みなさんは普段、どのようにして勉強用のノートをとっていますか? もちろん、勉強した内容を忘れないように工夫してメモをとっているかと思います。しかし、メモを書くだけで満足してしまったり、継続的に勉強ノートをつけるつもりが挫折してしまったりと、うまくいかなかった経験がある方も多いのではないでしょうか。

今回はそのような方々に、 “記憶の定着”と“モチベーションアップ”に特化した「学習手帳」の作り方を紹介します。手帳ならではの機能を利用して、誰よりも効率よく知識を手に入れましょう。

学習手帳が生み出す効果

「学習手帳」とは、計画的かつ効率的に勉強をしていくために、勉強時間や勉強内容などを管理する手帳です。そこでは、手帳の強みとなる2つの要素「日付ごとに時系列で並んでいること」と「ブロック形式の構造」から、以下のような効果が期待できます。

1.圧倒的に記憶しやすい
人間の記憶とは、空間視覚からの情報によって印象づけられると言われています。一般的に手帳の構造は日付ごとのブロックに分かれていて、時系列で左から右へと並んでいるため、通常のノートに比べて空間視覚的な要素が大きいと言えるでしょう。その結果、記憶の定着を助けてくれるのです。

また、学習手帳においても一般的な手帳同様に、その日の予定やエピソードを書き込みます。記憶は基本的に「思い出すこと」によって定着していきます。その日に起こった出来事にまつわるエピソードが多ければ多いほど、記憶を呼び起こしやすくなるのです。

例えば、手帳に「13時〜就職説明会」と記入していた場合、その予定の前後の行動や一日の流れを思い出すことで、芋づる式に記憶を想起していくことができます。13時から就職説明会があった→時間が足りずに英単語を直前まで勉強していた→最後に見たページには○○という単語があった……という流れが頭の中で組み立てられるでしょう。

2.モチベーションの維持につながる
また日付ごとに勉強時間や勉強内容、重要なポイントなど、勉強に関する情報を時系列で記入することにより、モチベーションアップにつながります(その方法は次の章で詳しく説明します)。

物事が続かない原因のひとつとして、やった分だけの効果が実感できないということがよく考えられます。しかし、自分の実績を「可視化」することによって、モチベーションを上げて継続することは可能なのです。

3.今後の勉強の見通しがつく
これから自分はどのくらい勉強すればよいのか、スケジュール帳があれば先々の計画も立てやすくなります。一般的に、スケジュール帳では1年間の予定を書き込むことができるので、最大1年間の勉強計画を立てられるはずです。1週間・1日ごとの短期的な目標から、1年間の長期的な目標まで、やるべきことを漏らさず予定を組むことができるでしょう。

それではさっそく、学習手帳を作る手順をみていきましょう。

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1. スケジュール帳を選ぶ

まず最初に、下記の観点を参考にしながら自分にピッタリ合うスケジュール帳を選びます。

【日付ごとにタイムスケジュールが組み込まれている】
時間ごとに予定を書くことで、後々見返してその日の出来事を詳細に思い出すことができます。これによって、出来事と勉強内容が結び付き、勉強内容の記憶の想起がよりしやすくなるのです。また、予定を書く際にも時間ごとに管理ができるため、先の行動を常に予測して動くことができます。

【タイムスケジュールの下にスペースがある】
ここに勉強に関する基本情報を書き込んでいくので、ある程度(タイムスケジュールの半分以上)のスペースがあるといいでしょう。

【デザイン】
モチベーションアップに大きな影響を与えるのがデザインです。見た目がお気に入りのものを選ぶことで、自然とスケジュール帳を開く回数も増えていくでしょう。

【大きさ】
見やすさと持ち運びやすさは非常に重要です。自分が見たときに最もしっくりくるもの、また復習をするため、常に持ち運ぶことができる大きさを選びましょう。

【紙質】
書き心地は、1年間継続的に使っていく上で重要な指標です。書いたときに気持ちが良いと感じるものを選ぶことで、毎日書くことへのモチベーションを維持することができるでしょう。

