あなたは、職場の同僚や友達に何かを依頼するのは得意ですか? 日本人は「なんか申し訳ない」という気持ちが先に立ち、なかなか人に頼むのが苦手な人も多いと思います。今回は、お願い事を快く引き受けてもらえる簡単なテクニックをご紹介します。
カチッサー効果を利用する
カチッサー効果とは、何か依頼やお願い事をする時に、「理由を説明するだけで、引き受けてもらいやすくなる」という効果のことです。この効果を測るための心理学実験で有名な例として、アメリカの心理学者エレン・ランガー(Ellen J. Langer)が行った実験があります。
被験者がコピー機の順番待ちの列の先頭へ行き3通りの言い方で頼む。 要求のみを伝える:「すみません、5(20)枚なのですが、先にコピーをとらせてもらえませんか?」 本物の理由を付け足す:「すみません、5(20)枚なのですが、急いでいるので先にコピーをとらせてもらえませんか?」 もっともらしい理由を付け足す:「すみません、5(20)枚なのですが、コピーをとらなければいけないので先にコピーをとらせてもらえませんか?」
[引用元:wikipedia|カチッサー効果]
承諾率は、5枚の場合、要求のみの時は60%、本物の理由を付け加えた時は90%で、20枚の場合、前者が24%、後者が42%という結果が得られました。 つまり、しっかりとした理由を付け加えることで、依頼は格段に受け入れられやすくなるのです。
さらに、もっともらしい理由を付けた時にも、20枚の場合の承諾率は24%にとどまりましたが、5枚の場合には93%に達したという結果も得られています。 よって、大きなことを依頼する際にはしっかりした理由を付けることで引き受けてもらいやすくなり、些細なお願い事をしたい時には、曖昧な理由でも引き受けてもらえることが分かりました。
「ドア・イン・ザ・フェイス」で要求をかなえる
次にご紹介するのは、心理学的に有名な相手を説得する二つの方法です。 まず二つ目の「ドア・イン・ザ・フェイス」は、最初に厳しい要求を相手につきつけ断られると、次第に要求を下げていって自分の本来の目的を達成しようとするものです。 断られることは承知で高い要求をだし、相手がそれを断ることで、相手はこちらに譲歩してもらったというような罪悪感を感じるようになり、そのあとの要求を飲んでしまうのです。
アメリカの社会心理学者であるロバート・チャルディーニ(Robert Cialdini)がこの効果を実証しています。
まず、実験者はボランティアを装い「これから非行少年たちを動物園に連れて行くのだが、2時間ほど手伝ってくれないか?」と学生に依頼した。その結果、17%の学生がこの依頼を承諾した。 次に、この依頼の前にもっと大きな依頼をしたらどうなるかを調査した。実験者は、まず「2年間にわたり毎週2時間、非行少年たちのカウンセラーをしてくれないか?」と学生に依頼した。もちろん全員がこのやっかいな依頼を拒否した。 続けて実験者は、譲歩するかたちで「では、これから非行少年たちを動物園に連れて行くのだが、2時間ほど手伝ってくれないか?」と依頼した。結果、50%の学生が小さな依頼を承諾した。つまり、承諾率は3倍に跳ね上がったのだ。
[引用元:AllAbout|【連載】説得と交渉の営業心理学 第2回 拒否させて譲歩する]
「フット・イン・ザ・ドア」で要求をかなえる
一方「フット・イン・ザ・ドア」はその逆で、最初に相手が断りにくいような小さな要求をすることから始め、次第に要求を大きくしていくというものです。これは「一度要求をのむと、断りづらくなる」という人間の習性を利用したもので、ファッション専門店等で実際によく使われる方法です。
最初に何かお探しですか? →これなんていかがですか? →試着していかれませんか? という流れで、気づかないうちに断りづらくなり買わずにいられなくなってしまうという訳です。
*** いかがでしたか。 カチッサー効果・ドア・イン・ザ・フェイス・フット・イン・ザ・ドアの三つをご紹介しました。人間の心理をついた、色々な方法があるのですね。周囲にお願い事や依頼がある人は、ぜひ試してみてくださいね。
参考 wikipedia|カチッサー効果 営業学|カチッ・サー効果:いかにあなたの要求を受け入れてもらうか wikipwdia|Robert Cialdini AllAbout|【連載】説得と交渉の営業心理学 第2回 拒否させて譲歩する コトバンク|ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック NARUHIKO'S WEBSITE お金と心を育てるブログ|フット・イン・ザ・ドアとドア・イン・ザ・フェイス 心理学マーケティング