1日 “たった20分” で心が軽くなる。ハーバード大教授が提唱「downtime」のすごい効果

ダウンタイムの効果1

「気分が落ち込んでしまい、仕事がなかなか手につかない……」
「毎日ストレスだらけで、ふさぎがちになってしまう……」
このように、精神的な疲れを感じている人はいませんか?

この現代社会、ストレスは付き物。しかし、そのストレスに左右されて仕事や体の調子に影響が出てしまうのは避けたいですよね。そこで今回は、ストレスが原因の精神疲労を軽減させる方法として、「downtime」という時間の使い方をご紹介します。

ストレスによる弊害とは

まず、ストレスが私たちにどのような悪影響を与えているのかを見てみましょう。

健康上の弊害

生理学的観点から見ると、ストレスの正体と考えられているのは、副腎皮質から分泌される「コルチゾール」。仕事や人間関係に悩むなど、精神的なストレスを強く感じたときに多く分泌されるストレスホルモンです。

労働安全衛生総合研究所が示すところによれば、コルチゾールが長期にわたって過剰に分泌されると、「炎症を悪化させる」「脳の海馬が萎縮する」など、免疫系や中枢神経系に影響を与えるそう。さらに、血圧も上昇することから、「脳卒中」や「心筋梗塞」のリスクと相関関係があることがわかっています。健康に気をつけるうえでは、精神的なストレスを抱えていないかにも注意を払うことが必要なのです。

生活上の弊害

では、仕事を含む生活面ではどうでしょう。精神科医・産業医の奥田弘美氏は、日頃の精神的ストレスが蓄積していくと、以下の弊害が出てくると伝えています。

  • トラブルを解決するアイデア・危機を回避する機転や知恵が生まれにくい
  • 思考力や判断力が鈍ってくる
  • 作業効率が低下し、仕事のミスが発生しやすくなる
  • 精神状態が不安定になり、人間関係が悪化する

このように、ストレスが蓄積すると脳が働かなくなり、仕事のミスや過労へつながってしまうのです。そして、これらの弊害は「ストレス」をさらに上乗せする結果となり、負のスパイラルとなってしまいます。健康面だけでなく生活面でも、ストレスの弊害はかなり大きいと言えるでしょう。

ダウンタイムの効果2

1日たった20分でOK! 「downtime」とは

「downtime」は、ハーバード大学医学部教授であり医師のハーバート・ベンソン氏によって提唱されたリラックス方法です。やり方はいたってシンプル。1日のなかで休憩の時間を「20分」とるだけ。これだけで、感情の消耗や負担が約50%にまで軽減されると、ベンソン氏は述べています。

そして、この休憩には、ふたつの効果があるとされています。ひとつめは、コルチゾールと同じくストレスホルモンの一種である「アドレナリン」の過剰な分泌を防いだり、アドレナリン自体を取り除いたりする効果です。生理学的な面において、ストレスを軽減させるメリットがあります。

ふたつめは、休憩をしているあいだ、過去を回想することによるストレスや未来に起こりうる不安についてのストレスを回避できる「マインドフルネス」の効果です。頭のなかを落ち着かせることで、余計なストレスを感じずにすみます。

「仕事に追われて、いつの間にかストレスがたまっていた」と気づいたときは、「downtime」の時間を取り入れることで、精神疲労から解放されましょう。

ダウンタイムの効果3

「downtime」中には何をするべき?

臨床心理士のジョージア・ウィトキン博士は、仕事を休止してさえいれば、休憩として何をしてもかまわないと述べています。つまり、雑誌を読んだり、音楽に合わせて踊ったり、友だちと楽しくおしゃべりをしたりするなど、さまざまな行為が休憩として機能するということです。

また、20分の休憩を、1日のなかでまとめて確保する必要はありません。「朝起きて雑誌を5分読む、昼に友だちと5分楽しく会話する、夜に家の近くを10分散歩する」というように、合計20分の休憩をとることでも、ストレスは軽減されます。

とはいえ、より効果的な休憩方法がを知りたいという人もいるでしょう。3つご紹介します。

【方法1】周波数528Hzの音を聴く

前述のハーバート氏によると、休憩における基本的な要素のひとつとして、「一定に鳴り続ける音」を挙げています。

音に大きく関わる周波数のうち、癒やしの効果をもつとされるのが「ソルフェジオ周波数」というもの。これは、528Hz・396Hz・174Hzを含む、9つの周波数の総称を指しています。

埼玉医科大学保健医療学部教授の和合治久氏によると、「ソルフェジオ周波数」のなかでも「528Hzの周波数」が、リラックス効果をさらに高めてくれるのだそう。同氏は、528Hzの周波数には、心身を安らぎモードに導く副交感神経に直接作用する音の要素が豊富に存在するため、自律神経のバランスが整うと言います。この周波数の入った音楽を聴くことで、仕事に集中しやすくなったり意欲が高まったりするなど、精神疲労による症状の改善が見られているそうです。

私たちも、CDや動画などで、「528Hzの周波数」が収録されたものを聴くことができます。「downtime」の時間を利用し、音を聴いてくつろいでみてください。

【方法2】読書に没頭する

イギリスのサセックス大学による研究で、「個人にかかる精神的ストレスの影響」の軽減率を活動の種類ごとに調査したところ、「読書」は68%の高いストレス軽減効果をもつことがわかりました。

読書によるストレス解消の要因は、「本の世界に没頭すること」だそう。精神的なストレスを感じたときは、扁桃腺の活動が活発化し「ネガティブな発想」を助長させます。しかし、読書中に本の内容へ没頭することで、そうした扁桃腺の活動を抑制できる効果があったそうです。

たしかに、本を読んでいるあいだは、現実でのストレスを感じずにすみますよね。1冊好きな本を選んで、「downtime」中に読書の時間を取り入れてみましょう。

ダウンタイムの効果4

【方法3】ホットミルクを飲む

ホットミルクには、「飲むと心が落ち着いてリラックスできる」というイメージがありますが、実際にその効果を期待できることがわかっています。

明治食品開発研究所と金沢工業大学感動デザイン工学研究所の共同研究において、被験者に状態を評価させる主観調査を行なったところ、ホットミルクを飲むと、緊張やイライラの度合いが低くなってストレスが緩和すると判明したそう。また、副交感神経が働いてリラックス状態になるという統計も出ています。

日中たまったストレスを消化し、翌日に持ち越さないためにも、寝る前にホットミルクをつくって「downtime」の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

***
仕事や人間関係で精神的なストレスを抱えているのならば、1日のなかで20分、「downtime」の時間をとってください。ストレスが解消され、心が軽くなることでしょう。

【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。

(参考)
労働安全衛生総合研究所|ストレスホルモンを測る
日経Gooday 30+|過労や仕事のミス ストレス高まった時のセルフケア術
Psychology Today|8 Questions to Check If You're Emotionally Exhausted
Harvard Business Review|Your Innate Asset for Combating Stress
TEICHIKU ENTERTAINMENT|聴くだけで身体の不調を消していく音楽 愛の周波数 -528Hzの不思議-
The Telegraph|Reading ‘can help reduce stress’
KIT 金沢工業大学|ホットミルクで“ホッとする”「ホットミルクを飲むとリラックスする」現象を科学的に確認

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