うまい文章を書くために超重要な「7つの能力」。高めるには “これ” をして!

高い文章力に必要な7つの能力01

文章が書けずに悩んでいませんか? メールや企画書、社内報に社外向けブログなど、ビジネスには文章力が不可欠です。読みやすくておもしろい文章、書きたいですよね。今回は、あなたの文章を格段にレベルアップさせる7つの力と、その高め方をお伝えします。

1.「吸収力」は “読書” で高める

1つめの力は吸収力。うまい文章は、書こうと思っていきなり書けるものではありません。自分の文章を書く前に、うまい文章を読んで吸収しておく必要があります。その方法とは読書です。

読書から得られて、文章力に直結するもののひとつが、語彙です。読書作家のはやみねかおる氏は著書『めんどくさがりなきみのための文章教室』で、本や新聞から語彙を吸収し、知らない言葉に出会ったら調べる習慣をつけるようすすめています。また、複数の著書をもつコンサルタントの永江一石氏は、小説やエッセイを読んで文章の表現をまねするとよいと言います。

文章を書く前の準備として、まずは本を読み、語彙や表現を吸収しておきましょう。永江氏いわく、明治〜昭和の文豪の小説がおすすめだとのこと。夏目漱石や森鴎外など、教科書でおなじみの文豪の作品から読んでみてはいかがでしょうか。

2.「取材力」は “メモ” で高める

2つめは取材力。ただペンを握ってじっと座っても、文章は浮かんできません。文章を書くには素材が必要で、それを集める取材が欠かせないのです。

数多くの書籍を手がけるブックライターの上阪徹氏は、文章に必要な素材は「事実」「数字」「エピソード」の3つだと言います。この3つを軸に、文章を書き始める前に十分な取材をしておくことが大切だとのこと。

取材には事前のメモが必要です。たとえば取引先の会社について説明する文を書くため担当者に取材をするなら、上の3要素に沿い「具体的な事業内容」「会社の規模・実績」「会社設立の経緯」など、聞きたいことをリストアップしておきます。もちろんそれ以外にもチェックしておきたい項目が出てきたらすぐにメモ。そしていざ取材では、事前のリストをもとに、見聞きしたことをさらにメモしていきます。いい文を書きたいなら、素材を集めなければ始まらないのです。

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3.「構成力」は “型” で高める

3つめは構成力。素材がそろったら、それをどのように組み立てて文章にするか、つまり構成を考えます。全体の構成を考えてから書き始めないと、文章が迷子になってしまうからです。上阪氏自身も取材完了後は、書き始める前にまず構成をつくると言います。

ビジネスの文章構成には、いくつか参考になるがあります。文章術を開発・指導している中野巧氏がすすめるのは、「SDS法」と「PREP法」。

SDS法:
【1】Summary(全体の概要)→【2】Details(詳細の説明)→【3】Summary(全体のまとめ)

PREP法:
【1】Point(結論)→【2】Reason(理由)→【3】→Example(具体例)→【4】Point(結論)

どちらも最初と最後で結論・要点を書く構成です。PREP法は、SDS法の【2】Detailsの書き方をさらに詳しく決めたものですね。試しに、PREP法を簡単に実践してみるとこうなります。

【1】文章は先に構成を組み立てておくとわかりやすくなります。【2】構成をつくると、文章の骨組みができて筋が通るのです。【3】たとえばほら、いま、PREP法のおかげで順序立てて論理的に説明できていますね。【4】構成の効果がわかったでしょうか。みなさんもSDS法やPREP法を試してみてください。

4.「一貫力」は “ひとつに絞って” 高める

4つめは一貫力。主張がぐらぐら揺らいだり、話題があちらこちらに飛ぶと、何を言いたいのかわからない文章になってしまいます。伝えたいことをひとつ明確に決めて、筋の通った文章にしましょう。

編集者であり株式会社WORDS代表取締役の竹村俊助氏は、ひとまとまりの文章全体で、言いたいことはひとつに決めるという原則を掲げています。空洞の玉より重心のある玉のほうが遠くへ飛ぶように、重心のある文章ほど人に届くのです。「私はうどんが好きです。蕎麦はあまり好きではないです。ラーメンはけっこう好きです」よりも、「私はうどんが好きです。特に月見うどんが好きです。黄身の絡んだ麺がたまりません」のほうが、言いたいことがよく伝わりますよね。

また竹村氏は、時間をおいて読み返すことをすすめます。頭をリセットして読むと、飛躍や矛盾が客観的に見えるからです。そのような点をひとつひとつ直していくことで、よりわかりやすい文章に近づけるのです。

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5.「断捨離力」は “スリム化” で高める

5つめは断捨離力。かっこいい文章を書きたくて、小難しい言い回しを試す人もいるかもしれませんが、回りくどい文章は読みづらくなるだけ。とにかく簡潔な文章を目指すのが最善です。

