「やる気が出ない」「続かない」は科学的にウソ。行動力を爆上げする5つのルール。

行動力を爆上げする5つのルール01 新しいことを習慣にしたい。 本気で勉強に取り組みたい。 大変そうな仕事に着手したい。

その気持ちはあるのに、いざとなると「やる気が出ないなあ」と後回しにしてしまう……。そんなあなたに、「やる気」の正体を明かし、「行動力を一気に上げる5つのルール」をご紹介します!

「やる気」の正体

2種類の動機づけ

脳科学研究所の松元健二教授の説明を参考にすると、「やる気=人間の動機づけ」には、取り組むこと自体が目標の「内発的」なものと、報酬(賞金・ご褒美・名誉)を得ることが目標となる「外発的」なものがあります。

外発的動機づけは報酬がなくなると低下しますが、内発的動機づけは報酬がないままでも意欲が持続します。しかし、内発的動機づけでも、報酬を与えるなど外発的動機づけを行うと、意欲が低下してしまいます。

たとえば、もともと絵を描くことが好きな子供に、上手な絵を描くごとに褒美を与えるようにしてしまうと、目標が絵を描くこと自体から、外発的なご褒美をもらうことにすり替わるのです。したがって、その子供はご褒美をもらえないとわかると、絵を描く意欲をなくすようになります。

これをアンダーマイニング効果といいます。

「選択の自由」の重要性

このアンダーマイニング効果の現象は、「自己決定感」の喪失によって起きるのだとか。

松元健二教授が行ったストップウォッチ遊びの実験によると、自分が好きなデザインのストップウォッチを選んだ人と、指定されたストップウォッチを使った人とでは、自分で選択した人のほうが高い成功率だったそうです。

また、自分でストップウォッチを選んだ人は、たとえ失敗しても、良いことがあると活動が高まるといわれる脳の前頭前野腹内側部の活動が落ち込まなかったそう。また、他のカードを使った実験では、選択肢が多い(選択の自由が大きい)ほど線条体の活動が高まったそうです。

脳内でやる気に重要な役割を果たしていると推測されているのは、前頭前野と線条体とをつなぐ主要な神経回路なのだとか。つまり、「選択の自由」が、持続性の高い「やる気=内発的動機づけ」やパフォーマンスの向上に、とても重要な役割を果たしているということです。

内発的動機づけと「自己効力感」

そして、内発的動機づけの高まりは、「自己効力感」の高まりに影響されるといいます。2016年に日本教育工学会論文誌で発表された論文『自己効力感,内発的価値,感情的エンゲージメントの関連』には、「自己効力感」が「内発的価値」に正の影響を与えることが示されました。

心理学者のアルバート・バンデューラ氏が提唱した「自己効力感(セルフ・エフィカシー)」は、自分はその行動をやれると認知することです。これを生み出す基礎は主に次のとおり。

  • 自身の成功経験
  • 誰かの成功を目にすること
  • 自分の能力を説明されること
  • 他者から励まされること
  • 成功経験を想像すること

そうしたことから、新潟青陵大学大学院教授・社会心理学者の碓井真史氏は、「自己効力感」を“自分はその行動をやれるという信念”とし、「やれる気」と表現しています。

行動をスムーズにする科学

行動科学が専門の石田淳氏によると、行動科学の見方では、物事を始められない・続かない理由は「やり方がわからない」「やり方はわかっているが、継続の仕方がわからない」という、たった2つだといいます。

また、「不足行動(これから始めたい行動)」を増やしたい場合の重要なポイントのひとつは、「行動のハードルを低くする(邪魔をしている障害を取り除く)」ことなのだそう。

同氏は、「人間行動に着目すれば、どんな人でも、どんな行動でも、100%続けさせることができる」と話しています。

「やる気」の正体とは?

これまでの内容を踏まえると、「やる気」の正体(要素)は、

  • やれると信じられる
  • 自分で自由に選択できる
  • やり方をわかっている
  • すぐできる(邪魔をする障害がない)

ということになります。やろうという気持ちはあるのに、いざとなると「やる気が出ないなあ」と感じるのは、あなたが自ら選択肢を狭め(あるいは選択できる要素が足りない)、やり方をしっかりと把握しておらず、行動を起こそうとしても、何か妨げるものがあるからかもしれません。そして、「自分はそれをやれる」とは、信じていないからなのです。

行動力を一気に上げる5つのルール

そこで、「何かを始めたい!」と思ったら、次のルール5つを守ることをおすすめします。たとえば「資格の勉強を始める」とします。

ルール1:自分で選択できている

資格を取るという行為はもちろんのこと、どんな資格を選ぶかにおいても、自分の意志であることが基本です。どこで、どのように、どのくらいの頻度で、どんな参考書を使ってという選択も、基本的には自分で行います。他者からのおすすめやアドバイスをよく理解し、自分が納得したものを採用する、ということも含みます。

ルール2:選択の自由度が高い

「選択の自由度を高める=選択肢を多くする」ために、色んな資格勉強の資料を集めましょう。もちろん、友人や同僚、先輩などから情報収集するのも有効です。

ルール3:やり方を理解している

その資格の勉強はどうやって始めたらいいのか、何から始めたらいいのか、どうやって、どこで試験を行うのか、どのくらいの費用を、どう払い込むのかなど、「やり方」全般を理解し、心に安心感を与え、行動をスムーズにします。

ルール4:すぐにできる

自宅で資格の勉強を始める際のスペースがない、時間がないならば、場所を確保して、時間をつくるのみです。勉強するための参考書がないなら揃え、この参考書では勉強する気にならないというなら買い換えます。とにかくスムーズに行動できるよう、すぐできる状況を確保し、障害を取り除きます。

ルール5:やれると信じている

もしも自分が資格を取得できるというイメージがわかなければ、それは「自己効力感」が低い状態だといえます。資格をとる意味と理由を考え、自分の気持ちを確かめましょう。誰かの資格を取得した成功話を読んだり聞いたり、自分を励まし応援してくれる人と会話を交わたりすることも、「自己効力感」を生み出す基礎となります。

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習慣化に “やる気” は必要ない。どんなときも行動するための2つのルール』にも効果的な方法をご紹介しています。こちらもぜひご参考に!

(※記事中の人物の肩書は記事公開当時のものです)

(参考)
玉川大学・玉川学園|玉川の教育|玉川大学 読売新聞社立川支局 共催 連続市民講座第4回「人間のやる気を脳科学で解明〜自由と平等の大切さ〜」
J-STAGE|自己効力感,内発的価値,感情的エンゲージメントの関連
株式会社日立ソリューションズ|「できない社員」が一気に伸びる 石田淳の行動科学マネジメント講座|第4回 セルフマネジメントへの応用 ― 意志・やる気に頼らない「続けさせる技術」
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部 | 看護・保健医療・福祉・心理の連携を養う新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部|やる気の心理学:講演(心理学総合案内こころの散歩道)
Wikipedia|自己効力感

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