「自分は無能なんじゃないか」

自分の短所ばかり目について、自分が嫌いになってしまうことがありますよね。例えば、飲み会でコミュニケーション能力の高い友人が周りを爆笑させているのに対して自分は全く面白いことが言えない時、猛勉強のすえ満を持して挑んだTOEICの点数が予想外に低かった時……。

そんなときは、周りの人を見れば見るほど、彼らより劣っている自分が嫌になってしまうもの。自分もそれなりに頑張っているつもりなのに成果が出ないから、余計に落ち込んでしまうのだと思います。

しかし、そこで諦めてしまっては早すぎます。短所を無理に直さなくても、あなたの悩みは解決できるのです。その方法をご紹介しましょう。

果たしたい目的は何か、を考える

あなたが自分自身の短所について困り、悩んでいるのなら、それは「短所のせいで目的を果たせないから」です。

短所について悩む人の多くは、「どうすれば短所を直せるか」にばかり気を取られていることでしょう。そのため、短所が無ければスムーズに達成できるはずだと考えている「目的」を、短所があっても達成するにはどうすればよいのかについては、あまり意識が向かないのではないでしょうか。

これはつまり、考えるべき点(論点)がずれている状態です。ボストン・コンサルティング・グループに25年間勤めた内田和成さんの著書『論点思考』では、以下のように述べられています。

論点設定を正しく行うことで、考えるべきことは限定され、考えなくてもよいその他多くを捨てることができる。これが論点思考のメリットである。

(引用元:内田和成著(2010),『論点思考』,東洋経済新報社.)

短所のせいで悩んでいる場合に何を「論点」とすべきなのかというと、「どうすれば目的を達成できるのか」ということです。

例えば、「コミュニケーション能力がないから飲み会に参加しても友人ができない」という悩みならば、目的は「友人が欲しい」。「英語の長文を読むのが遅いからTOEICで高得点が取れない」と悩んでいるならば、「TOEICで高得点を取りたい」という目的ですね。悩みの裏には、目的があるはずなのです。

短所を直せない自分をひたすら悩む前に、目的は何なのか自問自答しましょう。

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他の手段はないだろうか?

目的を明確にしたら、次に、「その目的を達成するための他の手段はないか」と考えます。

例えば、「友人が欲しい」ならば、なにも今のコミュニティで無理に友人を作る必要はないかもしれません。みんなでウェイウェイ騒ぐようなコミュニティでうまく存在感が出せないせいで友人が作れないのだとしても、落ち着いた飲み会でなら気の合う仲間と話が盛り上がり、友人を作れる可能性があります。インターネットで自分の興味に合ったサークルを探すなどして、適切な環境を選んでみてはいかがでしょうか。

また「TOEICで高得点を取りたい」場合、本当に、英語の長文を早く読む能力「だけ」が必要なのでしょうか? 例えば、文法問題を猛特訓して文法問題で悩む時間を減らすことができれば、長文に使える時間が増えますから、読むのが遅くても長文問題を解き切ることができるかもしれませんよね。

このように、得意分野を探すことで間接的に苦手分野に勝つことができれば、短所はそのままにしておいても目的を果たせるようになります。

「短所があると、目的は本当に達成できないのか?」ともう一度疑ってみましょう。

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自分を活かせる環境を選ぼう

また、「短所が目立たず、長所を活かせる環境」を選ぶことも大事です。

これについては、古今東西の兵法書のうちもっとも有名なものの1つである『孫子』の言葉を紹介しましょう。

彼を知り己を知らば、勝ち危からず、天を知り地を知らば、勝ち全し

(引用元:東洋・西洋の古典書籍|孫子-地形[5]

「敵と自分のことをよく知れば、勝利できる。天と地の条件を分析すれば、勝利は決まったようなもの。」つまり、「敵と自分と環境を知れ!」ということです。

どんなに有能な人も、環境選び次第では実力を発揮することなく終わってしまいます。野球漫画の主人公が料理漫画に出てきても脇役でしょう。主人公になるということは、自分に合った分野が舞台であるときに可能になるのです。

孫子や漫画を例にすると、馬鹿らしいと思う方もいるでしょう。しかし、同じようなことは、現実でも案外起こりえます。

おとなしい性格で聞き上手だという人は、「いかに騒いで面白いことを言えるか」が重視されるような飲み会では隅っこで黙っているしかありません。目立てる機会はないでしょう。しかし、落ち着いて語り合うことが重視される席では、聞き上手だという特徴を大いに発揮できるはず。結果、沢山の友人と深く広い交友関係を築くことができます。

また、「英語の長文を読むのが遅い」という人は、じっくり考えて答えを出す性格なのかもしれません。文法問題では、「なんとなくわかった」という状態でなくきっちり理解することが肝心なので、まさにそのような人が力を発揮できる分野と言え、堅実に毎回高得点を叩き出すことができるでしょう。

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自分の短所ばかりを気にしていると嫌になってしまうと思います。ですが、ささいなことでもいいので「自分の長所は何か」と常にアンテナを張り、「短所があっても、環境を変えて長所を活かせば、目的は達成できるはずだ」と考えましょう。今までは考えもしなかったような、意外な突破口が見えてくるかもしれませんよ。

(参考)
内田和成著(2010),『論点思考』,東洋経済新報社.
金谷治訳(2000),『新訂 孫子』,岩波書店.
Naverまとめ|物事が行き詰ったときに試したい「逆算思考」
東洋・西洋の古典書籍|孫子-地形[5]
孫子の兵法 音声付|彼を知りて己を知れば、勝 乃ち殆うからず。地を知りて天を知れば、勝 乃ち全うすべし