皆さんは朝型ですか? 夜型ですか? 人によっていろいろな生活リズムがあると思いますが、脳科学的立場から言えば、朝型の方が高い生産性を上げられるということがわかっています。
「朝活」という言葉が生まれるくらい朝の時間は何かをするのに非常に適した時間ですが、実際に夜型の人間が実践しようとしてもなかなか難しいと感じるはず。そこで今回は、朝活の有用性を改めて確認しながら、どうすれば夜型の人でも朝活に成功できるのか、ちょっとしたコツを紹介したいと思います。
朝の時間は脳がフレッシュな“スターの時間”
そもそも朝活が効果的なのは、睡眠と脳の性質によるものです。
人間は、睡眠中に記憶の整理と疲労回復を行います。そのため、起きた直後の脳は記憶が整理されて疲労も回復した一番フレッシュな状態であり、脳の処理能力も上がるのです。朝の時間は何かを決断する「意志の力」も最大限に発揮され、その「意志の力」は小さな判断の積み重ねと共に夕方から夜にかけて低下していく、と言われています。つまり、朝の早い時間というのは「何かをやろう!」と物事に取り掛かるのに適した時間帯でもあります。
このような性質から、人間の脳について非常に詳しい脳科学者の茂木健一郎氏も朝型の生活で生産性のアップを図る生活を実践していますし、非常に多彩な執筆、講演活動をもこなす経営コンサルタントの小宮一慶氏も早朝の時間を“スターの時間”と呼んで大切にしている、と言います。他にも、スティーブ・ジョブズや英国最初の女性首相となった「鉄の女」ことマーガレット・サッチャー、スターバックスのCEOであるハワード・ショルツ氏、アップルの現CEO、ティム・クック氏など、早起きのエピソードで有名な成功者は枚挙にいとまがありません。
では、有益な朝の時間を有効に活用するにはどうすれば良いのでしょうか?
起きた直後の行動が大事
夜型で朝が苦手という人のほとんどが起きてからなかなか行動できない、ついつい二度寝をしてしまうといったことに悩んでいるかと思います。
朝活最大のポイントは、目覚めた直後の眠気をどうするかということにつきます。寝つきの良さや眠りの深さなど、個人差があることからも寝起きの悪い人がそれを直すのは難しそうに思えますが、しっかりと脳科学的なアプローチをすれば必ず効果は出てきますよ。
朝起きて最初にすべきことは、とりあえず外に出るということです。 起床後すぐに外に出るというのはハードルが高いかもしれませんが、近所を数分だけ散歩してみるだけでも驚くほどに目が覚めるでしょう。まず、日光を浴びることで脳が幸福ホルモンとも呼ばれるセロトニンを分泌し、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制します。また、身体を動かすことによって側坐核と呼ばれる部位が活性化し、ドーパミンが分泌されるのです。脳科学者の茂木健一郎氏は、朝起きてからすぐにコンビニに行く、ということを長年の習慣とし、朝型生活に役立てているそう。
しかし、寝起き姿で外に出るのはちょっと恥ずかしいという人もいるかもしれません。そんな方は、日光の入る窓際で軽い運動やストレッチをすることでも同様の効果を得られますよ。
起きやすい環境づくり
朝活で一番辛いのはベッドから出ること。それを楽にするためにも少しでもすっきり目覚めることが重要です。
人間の睡眠サイクルは、一般的に深い眠りと浅い眠りがワンセットで1.5時間ずつとなっているので、1.5時間の倍数の睡眠時間であれば眠りの浅い時間に目覚め、すっきりと目を覚ますことが可能だと言われています。そのため、起きる時間から逆算して、6時間や7.5時間前に眠りにつくことができるように計画するのが効果的でしょう。
また、前項でも述べたように日光を浴びることは人間の脳を覚醒モードに導くという効果があります。眠る直前にはカーテンを少し開けておき、朝から自然と部屋に日光が入る環境を作っておけば寝起きの辛さがグッと楽になりますよ。
早起きの基本、早く寝ること
当たり前のことですが、夜更かしをすればするほど朝起きるのは辛くなります。十分な睡眠時間が取れていないと脳も身体も疲労を回復しきれなくなるからです。そのため、朝の時間を有効に活用するためには、早い時間に床に就くことができるように注意することが重要でしょう。
忙しい中で早い時間に床に就くことは難しいと思うかもしれませんが、人一倍忙しい中で数々のアウトプットをこなしている経営コンサルタントの小宮一慶氏は実際にこの「早寝」を実践しています。
22時半には寝たいので、会食があっても一次会しか行かず、8時過ぎには切り上げてもらうようにしています。遅くまで飲んでいたら、朝、頭が働くはずがありません。
(引用元:THE 21 ONLINE|多忙なコンサルタントの「スターの時間」活用法)
誰かとの約束があっても、事情をきちんと説明すれば対応もしてもらえるはず。飲み会などでつい夜更かしをしてしまうのではなく、きっちりと線引きをして生活リズムをコントロールすることが重要です。
また、やらなければならないことが多くて遅くまで寝られないときも、その仕事を翌朝に回すという選択肢が存在します。同じく小宮氏は、“スターの時間”にそのタスクを行うことで所要時間も短くなり、更に成果物の質も向上する、と述べているのです。特に、夜遅い時間というのは1日の疲れで脳の働きが鈍っている時間ですから、作業を早めに切り上げてスターの時間に回すことで非常に大きな時間の節約になるでしょう。
*** 朝早くから活動すると、その分不思議と1日が長くなったように感じます。気持ち良く毎日を過ごすためにも、ちょっとしたコツを使って朝型生活に切り替えてみませんか?
(参考) THE 21 ONLINE|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方 THE 21 ONLINE|多忙なコンサルタントの「スターの時間」活用法 LEADING&COMPANY|スターバックスCEOが毎朝4:30に起きる理由「21世紀の歴史は朝に作られる。」 Entrepreneur|The Power of Mornings: Why Successful Entrepreneurs Get up Early