焦ったときは “この5ステップ” で落ち着け! 嫌な感情を断ち切れる「ABCDEメソッド」がすごい

パニックにならない方法01

仕事で失敗した、上司に怒られた、お客さんが理不尽なクレームを入れてきた――突然のピンチに遭遇したとき、うまく対処できていますか。慌てふためいて「自分はなんてダメなんだ……」と落ち込んだり、「もうどうにもならない!」と思考停止したり、うっかり火に油を注いでしまったりする人もいるのではないでしょうか。

予想できなかった事態や失敗に見舞われたときに冷静に対応できる人こそ、優秀な社会人だと言えます。今回は、危機的状況を落ち着いて乗り越えるためのコツを紹介しましょう。

不測の事態でパニックになってしまう理由

強いストレスや怒りを抱えたとき、なぜパニックになったり思考停止してしまったりするのでしょうか。

ブリガムアンドウィメンズ病院の経営者であり心理学者のアビー・アルトマン氏は、精神的に圧倒されてしまうと、解決方法を考えるのが難しくなり、無力感や絶望感に襲われやすくなると指摘します。また、そのような状況は過去のトラウマを想起しやすく、ポジティブな側面を見えなくさせるのだとか。

精神的に圧倒されるような状況は、「ファイト・オア・フライト(戦うか逃げるか)反応」を引き起こします。これは、動物が敵に襲われそうになったとき、敵と戦うかそれとも逃げるか、瞬時に身体を動かせるように身構えることです。脅威を目の前にした人間にも、このような反応が見られます。

このとき、ストレスホルモンが放出されて鼓動が高まり、血液の酸素濃度を上げるために息が上がり、脳や筋肉に血液を送るため血圧が高くなります。このような体の状態のとき、人は複雑な問題を冷静に考えることができなくなってしまうのだそう。冷静さを失い、「あとで落ち着いたときに考えよう」という判断すら奪われてしまうのです。

では、どうすれば不測の事態を乗り越えられるのでしょうか。

パニックにならない方法02

対処法1:自分の考えに意識を向ける

まずは、自分の思考パターンに気づくことがポイントです。パニックを招くのは、事実ではない感情的な考えが先走っているとき。「もうダメだ」「みんなに嫌われてしまった」「きっとどうすることもできない」などの考えや発言は、事実ではなく、パニックに陥ってしまった人の思考パターンなのです。そこから抜け出す方法として、アビー・アルトマン氏は「ABCDEメソッド」を推奨しています。

Attention(注目)】

強いストレスがかかったときは、まず行動を止めて、自分の内側に耳を傾けましょう。無意識に考えを垂れ流すのではなく、意識的に自分がいま何を考えているのかに注目します。

Belief(信じていることを疑う)】

起こった出来事について、あなたはどう解釈していますか。「突発的に感じていること」(取り返しのつかないことをしてしまった、嫌われてしまった、自分がすべて悪い、など)と「実際に起こっていること」は、一致していない場合が多いもの。自分の信じていることを疑いましょう。

Challenge(深く考える)】

いま感じていること・考えていることに対してもう一度深く考えましょう。本当にそれは事実ですか? それとも単にあなたが生み出した考えですか? 視野を広げて全体像を見るとどうでしょう? もしも落ち着いているときであれば、どのような考えをもてそうですか?

Discount(手放す)】

いまもっている考えは、感情に支配されて生まれたものであり、永遠に続くものではありません。ネガティブで生産性のない考えは、手放しましょう。

Explore the options(ほかの選択肢を考える)】

感情に支配された突発的な考えに基づいて行動するのではなく、ほかの選択肢を考えます。深呼吸して落ち着く、少し時間をおく、誰かに相談する、などが例として挙げられるでしょう。

トラブルに見舞われた際には、まずはこのメソッドを通して、パニック状態から抜け出すことが大切です。

パニックにならない方法03

対処法2:深呼吸で体を整える

体からアプローチする方法もあります。ポイントとなるのは呼吸です。ゆっくりとリズミカルに呼吸することで、体がリラックスし、ファイト・オア・フライト反応と逆の状態をつくります

自律神経、すなわち交感神経と副交感神経がバランスよく働いた状態は、心を穏やかにしてくれます。そして呼吸は、自分の意思で自律神経のバランスを調整できる貴重な方法。ファイト・オア・フライト反応を起こしているとき、体は緊張状態で浅い呼吸になり交感神経が優位な状態が続いてしまいますが、このとき意識的に深く息を吐くと副交感神経の働きが高まり、自律神経のバランスをとることができるのです。

メンタル・ジャーナリストの大美賀直子氏がすすめる、リラックスできる深呼吸の方法をご紹介しましょう。

  1. お腹をへこませて大きく息を吐きましょう。これによって、副交感神経の働きが高まりやすくなります。
  2. 大きく吐くと、自然と息を大きく吸うことができますね。お腹を大きく膨らませて息を吸いましょう。口から吐き、鼻から吸う方法がおすすめです。

吐くこと・吸うことだけに意識を向けるのがポイントですよ。

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感情的になって「もうダメだ」と絶望してしまったり、普段ならばうまく対処できるのに焦って短絡的な行動をしてしまったりするのは、誰にでも起こりうること。そんなときに落ち着いて対応するために、今回ご紹介した「自分の考えに意識を向ける」ことと「呼吸で体から整える」ことを実践してみてください。

(参考)
Harvard Health Publishing|Tips to defuse a meltdown
まなメンタルクリニック新御茶ノ水|自律神経の働き
Panasonic|深呼吸で気分をコントロール。ストレスと上手に付き合う呼吸法

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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