筆者が使用している手帳は、見開きで1週間分のスケジュールが書き込めるタイプです。今回はこのような手帳を参考に使い方を解説していきたいと思います。
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2. 計画をタイムスケジュール欄に記入する

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【1】タイムスケジュール欄に勉強以外の予定(水色、緑)と勉強の予定(ピンク)を記入する。

【2】勉強の欄に、その日の勉強での目標を「数量的に」3つ書く。
「英単語50個 過去問100題 教科書~p30」など、目標を「数量的に」3つ書くことによって、その日に何をすべきかを明確にします。

3. 実施後、スペース欄に記入する

次は、タイムスケジュール欄の下部にあるスペース欄についての説明です。
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【1】時間数を記入する。
学習の時間数を記入します。これによって、その日どれだけ勉強したかを把握することができます。
(例)「6.5時間」

【2】想起に必要な重要ワード3つを記入する。
復習の際に、学習内容がおおよそ思い出せる材料を3つのみ書きます。筆者は心理学の勉強をするので、例えば「仮現運動 刻印付け 凝集性」のように、その日の勉強で最も重要だと思うことを3つ書きます。

【3】ひとこと感想を書く。
学習の感想を記入します。これによって、感情と記憶の結びつきを利用し、より記憶を想起させやすくします。
(例)「仮現運動の種類が多くて覚えるのが難しい」

勉強内容が鮮明に頭に残っているうちに、キーワードや一言感想を記入することで、勉強内容(キーワード)と感情(感想)が結び付き、復習の際にも記憶を想起しやすくなります。また、時間がたつとせっかく勉強した内容が抜け落ちてしまう危険性があるため、勉強後すぐに記入する習慣をつけましょう。

4. 1週間のまとめを書く

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【1】1週間の合計勉強時間を書く。
この例の場合、1週間の勉強時間の合計は27.5時間なので「27.5」と記入します。

【2】1週間勉強した中で最も難しい勉強内容を3つ書く。
この例の場合「仮現運動 古典的条件付け 性格類型論」と書きます。

【3】1週間を振り返り、感想をひとこと書く。
「類型論の提唱者の名前が覚えられない」というように、毎日のひとこと感想と同じ要領で記入。

5. 復習する

記憶は復習によって定着するものですが、この手帳を使用することによって「思い出す」作業が格段に行いやすくなります。具体的な復習の方法は以下の通りです。

【1】前日記入した学習情報を見返す
【2】キーワードを使用して、思い出す作業を行う
【3】思い出せたら〇、思い出せなかったら引用元に戻って確認をする
【4】次回復習時に〇のついていないところをもう一度復習する

この一連の流れを毎日繰り返していきます。この手帳のメリットは、スペース欄の狭さゆえに必要以上にキーワードを書き込めない点です。そのため、「思い出す」までの過程が通常のノートに比べて多くなり、記憶の定着を促進してくれるのです。

また、記憶は寝ている間に頭の中で整理されると言われているため、寝る前の復習によって勉強した内容が正確に整理されることにつながります。さらに翌朝復習することで、まとまりのある情報が頭に再度インプットされます。このように復習のタイミングを意識することが記憶の定着につながり、手帳をより効果的に使いこなせるようになるでしょう。

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メモの取り方や復習するタイミングを少し意識して変えるだけで、ただのスケジュール帳が「あなただけの学習手帳」へと変化します。計画的に勉強を進めるためにも、できることから実践してみましょう。

(参考)
スーザン・ノーレン・ホークセマ,‎バーバラ・フレデリックソン,‎ ジェフ・ロフタス 著, 内田一成 監訳 (2015),『ヒルガードの心理学 第16版』, 金剛出版.
無藤隆著,遠藤由美著,玉瀬耕治著,森敏昭著 (2004),『心理学』,有斐閣.