大事なプレゼンや面接。 緊張してくると自分に自信がなくなったり、うまく自分のことをコントロールできなくなって、自分本来の力を発揮できなくなってしまうことがありますよね。 でも、「2分間ポーズをするだけ」でそうした緊張をコントロールし、大一番の成功率を上げることが可能なんです。
2分間の力強いポーズ
社会科学者のエイミーカディ氏が提唱するのが、大事な面接やプレゼンの前に、トイレなど人目につかないところで、2分間、腰に手を当て仁王立ちをするか、両手を高く上げ、勝利者のようなポーズをとることです。 ゴールテープを切る瞬間や、万歳の時、「やったー!」と喜びを表現する時って、両手を上げて全身を開いたポーズをとることが多いですよね。逆に落ち込んだ時は膝を抱いたり、頭を抱えたり、縮こまるような体勢を取ります。私達は自信がありエネルギーに満ちている時は身体を広げ、逆に自信がなかったり落ち込んでしまった時には身体を小さくするのです。 カディ氏はこの2分間の勝利のポーズの効果について、実際に実験を行っています。 力強いポーズを2分間と、力のないポーズを2分間した2グループに、5分間のストレスの強い面接を受けてもらいます。その場面を録画し、実験について何も知らない第三者にその映像を見てもらったところ、彼らが採用したいと言ったのは、すべて事前に力強いポーズをした人達だったと言います。カディ氏は、精神的緊張が強いられる評価される場面では、話すことも大事ではあるけれど、非言語コミュニケーションと呼ばれるボディランゲージや、態度こそが相手に大きな影響を与えるのだと語っています。
力強いポーズがなぜ成功率を上げるのか
なぜ2分間の力強いポーズが、その後のストレスフルな場面で効力を発揮してくれるのでしょう。 カディ氏によると、こうしたポーズが、テストステロンを上げ、コルチゾールを下げてくれるのだと言います。 テストステロンは男性ホルモンの一種で、「生きる活力」「生気」、「気持ちの張り」といった、バイタリティを高める作用があり、前向きな気持ちになるのに必要なホルモンです。通常緊張を強いられる場面では低下する傾向にあり、よく大一番の時に「ビビッて」なよなよしたり、女々しくなったりする、という表現がされますが、それにはこのテストステロンの低下が関わっていると言えるでしょう。 コルチゾールは、ステロイドホルモンの一種で、ストレスを受けると分泌量が増加します。そしてこのコルチゾールの増加が、心拍数の増加や体温・血圧・血糖値の上昇を促すのです。緊張すると変な汗が出てきたり、心臓がバクバク言い出すのは、このコルチゾールのせいです。 つまり、こうした緊張する場面で出てきがちなマイナス要素に向かうホルモンをコントロールしてくれるので、このポーズは有効なんです。
「沈黙」を味方につける
最後に、力強いポーズをして準備を終え、いざ本番に飛び込んだ時に、成功率を高めるための非言語的なアプローチをご紹介します。 プレゼンアドバイザーの野村尚義さんは、そうした場でこそ「間」、つまり、「沈黙」を利用するべきだと言います。普通、そうした場面では沈黙を恐れるあまり、「あー…」や「えー…」といった声で場をつなごうとします。これが、自信が無いように見せてしまうのです。 たしかに、大事な場面でなくとも、私達は沈黙を忌避しがちです。あまり親しくない人と会話がとぎれてしまった時には「沈黙が辛い」なんて表現もよくされます。一方で、一緒にいて居心地がいい人といる時には、「沈黙が気にならない」ことがよくありますよね。これを逆手にとって、そうした相手に自分をアピールし、信頼してもらう場でこそ、沈黙を活かすべきなんです。長すぎる沈黙はもちろんマイナスのイメージになりますが、短い沈黙と「あー」といった言葉なら、相手への印象は沈黙のほうが良いものになります。 言葉に詰まった時は、なるべく落ち着いた素振りで、間をあけて考えてから話すようにしてみましょう。
いかがでしたか。 次にストレスフルな場面に立ち向かわなければならない機会に、ぜひ試してみてくださいね。
参考 TED|エイミー・カディ 「ボディランゲージが人を作る」 大東製薬工業株式会社|テストステロンの作用・はたらき コトバンク|コルチゾール 戦略的プレゼンテーション力養成講座|間のもつ威力を理解し、プレゼンで最大活用できるようになる