みなさんは、会議や授業でプレゼンをする際、うまく伝えられている自信はありますか?
たとえ話を聞いてくれていても、理解できたかどうかまでは分かりませんよね。口頭での説明や、資料、スライドにも必要な情報はすべて記載されているにもかかわらず、相手が首をひねっているという状況に戸惑いを覚えた経験がある方がもしかするといらっしゃるかもしれません。
そのような場面では、資料やスライドの見せ方をほんの少し変えるだけで相手が納得、理解してくれるようになるかもしれませんよ。そこで今回は、資料やスライドを分かりやすく相手に伝えるための「色」の使い方についてお伝えします。
「文章だけ」では伝わらない
たとえ話し方がうまくとも、資料やスライドに書かれた文章が丁寧であったとしても、自分の伝えたいことが人々にうまく伝わらないことがあります。
特にプレゼンを行う場合であれば、相手の視覚に訴えるものがなければなりません。NPO法人国際プレゼンテーション協会によれば、人間の五感における情報吸収率は聴覚が20%、視覚が60%だそう。人間は物事を判断する際、視覚情報に頼りがちであることが分かります。
これを利用したのが色彩心理学です。色によって私たちが狙ったものの感じ方を相手から引き出すことが可能となります。色を視覚に訴える効果的なビジュアルに活用することができれば、きっと相手の理解を助けることができるようになるに違いありません。
色の効果
では、資料やスライド作成に当たり、私たちはどのようにして適切な色を用いるべきなのでしょうか。それぞれの色の効果と使い方について、具体的に挙げてみることにしましょう。
1. 赤 「赤」は、ネガティブなメッセージを伝える場合に効果があります。例えば、普段の生活においても信号の赤は「止まれ」を意味しますよね。赤は危険を示すシグナルとして国際的に用いられている色なのです。資料やスライドで赤を使用する際には、「経費増」や「デメリット」などを強調したい時に用いると良いでしょう。
2. 青 ポジティブなメッセージを伝える時に使いたいのが「青」です。資料やスライドで「売上増」や「メリット」などを強調したい場合に青はうってつけだと言えるでしょう。信頼感や知性のイメージを与える色です。
3. 黒 文字の基本色として使われることが多い「黒」ですが、彩度を少し抑えた「濃い灰色」を用いるほうが見やすくなる場合があります。これは他の色にも当てはめることができ、日常生活であまり目にしない原色を避けて彩度を抑えるだけでも、相手により伝わりやすくなるはずです。
このように、色によってさまざまな異なる効果があることがお分かりいただけたと思います。
しかし、いくら分かりやすく伝える効果があると言っても、資料やスライドをカラフルにしてしまうのは逆に良くありません。色の効果を吟味しながら3色程度に抑え、ベースカラー、メインカラー、アクセントカラーとして使い分けるようにしてください。ベースカラーは70%、メインカラーは25%、そしてアクセントカラーは5%の割合で配分すると統一感が出て全体的に見やすくなりますよ。
カラーユニバーサルデザイン
人間の色覚は多様であり、老化に伴う目の疾患を持つ方や特定の色が判別しづらい色弱を持つ方は決して少なくありません。そのような方々にはこれまでにお伝えしてきた色の効果が十分に発揮されないということがあり得ます。
そのような場合に必要とされる考え方が、「カラーユニバーサルデザイン」です。これは、すべての人の色覚に配慮し、より多くの人が利用しやすい配色によって情報を速く正確に伝えるようにするためのデザインを指しています。
NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構が発行するガイドブックにはカラーユニバーサルデザインの説明や例が詳細に述べられているため、資料やスライド作成の際はこちらもぜひ参考にしてみてください。 ・NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構|カラーユニバーサルデザイン推奨配色セットガイドブック
*** たかが色と思われるかもしれませんが、こだわるのと、こだわらないのとでは相手の反応に大きな違いが生まれるでしょう。みなさんも、ご紹介した色の効果を資料やスライドに取り入れてみてはいかがでしょうか。
(参考) 国際プレゼンテーション協会|プレゼンテーションって何? DIAMOND online|「10秒でわかるスライド」をつくる技術(4)「青」と「赤」のシグナル効果を活用する! リクナビNEXTジャーナル|色彩心理学を活用!資料作成から営業まで、成果を上げる色の使い方 NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構|CUDとは