仕事がデキない人の机はなぜ散らかり放題なのか? 時間と意志力を温存する “トヨタ式” 整理整頓術。

皆さんは、職場のデスクや自宅の勉強机を、うまく片付けることができていますか? 物が多くていつも雑然としている。片付けようとしても物が捨てられず整理しきれない。そんな状態になってはいませんか?

実は、デスクの環境は、仕事や勉強の効率に影響を与える要素のひとつです。「仕事ができる人のデスクを見てみたらやっぱり整っていた」なんて経験がある人も多いことでしょう。ならば、自分のデスクもすっきりと片付けて、仕事ができる人に近づきたいもの。

そこで今回は、さまざまなメディアで話題の「トヨタ式片付け術」をご紹介していきたいと思います。

トヨタ式片付け術とは?

トヨタ式片付け術とは、トヨタ自動車の工場やオフィスで実践されている片付け術のこと。トヨタと言えば、無駄を排除することで生産を徹底的に効率化し、高い品質・短い納期・低コストを実現する生産方式がよく知られています。これを、無駄の排除、整理整頓という観点で支えるのがトヨタ式片付け術なのです。

トヨタ式片付け術では、以下のような状態は「ムダ」を生むものだと考えます。

  • 物が溢れかえっている。
  • 物の定位置が決まっていない。
  • 使う場所とは別のところに物が置いてある。

例えば、物が溢れかえっているとスペースのムダが生まれ、物の定位置が決まっていないと片付ける際の判断のムダが生まれ、使う場所とは別のところに物が置いてあれば運搬のムダが生まれるのです。

トヨタ式片付けは、このようなムダを徹底的に取り除くことを目標に行われます。なぜなら、ムダを処理すればそれだけ作業能率が上がるから。実はこの考え方は、医学的にも理にかなったものです。医学博士の米山公啓氏によると、デスク上のものが少なければ少ないほど、処理すべき情報量が減り、脳のストレスは軽減され、仕事への集中力や処理能力が向上するのだそう。

そして、今回のテーマである「デスクの片付け」が下手な人の場合、トヨタにおいてムダとみなされる状態がそのままデスクにも当てはまるのではないでしょうか。片付いていないデスクは、仕事や勉強のムダになります。これから紹介する方法を使って、どんどん片付けていきましょう。

トヨタ式片付け術によってデスクを整理整頓する方法

先ほど説明した通り、トヨタ式片付け術はもともとは製造現場での片付けにおいて用いられるテクニックですが、職場や自宅のデスクにも応用することが可能です。その方法をご紹介したいと思います。

(1)住所を明らかにする

物がどの場所にあるか分からなくなって困った……そんな経験はありませんか? このような状態を回避するため、トヨタ式片付け術では、ものをどこに片付けたか、「物の住所」を表にまとめて記しておきます。デスクでもこれを真似し、「1つ目の引き出しには○○と△△と□□がある。2つ目の引き出しには……」とメモや表を作ってみてください。物を探すムダが省けるとともに、使った物をきちんと戻す習慣もつけられるでしょう。

(2)「ここより先には物を置かない」というラインを設定する

後で片付けようと思って適当にデスクに置いた物が次第に溜まっていき、ワークスペースを侵食してしまう、といったことはよくあることなのではないでしょうか。このような事態を防ぐには、「ここからは物を置かない」というワークスペースラインを設定することが有効です。これにより、スペースのムダがなくなり、いつでも十分な作業スペースを確保できるようになるでしょう。

(3)使う場所に使う物を置く

使う物が瞬時に取り出せないところにある場合、仕事や勉強の効率は目に見えて落ちてしまいます。電卓を使いたいのに引き出しの奥にあって取りにくい。勉強で辞書を使いたいのに取るのが面倒な場所にある。そんなことが何度も繰り返されると、結果的には大きな効率の低下につながります。

基本的に、物は使う場所に置くのがよいでしょう。例えば、PCの画面にメモをよく貼りつけるのなら、机の上にメモを置いておく、といった具合です。先ほど挙げた電卓や辞書にしても同じ。よく使う物ほどすぐに取り出せる位置に置いておくことで、取り出す労力や時間のムダを排除することができるでしょう。

捨てる「仕組み」を作る

トヨタ式片付け術では、整理をすることと同様に捨てることも重要視されます。使わない物をずっと保存していては、スペースのムダになってしまうからです。

しかし、捨てるということは案外難しいですよね。いざ断捨離しようとしても、「いつかは使うかもしれない」「保険として残しておこう」と考えてしまい、なかなか物を捨てられないという状況は、誰しもが経験しているのではないでしょうか。

いろいろと迷いながら捨てる・捨てないの決断をするとき、私たちは意志力をムダに消費してしまっています。人は何か決断することで意志力を消費すると言われていて、これはものを捨てるときも例外でありません。物を捨てることに対してムダな意志力を使ってしまうと、その分意志力がすり減り、その他の決断に意志力を回すことができなくなります。物で溢れたデスクは、決断力にも悪影響を及ぼしてしまうのです。

こうした難しい状況も、トヨタ式片付け術を使えばうまく解決することができます。その方法とは「仕組みを作る」というもの。具体的には、以下のような仕組みを作ることで物を捨てやすくなります。

<以下に当てはまらない物は捨てる>
1. 具体的に使う時期がイメージできる物
2. 使う時期は分からないが、○ヶ月後までに使う可能性がある物

このように仕組みを作ってしまえば、定めたルールに従うだけで自宅や職場のデスクをすっきりとした状態にすることができます。物を捨てる際に決断する負担はかなり軽減されますよね。

「○ヶ月後までに使う可能性がある物」のところは、自分が妥当だと思う期間を設定するようにしましょう。ただし、この期間をあまりにも長くしてしまっては元も子もありません。最初は2~3ヶ月などにしておきながら徐々に期間を縮め、最終的には1ヶ月くらいに設定できるようになるのがよいでしょう。

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整ったデスクで仕事や勉強をすることができれば、効率が上がることは間違いありません。作業がはかどれば、モチベーションも上げることができるでしょう。この記事を参考にトヨタ式片付けを実践し、皆さんがより良い仕事・勉強環境を自宅や職場に築いてくだされば幸いです。

(参考)
NIKKEI STYLE|トヨタ式片付け術 モノを劇的に減らす仕組みの秘密
東洋経済ONLINE|なぜトヨタ式片づけは大きな効果があるのか
日経ウーマンオンライン|机がきれいな人に仕事ができる人が多いワケ
StudyHacker|意志力は “決断” のたびに消費される。スムーズに早起きできるようになる「小さな朝習慣」

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