自分のなかにある、ぼんやりとした夢や希望の存在はわかっていても、あらためて「あなたは何をやりたいのか」「今後どうなりたいのか?」と尋ねられると、明確な答えを返せない……。そんな経験はありますか?
筆者の場合は過去にそう聞かれたとき、ハッキリと答えることができませんでした。しかも、いまだに同じ状況だと気がついたのです。
そこで、いますぐ自分の “こうしたい” を探り、ハッキリさせてみることに。すると、自分の “こうしたい” がわかっただけでなく、成長のヒントが隠れている意外な場所もわかりました。その内容を詳しく説明しましょう。
自分をよく知っている人ほど能力が高い
自分のことは、自分が一番わかっているつもりでいた筆者。冒頭にお伝えしたように、そうではないとわかったことで、じつは少し不安になっていました。しかし、組織心理学者・研究者・著述家のターシャ・ユーリック博士によれば、
ほとんどの人が自分は自身を知っていると信じているものの、自己認識は、実に稀有な資質であることが判明した。我々の推計では、調査対象者で実際にその条件を満たしているのは、わずか10~15%なのだ。
(引用元:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|リーダーに不可欠な「自己認識力」を高める3つの視点)
とのこと。
“なーんだ、自分だけじゃないんだ” と思い、今度は安心感を覚えましたが――ユーリック博士によると、さまざまな研究は「自分について明確に認識している人」に、以下特徴があると示しているのだとか。
- 「より自信」がある
- 「より創造的」である
- 「より適切な判断」を下せる
- 「より強い人間関係」を築ける
- 「コミュニケーション能力」が高い
- 「仕事のパフォーマンス」が高い
- 「昇進しやすい」
- 「より有能なリーダー」である
(カギカッコ内引用元:同上)
つまり、自己認識力が低い人は、上記の特徴が “ない” か “低い”、あるいは “まあまあ普通” 程度でしかないと考えられるわけです。
自己認識力が高い人の存在が稀有であろうとなかろうと、ビジネスパーソンとして、この現状を放置することはできませんよね。
「やりたくないこと」を書いて本心を知る
そこで、筆者も自己認識力を高めるべく、とりあえず “自分は何がしたいのか” と自問し、目の前に真っさらな紙を置いてみました。しかし、やはり明確な答えが返ってくることはなく、ペンを持つ手も止まったまま。
そうするうち、習慣化コンサルタントの古川武士氏が書いた過去の記事(2019年1月9日公開)を目にする機会があり、そうか、これだ! と思ったのです。古川氏いわく、
自分がやりたいことがすぐに浮かばない人は、まずは自分にとって死ぬほど嫌なことを書き出してみてください。“したくないこと”のほうが、感情をブロックしている人でもまだ書き出せるでしょう。
とのこと。嫌なことを書き出せば、それと対照的なやりたいことが見えてくるのだとか。
たとえば、“もうプレゼンなんてしたくない!” と書き出すことにより、“あーあ、人前に立つより地味に物づくりしたいなぁ” といった、対照的なやりたいことが見えてくるという具合です。古川氏は、「自分がやりたいことがわからない人でも、嫌なことを書き出すことは簡単なはず」だと言います。
(カギカッコ内含む引用元:PRESIDENT Online|死ぬほど嫌なことを書き出すと人生変わる)
ちなみに、特定非営利活動法人しごとのみらい理事長で、サイボウズ株式会社のブランディングやマーケティングにも携わる竹内義晴氏も、「自分の本心をよく知る」ために、「やりたくないこと、嫌なこと、苦手なこと、関わりたくない人」を洗い出すのだとか。
(カギカッコ内引用元:@IT|やりがいのないオレの仕事を「やりたくないこと」で彩る)
それならば筆者も “絶対にやりたくないこと” を書き、自分の本心を探ってみようと思います。
1日1個「やりたくないこと」を書いてみた
“やりたくないこと” は、たしかに頭に浮かびやすいのですが、それがいっぺんにたくさん浮かぶかと言えば、筆者の場合は意外とそうでもない気がします。
そこで独自に、遠い過去でも、近い過去でも、その日に思いついたものでもなんでも、1日にひとつ頭に浮かんだ “絶対にやりたくないこと” を書き、その真逆の “やりたいこと” をまたひとつ、日記のように書いてみることにしました。
それを、数日やってみたものがこちらです。
最初は少しだけ苦労しましたが、しだいにどんどん頭に浮かぶようになりました。自分のなかには本音の “こうしたい” が、たくさん隠れているのですね。
また、大きな発見もありましたよ。過去の記憶をたどりながら気づいたのですが、以前なら “絶対にやりたくないこと” リストに載っていたはずのものが、いまではむしろ、得意分野になっているものが、いくつかあったのです。
たとえば数年前は、いまお読みいただいているような、実践をともなう記事を書くのが非常に苦手でした。パソコン作業の合間に、手で書く、撮影するなどのアナログな作業が入り込むことを、面倒だと感じていたからです。それが、いまではまったく逆の感覚に……。
もしかしたら、
“やり方がわからなかった” から苦手に感じていたが
⇒仕事でやらざるを得なくなり
⇒そのうちやり方がわかって
⇒障壁がなくなり
⇒回数を重ねて得意になった
ということなのかもしれません。
そして、この法則がほかのことにも当てはまるとすれば、“絶対にやりたくないこと” のなかには、自分を成長させる要素が存在している可能性が大いにあるわけです。今回書いた、そしてこれから書きためていく
- 絶対にやりたくないこと
- ものすごくやりたいこと
の両方を、貴重な自分のデータとして保管し、今後に役立てようと思います。
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「絶対にやりたくないこと」を書いてみたら、自分の「こうしたい」がわかって、「学べる可能性」まで与えられた流れについて説明しました。少しでも、みなさまのヒントになれば幸いです。
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|リーダーに不可欠な「自己認識力」を高める3つの視点
PRESIDENT Online|死ぬほど嫌なことを書き出すと人生変わる
@IT|やりがいのないオレの仕事を「やりたくないこと」で彩る
STUDY HACKER 編集部
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