテロのショックから立ち直るために、最も役立ったのが感謝の気持ちであったと述べられています。
その日の勉強や仕事を始める前に、感謝していることを3つ、書き出してみましょう。難しく考える必要はありません。健康な体、いい天気、大好きな家族など、なんでも結構です。
これを毎日続けて、自分だけの「感謝日記」を作ってもいいですね。今後、何かで迷ったとき、自分の人生の良い面に目を向ける必要が出てくるかもしれません。そんなときにこの日記を見返せば、新たに感謝の気持ちが芽生えて、前向きになれることでしょう。
すぐにできる簡単な方法ですが、生産的になるために必要なマインドセットを作れますよ。
29. 十分な睡眠をとる
大人なら、毎晩7〜9時間の睡眠を取れば十分でしょう。アメリカのNational Sleep Foundationによると、10代の学生の場合は、8〜10時間が最適な睡眠時間であるようです。
睡眠が先延ばし癖と関係あるのか、と疑問に思う方もいるかもしれません。実は、思った以上に大きな相関関係があります。疲れているときは、なかなか意欲がわいてきませんよね。睡眠不足で元気がないと、タスクを絶対に終わらせようという意志を保つことは難しいもの。
そのため、睡眠が足りていないと、Facebook、Instagram、YouTubeなどの誘惑にも負けやすくなるのです。
睡眠時間を増やし、睡眠の質を高めるために、次の方法を参考にしてください。
- 入眠儀式を習慣にする
- 毎晩同じ時間に寝る
- 寝る時間を逃さないよう、就寝予定時刻にアラームをかけておく
- 定期的に運動をする(ただ、寝る直前の数時間は避ける)
- 寝室をできる限り暗くする
- 就寝時間前に全ての電子機器の電源を切る
- 就寝時間の6時間前以降はカフェインを摂取しない
- アイマスクや耳栓をする
30. タスクの予定を立て、自分の予定表に「予約」を入れる
各タスクごとに1日の時間帯を振り分けます。予定表に自分とのアポを入れるイメージで、タスクのスケジュールを書き出していきます。病院や美容院の「予約」と同様に、絶対に従わないといけない、オフィシャルな約束事のように捉えられると理想です。
次のように、日にち、時間帯、タスク内容をはっきりと書き出すといいでしょう。
- 1月25日午後4:00〜5:30:数学の課題
- 1月27日午後3:00〜4:00:社会科レポートのオンライン調査
- 1月28日午後4:30〜5:00:英語エッセイの序文執筆
最後に
後回しにすることは、誰しもが経験のあること。でもここまで読んでくださった皆さんは、先延ばし癖を克服する意欲に満ちあふれていることがわかります。上記の方法を実践すれば、目的意識を高め、自制心を鍛えることができるようになるでしょう。
もちろん、一度に全ての方法をやる必要はありません。まずは一週間、気に入った2、3の方法を試してみてください。だんだんと解決の方向へと導いていけばいいのです。焦りは禁物です!
気づいた頃には、やるべきことをすぐに終わらせるのが習慣になっているはず。先延ばし癖から抜け出すためのこれらの方法、後回しにせず、今すぐ取り組んでみてくださいね!
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海外の著名な学習コンサルタントであるDaniel Wongの人気記事How to Stop Procrastinating on Homework: 30 Powerful Tips That Workの翻訳をお送りしました。翻訳はStudy Hacker初の試みで、今までで一番長い記事になりました。一度に全て読み終わった方がいらっしゃいましたら、FacebookやTwitterでコメントをいただけたら嬉しいです!
Daniel Wongは、効率的な学習法に関する記事だけでなく、試験で高得点を取るための手引き・The Complete Guide to Taking Tests and Examsも執筆しています。全58ページにわたり、試験前や試験中に注意することや、設問形式に合わせた解答法が、分かりやすい英語で紹介されています(7ドルで購入できます)。効果的な試験対策法を知りたい方は、英語学習も兼ねて読んでみてはいかがでしょうか。
(参考)
Daniel Wong|How to Stop Procrastinating on Homework: 30 Powerful Tips That Work
George Lucas Education Foundation edutopia|Focus on the Process and Results Will Follow
Brian Tracy International|The Truth About Frogs
Forbes|Multitasking Damages Your Brain And Career, New Studies Suggest
Forbes|7 Scientifically Proven Benefits Of Gratitude That Will Motivate You To Give Thanks Year-Round
National Sleep Foundation|Teens and Sleep