締め切り直前まで残業して資料作りをしたのに趣旨に合っていないと書き直しになった、そんな経験はありませんか?
真面目に一生懸命やったのに努力が水の泡になってしまうのは悲しいことですよね。もちろん、じっくり丁寧に取り組むことは良いことですが、実は仇となってしまうことがあります。
そうならないためにも、物事に取り組むときは最初から完成形を目指すのではなく、まず「ざっくり」を意識してみましょう。 一見雑なように見えるので、ざっくりやることに抵抗があるかもしれません。しかし、これが完成度の高いものを仕上げる近道なのです。仕事でも勉強でも「ざっくり」取り組む姿勢を身に着けませんか?
課題編
では、なぜ“ざっくり”が良いのでしょうか? 仕事での資料や企画書作りを例に、“ざっくり”のメリットを挙げていきましょう。
1.方向修正がしやすい 間違った方向に進んでいても、すぐに軌道修正することができます。一度完成させたものを0からやり直すのはしんどいですよね。そこで、「一度で完成させる」と意気込むのではなく、ある程度できたら上司や先輩などに意見を求めるようにしましょう。
ざっくり何度もチャレンジしていれば、その都度細かに修正ができ、すべて没になってしまうことはありません。
2.失敗を恐れずにできる 何度も繰り返すことを想定していれば、失敗を恐れずに取り組むことができます。上手くできていなかったらどうしよう……と不安になることが多い人でも大丈夫。修正する余裕があるので多少の失敗には動じなくなります。
ざっくり取り組むことで大きなミスが小さなミスに変わるのです。大きな失敗をしなくなり、すぐに改善できるミスしかしなくなるので失敗を恐れないようになるでしょう。また、失敗を恐れなければ、ちょっとチャレンジしてみることもできますよね。縮こまっていたら生まれなかったアイディアが生まれるかもしれません。
3.行き詰まることがない ざっくり仕上げるタイプの人は、途中で行き詰るということを知りません。なぜかというと、行き詰ったと思ったら相談したり、意見を求めることで解決策を見つけるからです。
もうこれ以上進まない、というところでずっと留まっているのではなく、行き詰まったら第三者に見てもらうというのを心がけましょう。
4.完成度が上がる 最終的に、“じっくり”より“ざっくり”の方が完成度が高くなります。不思議に思う人もいるかもしれませんが、何度も練り直すという作業が完成度を高めてくれるのです。じっくり取り組むと最初の1回だけで時間がかかり過ぎてしまい、検討する時間がなくなってしまいます。
最初の1回から誰もが納得できるように仕上げるのは、特に新社会人の場合は不可能といっていいでしょう。
そこで繰り返しブラッシュアップする時間が大切なのです。中国の兵法書『孫子』に「拙速は巧遅に勝る」という言葉があります。はじめから完成度100%を目指すのではなく、最終的に100%になることを目指した取り組み方が効果的ですよ。
勉強編
勉強をする上では、下記のようなメリットがあります。学生はもちろん、キャリアアップのために勉強している社会人にとっても、やはり“ざっくり”がオススメです。
1.記憶の定着力が上がる 単語を覚えたりするとき、「じっくり1回」よりも「ざっくり何度も」の方が効果的なのはなんとなく実感している人は多いのではないでしょうか?
人は、出会った回数が多いものを重要と認識して記憶にとどめようとします。そのため、1度で一気に覚えようとするよりも、少ない時間で何度も取り組んだ方が覚えておくべき情報と認識してくれるのです。
2.強い意志がなくても始められる 「一生懸命やらなきゃ」と、思うと勉強するのが億劫になってしまうことがありますよね。では、「適当でいいや」という場合はどうでしょうか? そんなにやる気がなくても気楽に始められると思いませんか?
勉強は、やり始めるきっかけや続けていくことが難しいもの。勉強自体のハードルを下げることで取り組みやすい姿勢を築きましょう。
使命感や義務感を感じて根を詰めてやるのではなく、気楽に取り組むことで完成度が高い仕事や勉強ができるようになりますよ。
(参考) Study Hacker|記憶の定着にたいせつなこととは?脳の性質を利用した記憶法。 経営コンサルタント 中村一八の知心コラム|拙速は巧遅に勝る