文章術に関する多数の著書がある山口拓朗氏は、特にビジネスの実務的な場面では回りくどい文章は嫌われると言います。「〜においては→〜では」「〜することができる→〜できる」「〜になります→〜です」のように、冗長な言い回しをできるだけ削りスリム化しましょう。

また山口氏いわく、「一文一義」を意識するのも有効。これは、ひとつの文章でひとつの情報を伝えるというものです。逆に、一文にたくさんの情報を詰め込むと、こんな感じになります。

山口氏は一文一義を意識することも有効だと言っていて、これはひとつの文章でひとつの情報を伝えることなのですが、ひとつの文章にこのようにたくさんの情報を詰め込むと何を言いたいのかわかりづらくなり、読者にとって読みづらい文章になってしまいます。

どうでしょう。とてもスムーズには読めませんよね。一文に入れる内容は徹底的に断捨離し、すっきりスリムにしましょう。

6.「分析力」は “形容詞の排除” で高める

6つめは分析力。文章から知性を感じさせるには、客観的な分析・洞察が不可欠です。そのぶん、文章の内容も豊かになりますね。

分析的な文章の第一歩は、形容詞を使わないことです。これは、国立国語研究所教授の石黒圭氏がすすめるもの。私たちはとっさに反応するとき、「すごい!」「おもしろい!」「おいしい!」のように形容詞を使いがちです。このように形容詞は主観的・直感的な言葉であるため、形容詞ばかり使っているとどこか幼稚な文章になってしまいます。

形容詞を使いたくなったら、「なぜおもしろいのか?」「どうおいしいのか?」と、分析して言い換えてみましょう。たとえば、ある映画がおもしろいと思ったら「この映画はコミカルなストーリーのなかに時事問題を絡めていて、批評性がある」というように分析してみるのです。たったこれだけで、知性的で奥行きがあり、的確に伝わる文章になりますよ。

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7.「巻き込み力」は “読者像をイメージ” して高める

7つめ、最後の力は巻き込み力です。読みやすいだけでなく、読ませる文章。それは、読み手を巻き込む文章です。

博報堂スピーチライターのひきたよしあき氏が、読み手を巻き込む文章のコツを説いています。それは、文章のターゲットをありありと思い描くことです。つまり、読者像を徹底的にイメージすること。「読ませたいのは誰? 年齢は? 職業は?」――たとえばこの記事なら、若いビジネスパーソンか学生で、文章の書き方に悩んでいる人。決して書き慣れても読み慣れてもいないけれど、7つも項目のある記事を読む根気はある。そんなあなたのために、できるだけ簡潔に読みやすく、でも幼稚にならないよう少し堅めに……。読み心地はどうでしょうか?

ひきた氏はさらに、主語を「私たち」とすること、人を動かしたいなら「具体的な動き」を書くことも提案しています。

この記事であれば、「私」の文章でも「あなた」の文章でもなく「私たち」の文章はどう成長していけるのか。それを考えるために書いています。そして、いい文章を書くためには「本を読む。よい文章を吸収する。素材を集め、構成をつくる。いよいよ書き始める。伝えたいことを無駄なくまとめて、客観的に分析する。読む人のことを考えながら……」そんな行動が大切であるとご紹介しました。さあ、あなたも書いてみましょう。

***
上でご紹介したことをまとめると、このようになります。

高い文章力に必要な7つの能力07

「吸収力」「取材力」「構成力」「一貫力」「断捨離力」「分析力」「巻き込み力」。7つの力を身につけて、あなたもぜひ、魅力的な文章をたくさん書いてください。

(参考)
PHPオンライン衆知|「”ヤバイ”使用禁止」で耐えられますか? 文章力の高い人は語彙をこう増やす
まぐまぐニュース!|書くよりも読書せよ。人気コンサルが説く文章力向上の秘訣
リクナビNEXTジャーナル|ビジネス文章が「もっと速く書ける」ようになる“シンプルな考え方”――上阪徹の『超スピード文章術』
日経クロステック|ビジネス文書に「起承転結」はいらない、最初に書くべきことは何か?
Web担当者Forum|文章力が上がる3つのテンプレート「SDS法」「PREP法」「穴埋め文章作成法」(第2回)
竹村俊助(2020),『書くのがしんどい』, PHP研究所.
山口拓朗公式サイト|伝わる文章の書き方/簡潔な書き方(言い回し)を心がけよう
山口拓朗公式サイト|伝わる文章の書き方/「一文一義」で小刻みに運ぶ
PRESIDENT Online|形容詞を多用すると文章はバカっぽくなる
ひきたよしあき(2019),『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』, 大和出版.

【ライタープロフィール】
梁木 みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。

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