みなさんは、「教える」のは得意ですか? 仕事にしろ、勉強にしろ、人に何かを教えるのって難しいですよね。うまく説明してあげることができなかったり、どうしてできないのかが分からなくて頭を抱えてしまったり……。筆者も以前塾講師のアルバイトをしていた際、とても苦労したのを覚えています。
今回は、教え上手で頼れる先輩になるためのコツをご紹介します。
「教える」にはコツがある
職場では仕事を、学校では勉強を、誰もが「教える」立場になり得るものですが、ただ自分が理解していればいいというわけではありません。例えば、学生時代を思い返してみてください。極端な例になってしまいますが、学校や塾の先生の教え方の分かりやすさとその学歴は必ずしも比例してはいなかったと思いませんか? 書籍をいくつも執筆しているようなエリートコース出身の先生よりも、中堅の大学を出た先生の方が教え方がうまいというケースは珍しくなかったのではないでしょうか。
教え上手になるためにはコツが必要です。ただ知識があるだけでは充分とは言えないのです。
教え上手な人とそうではない人の違い
教え上手な人と教え下手な人の決定的な違いは「相手の立場に立っているかどうか」です。教えるのが下手な人の特徴としてたびたび挙げられるのが「高圧的」であること。自分本位の言動によって相手を萎縮させてしまうのです。
また、悪気がなくてもやってしまいがちなのが「専門的な用語の多用」。相手がどの程度まで理解しているのか、それを把握していないままに教えようとしても何も伝わりません。理解していると思い込んで必要部分を省いた説明をするのも、教え下手な人が犯しがちなミスです。
さらに、「見て学んで」と自分で作業を進めてしまったり、「自分でやりながら覚えて」と丸投げしてしまったりという「教えることの諦め」は論外であり、教え方以前の問題でしょう。
教え上手になる方法
・どこまで理解しているかをこまめに確認する まず、「自分と相手は違う」という前提で話を進めることが大切です。「さすがにこれくらいは分かっているだろう」と、教える側が自分と同じレベルを相手に期待するのは禁物。両者間に存在している「知識・前提理解のギャップ」を把握し、相手が躓いているポイントをこまめにチェックしましょう。
その際には、「はい」「いいえ」では答えられないような質問を投げかけるのがおすすめです。「〇〇について分かる範囲で説明してみてください」といった聞き方がいいですね。文字にして書き出してもらうのも効果的です。
・情報のズームイン・アウト どこまで理解しているかを確認した後は、ズームイン・ズームアウトを意識しながら説明すると分かりやすいでしょう。ズームインは具体例、ズームアウトは概念と考えてください。概念が理解できていなければ具体例を述べてもピンとこないので、その場合は概念から説明していくべきです。また、概念が理解できている場合にはいくつか具体例を挙げるだけで理解が進みます。
例えば、心理学の「ツァイガルニク効果」について説明するとしましょう。この効果の概念が理解できていない人に「連続ドラマの一話が気になるところで終わるのはこの効果を利用しているんだよ」「バラエティ番組の盛り上がる部分でCMが入るのもツァイガルニク効果」「学生時代の片思いをいつまでも忘れられないのもツァイガルニク効果だね」と具体例ばかり挙げても、なんとなく輪郭は掴めるかもしれませんがしっかりと理解することは難しいでしょう。その際には、ズームアウトを意識して「達成できなかったことや中断されたことの方が印象に残る現象のことだ」と、まず概念を説明してあげればきちんと理解ができるはずです。
反対に、この概念だけ知っている人に対しては具体例さえ挙げればすんなりと理解ができますよね。
・相手のテンポに合わせる 教える作業は「相手本位」が基本です。学習のテンポも相手に合わせるように心がけましょう。頭の回転が速い人はスローペースで教えられるとだれてしまいますし、ゆっくりと咀嚼して思考したい人を急かしても何のプラスにもなりません。テンポよく学びたい人にはすぐに応えるような速さで、一つ一つゆっくりと考えたい人には充分な考える時間を与えられるといいですね。
頭の回転の速さが頭の良さに比例するわけではないことを認識し、相手に合わせたペース配分で教えましょう。筆者が個別指導塾でアルバイトをしていた際も、進度にとらわれることなく生徒ごとのテンポに合わせた指導を心がけるのが最も効果的だったと感じました。
*** 基本は「相手本位」であること。自分の知識を誇示したり、思い込みで進めたりせず、相手の理解度を常に確認しながら教えましょう。
(参考) Biz Drive|教え上手になるコツを学んで、頼りがいのある上司に サイボウズ式|教え上手な人間の特徴をあばいてみた STUDY HACKER|教え上手な人になる。上司・先輩は知っておきたい「教え方」の基本ルール Swing Root|ツァイガルニク効果 仕事や勉強に役立つ「続きが気になる」心理学