「時は金なり」という言葉があるように、時間は大切なものと考えられていますね。多くの人は、自分の時間を大切にしようと思っているはずです。
では、ここで少し考えてみてください。自分の時間を何に使ったか覚えていますか。このように自問してみると、しっかりと答えることのできる人はかなり少なくなってくると思います。時間が大切であることはわかっているのに、実際は、自分の時間をコントロールできていない人が多いのです。
時間を大切にするというのは、具体的に何をすることなのでしょう。どうすれば、自分の時間をコントロールし、最大限活用することができるのでしょうか。今回は、時間を大切にするための考え方や行動の仕方を紹介します。
成功者は時間の使い方を意識している
ビジネスで成功している人の中には、自分の時間をきちんと意識しコントロールできている人が多いという調査結果があります。
雑誌『PRESIDENT』が行ったアンケートで、年収500万円台の人と2,000万円以上の人の時間に対する考え方を比較した調査があります。それによると、「1週間168時間を何にどのくらい使っているかおおよそ把握している」という設問に対してYESと答えた人の割合は、2,000万円台の人で28.8%、500万円台の人で19.2%という結果となり、約10ポイントもの開きがありました。
ここで言う年収500万円台の人というのは平均的なサラリーマンで、2,000万円以上の人というのは経営者や管理職、自由業などで高収入を実現している人たちです。自分の時間をしっかり把握していることと年収には、相関関係があるといえるでしょう。
時間の使い方は、量よりも質が肝心
仕事にも勉強にも当てはまることですが、作業するときには、時間の量よりも、時間の質が大切。いかに長く働くかではなく、いかに良いアウトプットを出すかを重視しましょう。
先ほどのアンケートのほかの設問で、「残業するより、家に仕事を持ち帰ることが多い」というものがありました。これにYESと答えた人の割合は、年収500万円台の人に比べ2,000万円台の人のほうが多かったのです。2,000万円台の人の16%が仕事を家に持ち帰ると答え、その結果は500万円台の人に占める割合の約2倍でした。
この結果からは、年収500万円台の人は、会社で残業をしなければならないと考えていると言えます。もしかしたら、残業代が付く業務体系だから残業している一般のサラリーマンは多いかもしれませんね。一方、高収入を得ている人は、残業代が付くかどうかではなく、一番高いパフォーマンスを発揮できる時間帯はいつかを考えて仕事をしていると見られます。
今は平均的な収入でも、将来高い年収を得ようと思うのならば、時間をコントロールしていかに良いアウトプットを出すかにこだわりを持つことが大切であると言えるのではないでしょうか。
時間の質を最大限に高めよう
では、時間の質を高めるための具体的な方法をお伝えします。
まず、「自分が最もパフォーマンスが出せる時間帯はいつなのか」ということを考えましょう。早朝は頭が一番スッキリしていて作業をスピーディーにこなせるという方がいれば、夜寝る前が一番落ち着いていて作業効率が高いという方もいます。ランチの後が一番はかどるという方もいるでしょう。自分にとってのゴールデンタイムを発見してください。
自分のゴールデンタイムを見つけた後は、「ゴールデンタイムを最大限活用できるようにセッティング」しましょう。言い換えれば、その時間を誰にも何事にも邪魔されないようにする、ということ。ゴールデンタイムまでにメールチェックなどの雑務は終わらせておき、本来の仕事に集中できるようにするべきです。ToDoリストの確認も、ゴールデンタイムの前に済ませておきたいですね。朝がゴールデンタイムという人は、これらの雑務は前日のうちにしておくとよいでしょう。
また、いつでもできるような仕事、定例的な仕事をゴールデンタイムにあててしまうのはもったいないこと。ゴールデンタイムには、最も創造性が問われる仕事を中心に行いましょう。
時間をコントロールするために肝要なのは、仕事の生産性をいかに高めるかを考えることでもあるのです。
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時間をコントロールすることは、成果をコントロールすることでもあり、ひいては収入のコントロールにもつながります。時間の大切さを再認識し、時間の使い方を工夫することでよりよいパフォーマンスを目指しましょう。
(参考)
PRESIDENT Online|「年収2000万社員vs500万社員」実労半分、成果5倍の法則30【1】
『PRESIDENT』2009年3月2日号, プレジデント社.
小宮一慶著(2009),『どんな時代もサバイバルする人の「時間力」養成講座』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.