優柔不断は悪ではない。勝つために必要なのは "ぎりぎりまで考える" こと

優柔不断で、決断力がない。そんな悩みをお持ちのビジネスパーソンの方は多いのではないでしょうか。

一般的に、「ビジネスでは決断力が大事。取り敢えずやってみるべきである」そんな意見が多く聞かれます。そのため、失敗を恐れて完璧を求めすぎるタイプはよく批判されるようです。

しかし、仕事において優柔不断とは本当に悪癖でしょうか? 失敗しないために完璧を求めることは、批判の対象になってしまうほど悪いことなのでしょうか?

仕事での失敗は歓迎されるものではないはず。であるならば、失敗できない仕事を成功させるためにどうするべきか最後までじっくり考えることは、むしろ推奨されるべきではないでしょうか。たとえ優柔不断と呼ばれたとしても。

そこで今回は、優柔不断さをビジネスに活かす方法を紹介します。

「取り敢えずやってみる」とは、「何も考えずに実行する」ことではない

「取り敢えずやってみろ」こんな言葉を上司から掛けられたことはありませんか。

実は、この言葉は一種の危うさを含んでいます。表現だけを見ると「思考力よりも実行力のほうが社会では大事なのだ」というニュアンスに取れますが、果たして本当にそうでしょうか?

このように発言する上司や先輩の側は、本心から「取り敢えずやりさえすれば良い」と思っているわけではありません。

一般にPDCAサイクルと呼ばれるように、仕事にはP:計画→D:実行→C:検証→A:改善といったフェイズがあり、このサイクルを意識して仕事に取り組むことで仕事の成果を最大化させることができます。仕事では、PDCAを回すのは当たり前のこと。ですから上司たちは若手に、「取り敢えずやってみろ」という言葉によって、「大前提であるPDCAに沿って、しっかり仕事を回しなさいよ」ということを期待しているのです。

しかし、言葉を受けとる側にとっては、「取り敢えずやってみろ」という表現は妙に軽く感じられるでしょう。「取り敢えず」だし、実行しさえすればいいのか。実行以外はそれほど重要じゃないのかもしれない。そう受け取ってしまう人もいるかもしれません。ここに、指示をする側と指示を受ける側の間の誤解が生じているわけです。

若手社会人に向けられる「取り敢えずやってみろ」という言葉は、実行力を手放しに賞賛し、思考することを過小評価するものではありません。「仕事のベストな方法を最大限に考えた上で、きちんと実行までこぎつけ、なおかつ検証と改善もして欲しい」そんなメッセージが隠されているのです。

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優秀なビジネスパーソンは優柔不断である

PDCAサイクルには、Do(実行)の前にPlan(計画)があります。仕事においては、目的達成のために様々な企画や計画を立てますよね。いくつかプランを考えて最適なものを選ぶというPlanの過程に時間がかかってしまうことが、優柔不断さの理由のひとつだと言えるでしょう。

ですが、この優柔不断さについて、様々なビジネスパーソンが肯定的に言及しています。

例えば、USJの伝説的なマーケターで、手がけたプロジェクトのうちの98%を収益化させてきた森岡毅氏は、これまでの成功について以下のように述べています。

勝てる確率の低い戦いはできるだけ避けて、勝てる確率の高い戦いを選んでいるのです。だって、勝てない場所で戦っても、勝てない相手と戦っても、やっぱり勝てないじゃないですか(笑)。私はめちゃくちゃ負けず嫌いなので、勝てる戦を探すことと、勝てる方法(戦略)を探すことに並外れて必死なのです。そうやって勝つべくして勝つことを心がけた、結果としての数字が成功確率98%です。

(引用元:森岡毅著,今西聖貴著(2016),『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』,角川書店.)

また、大ヒット映画『君の名は。』で有名な東宝の映画プロデューサー川村元気氏と、動画共有サービスの「ニコニコ動画」を立ち上げたドワンゴ会長の川上量生氏は、川村氏の著書の中で優柔不断について次のように話していました。

川上:賢さの象徴ですよ、優柔不断は。だって確固たる答えが出せないのに何か手を打てっていうのは、おかしいですよね。 (中略) 川村:僕も何をするにもすぐに始められないんです。優柔不断にギリギリまで考えて、新しい手を見つけることに9割方時間を費やして、ようやく始めるというか。

(引用元:川村元気著(2016),『理系に学ぶ。』,ダイヤモンド社.)

彼らの発言からわかるように、なにも優柔不断とは決断できない姿勢ではありません。

大切なのは「考えもせず取り敢えずやってみる」ことではなく、成功のために時間ギリギリまで悩み手を尽くすこと。それがビジネスで求められる優柔不断さなのです。

*** 仕事で考えすぎて物事をなかなか決められない方がいると思いますが、決して悲観する必要はありません。その優柔不断さは、仕事の打率を上げるため、こだわって考えている証拠です。是非その姿勢を追求しながら、バットをしっかり振って、考えたアイデアを実行してみてください。

最後まで考え抜いたあなたにしか出せない価値が生まれるはずです。

(参考) 森岡毅著,今西聖貴著(2016),『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』,角川書店. 川村元気著(2016),『理系に学ぶ。』,ダイヤモンド社. 10MTVオピニオン|「高学歴なのに使えない」人の4つの特徴 東洋経済オンライン|仕事のできない人はPDCAがわかっていない

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