覚えるべき暗記事項がたくさんあって大変! という試験の勉強においては、「あえて暗記の正確さレベルを落として適当に覚える」のもひとつの手です。
あいまいな暗記でも何とかなるなら、それでよしとする
試験では、出題される問題の形式や難易度によって、正答するのに必要となる「暗記の正確さレベル」は大きく変わってきます。記述式の問題では用語や数値などを正しく(漢字・表記も含めて)書けるレベルで正確に覚えていなければなりませんが、択一式の問題なら、いくつかある選択肢の中から正解を選べさえすればいいので、ある程度おぼろげな暗記レベルでも正解できてしまいます。
たとえば、「読めるけど書けない漢字」として有名なものに「薔薇(バラ)」がありますね。これを漢字で書かせるタイプの試験であれば正確に書けるように覚えないといけませんが、漢字の「読み」のみを問う試験や、択一式の試験であれば、「薔薇」という漢字のなんとなくの特徴だけ認識しておけばよい(字面を見たら「バラ」という読みが思い浮かぶ程度でOK)わけです。
もちろん、「【1】完璧に正しく覚える」「【2】あいまいだが一応なんとなく覚える」だったら【1】のほうがいいに決まっています。しかし、【2】から【1】に暗記レベルを上げるのに多大な時間や労力を要し、かつ、試験で正答するのに【2】の暗記レベルでじゅうぶんなのであれば、【1】にこだわる必要はまったくありません。
そもそも、大量にある暗記事項のすべてを完璧に覚えようとするのは無謀というか、おそらく無理です。100%の完璧さで30個の暗記事項を覚えるより、30%の適当さでよいので100個覚えるようにしたほうがよいというケースは多々あるわけです。
どの程度正確に覚えておかないといけないか? を意識して覚える
ということで、試験勉強における暗記作業においては、「どの程度の正確さレベルでの暗記が必要か?」ということも意識して覚えることをおすすめします。
「あえて暗記の正確さレベルを落とす」例としては、下記のような覚え方が挙げられます。
・長くて覚えられない用語は最初の数文字だけ覚える ・長くて複雑な文章はキーワードだけピンポイントで覚える ・人物名は名字だけ覚えて下の名前は省略する ・外国語の単語を正確なスペルではなくカタカナで覚える ・数字を正確な値ではなくだいたいの概数値で覚える
「10のあいまいな知識より、5の確実な知識」といったことを書いている勉強本もあり、確かにそれは間違いではありませんが、「あいまいな知識」というものにもいくつかタイプがあり、「確実な知識にまでもっていく必要がある『あいまい知識』」と「細かいところはいい加減でもOKな『あいまい知識』」があるのです。
「ざっくり暗記でいい」「ある程度あいまいでもいい」といっても、「これの答えはAだっけ? Bだっけ?」となってしまうようなのはダメですよ。
試験のためだけの暗記、と割り切ることも必要
「いやいや、そんな適当な暗記では、試験は受かっても実務では役立たないでしょ?」と思う人もいらっしゃるかもしれません。しかし、「試験」と「実務」は完全に別物なので、はっきり分けて考えたほうがよいのです。
試験に出ることがすべて実務においても重要・有用な内容というわけでもありません。「試験には出るけど実務ではほぼ使わない知識」なんてものは山ほどありますので、そういうところはあえて勉強は深入りせず、とりあえず試験対策のためだけの表面的な暗記で何とかする、と開き直るのもひとつの手です。
本当に実務で必要な重要な暗記事項は、実務に携わっていれば自然に覚えます。逆に、本質的にさほど重要でなく、たまに出てくる程度、というレベルの用語や数字は、もし実務で必要になったらその都度書籍やネットなどで調べればよいだけの話です。細かい法律の条文など、正確に覚えていなければならないのは試験対策のためだけ、という内容も多々あります。
なので、細かい暗記事項はすべてを長期記憶として完璧に脳に焼き付けておこうとする必要はないのです。試験対策における暗記では、これくらい開き直って取り組むくらいがちょうどよいでしょう。