勉強の必要性を感じてはいるものの、日常の忙しさに追われてしまい自分の好きなことを勉強する時間がとれない、と悩む人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、1日の中でうまく時間を調整して少しでも勉強する時間を確保したいと望む方々に、効果的な勉強時間の捻出方法をご紹介します。
忙しいビジネスパーソンや学生でも勉強時間は作れる
仕事や家事や部活動に追われていると、勉強時間を確保できないと思っていませんか? しかし、たとえ一般的に仕事が忙しいと考えられている一流ビジネスパーソンであっても、実はしっかりと勉強時間を確保しているのです。
PRESIDENT Onlineによるビジネスパーソンを対象とした調査によると、年収500万円台、800万円台のうち過半数の人が、1週間の勉強時間は2時間未満だという回答でした。一方年収1,500万円台では、2時間以上勉強していると答えた人が半分以上でした。
また、勉強時間をあらかじめスケジュールに組み込んでいる人の割合は、年収500万円台では32.5%だったのに対し、1,500万円台では48.9%であり、高年収の人ほど計画的に勉強していることがうかがえます。
時間がないことを嘆いて行動しないのでは何も始まりません。1日の時間の使い方をちょっと見直すだけで、勉強時間を捻出することは充分に可能です。
なぜ時間がなくなってしまうのか
通勤・通学時間を含めたプライベートな時間のうち、無駄にしてしまっている時間はおそらくたくさんあるでしょう。例えば就寝前、ちょっとだけのつもりで30分以上もSNSを眺めてしまった時間、電車やバスを待っている時間、朝寝坊をして無駄にしてしまった時間など、日常には有効活用できていない時間が実にたくさんあります。
私たちは日頃から時間が無限にあると思い込みがち。わからないことはすぐに調べることができる時代だからこそ、わざわざ時間を作って勉強をする必要性を感じなくなっているのかもしれません。
しかし1日は24時間であり、就寝中や食事の時間、学校や職場に通っている時間を除くプライベートな時間は、自分で思っているよりもずっと少ないのです。ほとんどの人はそのことを自覚する機会がないまま、時間を浪費してしまっているのではないでしょうか。
一方で、勉強時間をうまく捻出できている人は「タイムマネジメント力」に秀でている人たちだと言えます。先ほどの調査によると、高年収の人ほど勉強時間をあらかじめスケジュールに組み込んでいる割合が多いことがわかります。1日の時間配分を自分でコントロールして、最初から勉強用の時間を確保しておくことで効率的に勉強ができるのです。
次は実際に、どのようにして勉強時間を捻出すればいいのかをお教えしましょう。
勉強時間の作り方 その1 朝活
私がアメリカで出会ったとある研究医の先生の話です。研究や論文の執筆、さらに育児と日々忙しくしておられるのですが、聞くところによると生理学の本をこれまで何百冊も読み、中には5周以上読み込んだ本もあるのだとか。ネイティブスピーカーではないことから、ボキャブラリを増やすために続けているそうなのですが、いつそのような時間があるのかと尋ねると「毎朝4時に起きて勉強している」とのことでした。
また “朝活の第一人者” 池田千恵さんはStudyHackerの特別インタビューで次のようにおっしゃっています。
私が常々思っているのは、“時間は命だ” ということです。(中略)そして早起きした朝時間というのは、自分の意志で天引きできる唯一の時間です。
(引用元:Study Hacker|「 “朝” から生まれた成功の数々」 “朝活の第一人者” 池田千恵さん 特別インタビュー【第1回】)
しかしながら、何時間も早起きする習慣をいきなりつけるのは容易なことではありません。まずはいつもより1時間早く起きる、あるいは30分早く出社して勉強時間を確保する、といったことから始めるといいのではないでしょうか。
さらに、早起きが苦手な読者にはスマートフォンアプリの活用をおすすめします。
人間の睡眠は、浅い眠りの”REM睡眠”と深い眠りの”non-REM睡眠”という性質の異なる2種類の睡眠で構成されています。REM睡眠中は、身体が深く眠っていても脳が活発に動いている状態なので、この時間帯に起床すると目覚めが良いというわけです。
そこでおすすめなのが「Sleep Meister」というアプリ。これは人間の眠りの深さを記録し、浅い眠りになった時点でアラームが鳴る仕組みになっています。早起きが苦手でも、比較的苦労せずに起きることができるでしょう。
勉強時間の作り方 その2 スマートフォンを勉強道具に
医学部学士編入向けの予備校でチューターとして務める中で、医学部合格を目指す多忙な社会人受験生の方々とお話してきました。その中で得たヒントを2つご紹介いたします。
1. Googleスプレッドシートに暗記事項をまとめ、待ち時間や通勤電車の中で暗記する
ノートを持ち歩いてわざわざ書く手間を省けるだけでなく、満員電車の中でも場所を取らずに勉強することが可能です。筆者の場合、医学英単語を大量に暗記する必要がありましたが、手書きの単語帳をやめてキーボードで打ち込む作業に切り替えたところ、余った時間を暗記に回すことができました。
2. 音楽を聴く時間を英語のリスニングにあてる 通勤・通学中の時間は、スマートフォンで音楽を聴いたり、ゲームをしたりして過ごす人も多いのではないでしょうか。しかし、電車やバスでの移動という制限された時間と空間でこそ、集中力が発揮されることもあります。そこでこの時間を利用して、英語のリスニング力を鍛えましょう。たとえば、世界的講演イベント「TED」や、BBC、CNNなどのニュースを毎日聴く習慣をつけることで、英語を聴き取る力が身につきます。
これらのように、細切れの時間を使って勉強することは、脳科学的にも理にかなっています。Study Hackerのコラム「“短時間サイクル” で効率的な学習を。医学生がおすすめする「短時間集中型勉強法」」でも以前お伝えした通り、短時間頻繁型の学習が記憶の定着に役立つことが、脳の構造からも明らかになっています。隙間時間に集中して繰り返し勉強することは記憶の定着に繋がるので、常日頃無駄にしている隙間時間があれば、この際ぜひ有効活用してみましょう。
1日勉強しなければそれを取り戻すのに2日かかる、とユダヤ人は幼い頃から教えられるそうです。たとえ数分間でもできることはたくさんあります。毎日続けることが大事なのです。
*** 1日のうちどの部分から時間を捻出できるのか、捻出できた時間をどう使うのかを試行錯誤する中で、自分に合った最も効率の良い時間の使い方が見つかるはず。それと同時に、タイムマネジメント力もどんどん磨かれていくことでしょう。
塵も積もれば山となる。少しずつで良いので日々勉強時間を捻出できれば、最終的には大きな成果を得られますよ。毎日できることから始めてみてください。
(参考) Study Hacker|「 “朝” から生まれた成功の数々」 “朝活の第一人者” 池田千恵さん 特別インタビュー【第1回】 Study Hacker|スマートフォンに時間を奪われてない? 「スマホ時間」を「勉強時間」に置き換えるワザを身につけよ。 PRESIDENT Online|どうやって勉強時間を確保するか? Study Hacker|“短時間サイクル” で効率的な学習を。医学生がおすすめする「短時間集中型勉強法」