コップに水が半分入っています。さて、あなたならこの水をどう表現しますか? こう聞かれたとき、「もう水が半分しかない」と答える人が、日本人には圧倒的に多いそうです。 日本人は完璧主義で自己批判の厳しい民族だ、とよく言われますが、実際に成果を残すためにはこの完璧主義は重い足かせになることも多いもの。「まだ水が半分もある」といえる人間になるコツをお教えします。
なぜ完璧主義はよくないの?
なぜ完璧主義はよくないのでしょうか。一見完璧な成果を出すことにこだわる完璧主義は、いいことのようにも思えます。ですが、完璧主義には、そこに至るまでに、たくさんの問題を抱えているのです。
・なかなか行動に移せない 完璧主義の人は、失敗を恐れがちです。見通しが立たないまま、飛び込むことをよしとしません。完璧な見通しを立ててからでないと挑戦できないのです。そのせいで、もしかしたらうまくいっていたかもしれないチャンスを、逃してしまう可能性が高くなっているのです。
・反省が多い 完璧主義の人は自分自身が完璧であろうとします。そのせいで、失敗を非常に大きなこととしてとらえてしまい、反省に時間をかける傾向があります。もちろんしっかり反省をし、一度犯した過ちを繰り返さないことは大切です。ですがチャレンジしないことには成功はありません。過去ばかり見つめがちな完璧主義者の人にはチャレンジの回数が少ないという良くない傾向があります。
・自分への期待が高い 完璧主義者の人というのは自分への期待が総じて高めです。自分が完璧に物事をこなせるとおもうからこそ、完璧を求めるのです。ですが、そのせいで、ひとつ失敗しただけで「自分はだめなやつだ」と自分のことを過剰にだめだと評価してしまいがちな面もあります。
・周囲に理想を押し付ける 完璧に物事をこなすことは自分一人ではできないことの方が多いです。そのため、完璧主義者は自分の理想を達成するため、周囲の人にも、しばしば自分の理想をおしつけて、反感を買ってしまいがちです
このように完璧主義者にはたくさんの問題点があり、そのせいで、せっかく自分が出来るはずのことでも、結果を出し切れなかったり、そもそもチャレンジできなかったりということがあります。これを直すにはどうすればいいのでしょうか。
脱、完璧人間!手抜き上手になる
まずは、考えるのをやめ、しなければいけないことを習慣化してしまいましょう。 完璧人間は、物事をやる前から緻密に考え、それをコツコツ実践していきがちです。ですがこの方法は、しんどい!(笑)
考えながら物事を進めていくことは、脳にも多大な負担を強いてしまいます。よくやること、ルーティンワークなどはいちいち考えて最善を目指すのではなく、なるべく習慣化してしまうのです。 また、そのときに習慣づけるものはなるべくシンプルなものにしてください。 このようなたとえ話があります。
朝起きてジョギングをする習慣を身につけようとしている場合をイメージしてください。 第一のグループでは、起きて歯を磨き、顔を洗って、運動着に着替えて、ジョギングするのを習慣化しようとしています。第二のグループでは、起きたらすぐに運動着に着替えて、ジョギングをするようにします。 どちらが習慣化されやすいかというと、圧倒的に手間がかからない後者の方になります。
(「何をやっても続かないのは、脳がダメな自分を記憶しているからだ」岩崎一郎著 クロスメディア・パブリッシング 2014年第五版) このようにやることが少ない方が圧倒的に習慣化されやすいのです。このあたりも、完璧主義者の方は、自分に負荷をかけようとする傾向があるので要注意です。 やらなければならないことが習慣化され、ある程度考えなくても一定の業績が出せるようになってきたら、次は自分のやりたいことに挑戦します。完璧主義者の人は成果を「0か1か」で考えがちですが、ある程度業績を出したうえで挑戦をするのであれば、その挑戦でたとえ成果が上がらなかったとしても、トータルの業績は0にはなりません。 冷静に考えれば、完璧を求めて「0か1か」の挑戦をするよりも、後者のようにコンスタントに一定の業績を残せるほうが評価が高いのはわかると思います。まずは一定の業績を出し、自分を認めてあげるところから始めましょう。
完璧主義者は治せる
なぜ、私が今回この話をしようかと思ったかというと、私もかつては完璧主義者だったからです。 1番になれないならドベのほうがまし、完璧じゃないといやだ。大学にはいってからもしばらくはそう考えていました。 ですが、転機は大学二回生前期試験のときに訪れました。 試験勉強でも完璧を求める私は、一科目の勉強にある程度見通しが立たないと、他の科目に集中することができませんでした。大学受験まではそれでもなんとかなったのですが、さすが京都大学法学部。その調子で勉強していたら、一か月以上前から勉強を始めたにもかかわらず、一科目分しかまともに勉強が終わらず、結果16単位中4単位しか取得できないという悲惨な結果に。 このままでは卒業できない、と焦った私は、後期では、完璧な理解をあきらめ、すべての科目で概要をつかむことを目標にし、余力が出て初めて細かい部分を詰める勉強法にシフトしました。 そうするとなんとか後期ではフルで単位を取ることが出来、勉強に対しても前期に感じていたような無力感ではなく、「やればできる」という肯定間を得ることが出来ました。 完璧主義は結果が出ないだけでなく、精神的にもつらいものがあるんだな、と私はその時初めて気づけたのです。
もしこのコラムを読んでくださっている方の中に「自分は完璧主義者だ」と思う方がいたら、いったんそれをやめる勇気をもってみてください。結果も、やりがいも、あなたが今感じているものより格段に向上することをお約束します!
(参考) 「何をやっても続かないのは、脳がダメな自分を記憶しているからだ」岩崎一郎著 クロスメディア・パブリッシング 2014年第五版
