みなさんは、勉強をする際に手を抜くことがありますか?
「そんなことはない!」と、おっしゃる方がおそらく大半でしょう。授業で取ったノートを暗記したり、問題集を解いたりすることで理解を深めているかもしれませんね。
その中で、問題集はいつも必ず第1章からやり始めるなど、勉強を自分の思う通り完璧にやらなければ気が済まないという方はいないでしょうか。そのような人は、学習の効率が下がってしまっている可能性があるかもしれません。そこで今回は、効果的な「手抜き」勉強術についてお伝えします。
勉強における「完璧主義」の罠
勉強は、まんべんなく完璧にやらなければ内容が身に付かないと思っていませんか?
筆者も以前はそう考えていました。参考書を見ていても分からない部分があるとなかなか先に進めず、試験時には勉強範囲が終わらなかったこともしばしば。そのような調子ですから良い成績が取れるはずもありません。
みなさんも、完璧主義や神経質、心配性な性格が災いしてなかなか学習が進まなかった経験があるかもしれませんよ。 例えば、ペンの色を何色も使い分けながらノートをまとめ直していませんか? 参考書を何度も声に出して覚えたり、先生に質問をしたりすれば1時間もかからずに理解できるところを2時間も3時間もそのまとめ作業に費やしているのはとてももったいないことです。
手抜き勉強術1:過去問から学習を始める
では、どうすれば私たちは要領の良い勉強の仕方をすることができるのでしょうか?
いきなり過去問に向かっても問題が解けるはずないだろう、と考える方もきっといらっしゃるでしょう。しかし、最初に過去問を用いて学習を始める方が効率は良いのです。
ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウス氏によれば、人間は覚えたことを1日後には74%も忘れているのだそう。そうすると、参考書に書いてあることを全て覚えてから問題を解いて確認する作業に入っていては、試験範囲が広い場合、時間がいくらあっても足りません。
最初に過去問に取り掛かるメリットは、学習範囲全体を見渡せるという点です。参考書の1ページ目から勉強を始めると、予定していたよりも時間がかかり、結局勉強が終わらないかもしれませんよね。しかし、過去問を見れば出題傾向などが分かるため、必要な学習量を捉えやすくなります。また、自分が苦手とする部分も見つけやすいのです。
手抜き勉強術2:答えを先に見る
問題集を解く際に、決して答えを見てはいけないというのは間違いであると言えます。10分考えても分からない問題を3時間考えたら解くことができた、というケースはかなり稀でしょう。悩んでいる3時間があれば、他にできることはあるはずです。
弁護士である佐藤大和氏は、資格試験に短期間で合格するのが目的なら答えを見て暗記するだけで良い、と伝えています。勉強時間があまり確保できない忙しい社会人の方であれば、理解が多少後回しになっても良いのではないでしょうか。
もちろん答えを見るだけで実力がつくというわけではありません。しかし、本番の試験までに時間をかけて問題集を1周するより、「答えを見て解き方を確認する→解法を覚える→再度問題にチャレンジする」のサイクルを何度も回す方ができるようになる可能性は高まります。学習の順番を変えてみるのも1つの方法です。
手抜き勉強術3:問題集は1冊のみをやりきる
問題集をたった1冊やるだけでは心配で、いくつもの問題集をはしごしてしまうことはありませんか?
その必要はありません。複数の問題集に手を出してしまったが故に、似たような分野を重複して学習することになりかねないからです。新たに問題集を買っただけで勉強した気になり満足してしまうということもあるでしょう。
また、もしそれらの問題集を全て終えることができなければ、自信が持てないまま試験に臨むことになってしまいます。せっかくいろいろと頑張ったにもかかわらず成果が上がらないことほど辛いものはありません。
どうしても完璧にしたいなら、問題集はより良いものを1冊だけ選びましょう。そして、これまでに挙げた方法も参考にしながら取り組んでみてください。そうすれば、効率が悪く結果も出ないという最悪の状況を避けることができますよ。
*** 「手抜き」勉強術と称していくつかの方法をお伝えしてきましたが、本当に手を抜いてしまってはいけません。効率良く結果を出していけるよう、普段の勉強方法を工夫してみてください。
(参考) 和田秀樹著(2009),『【和田式】大人のためのハイスピード勉強法』,PHP研究所 DIAMOND online|問題は絶対に解かない。答えだけを見る MFクラウド|資格取得の勉強は、こんなに効率的にできる。そのポイント7つ リクナビNEXTジャーナル|忙しいビジネスパーソン必見!偏差値29から東大に入った勉強法から学ぶ「短時間で資格試験に合格する方法」 STUDY HACKER|成功の鍵は『脱完璧主義』 手抜きを許す勇気を持とう!