Young business woman in cafe with laptop

「東大に入学した理由は何ですか?」
同級生に聞くと、こう答える人がいる。

「世の中に役立つ研究をして、困っている人を助ける発見をしたいから」
「自分が何事にも先頭に立ち引っ張っていけるリーダーになりたいから」

立派だし、これらの理由を否定するつもりはない。
ただ、「成績をあげる」という観点からいくと、こうした目標、モチベーションというのはあまりよくないということがわかってきた。

「意識高い系」な目標でなくても、十分モチベーションを保てるということをお伝えしたい。

badge_columns_1001711目標を立てるのは「気持ちいい」からだった

そもそも、なぜ人は目標を立てようとするのだろうか。

それは、「目標を達成すると気持ちいい」からだ。

脳には「報酬系」と呼ばれる仕組みがあることがわかっている。

何か行動を起こしたとき、それに対して報酬が呈示されたときには、脳内でドーパミンと呼ばれる神経伝達物質を分泌する神経が活発化。脳内で快感を感じる部位がはたらき、「またしたい!」と感じるからだそう。(参考:国里愛彦, et al. “うつ病において報酬系の機能は阻害されるか?―うつ病と報酬系に関する認知神経科学的検討―.” (2008).)

そう、目標を達成すると、脳の中でその達成感を「報酬」として認識。気持ちいい!!と感じるから、またやりたくなるのだ。

これが目標をたてる理由。

長時間学習からの脱却。多忙な就活生が短時間でTOEIC®855点獲得した、科学的理由。
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badge_columns_1001711エサがあるから頑張れる。動物に学ぶ「報酬」の意味

人の場合はわかった。では、動物ではどうだろう。

イヌやイルカなど、ある程度発達した脳を持つ動物なら、芸を仕込むことができる。
では、そうした動物はなぜ芸をするのだろうか。

「芸をすることによって人間を楽しませたい!」
「自分が他のイルカたちを引っ張っていきたい!」

そう考えているかというと、そんなはずもない。
やっぱりイヌやイルカも人間と同じ。「気持ちいい」からやっているのだ。

ただしこの場合、人間と違って「報酬=目標」ではない。それはドッグフードであったり、餌のイワシであったりする。

芸をすると、エサをもらえる。そうすると、脳内の報酬系で「気持ちいい」と感じる。
だからまた芸をやりたくなる。

こういう理由で動物たちは芸をやってくれるのだ。

Sad Looking British Bulldog Tempted By Plate Of Cookies

badge_columns_1001711「セコい」目標設定で脳をブーストさせよう

人間の場合。
目標をたてるとそれが報酬になる、といったが、果たしてそれは本当に効果的な「報酬」なのだろうか。

よく考えてみてほしい。

例えば勉強する目標として「東大に合格する」というのを立てるしよう。脳では、それを達成したときに「気持ちいい!」と感じる。

でもこの目標、何回も達成できるものではないということにお気づきだろうか。
確かに、一度達成したときの快感は凄まじいものだろう。
脳内では快感物質のオンパレードになるに違いない。

でも、その快感は普段感じることができない。
毎日の勉強は、「報酬」がない状態で続けることになるのだ。

勉強以外でも、これは同じ。目標をあまりに大きくしてしまうと、快感を感じるはずの「報酬」がないまま努力をしなければならない。イヌやイルカに、エサをあげずにウルトラC級の芸を覚えこませようとしているのと同じなのだ。

そこで筆者が提案したいのが、「目標はセコく設定する」ということ。

例えば、「勉強を90分続けられたらチョコを一口食べる」「今度の模試でいい点をとったらばあちゃんから5000円もらえる」なんていう風に。

何も高尚な目標でなくても、いやむしろ高尚でないからこそ、脳は激しく活性化し、努力を続けることができるのだ。

***

立派な決意。素晴らしい。高尚な目標。最高だ。

でも、毎日の努力を続けるとき、そうした「大きな目標」を目指すのはしんどい。
目標はセコく。現金なやつの方が、かえって成功するのかもしれない。

参考
池谷裕二|受験脳の作り方
国里愛彦, et al. “うつ病において報酬系の機能は阻害されるか?―うつ病と報酬系に関する認知神経科学的検討―.” (2008).


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。