東大・ハーバード出身者が強く警告。「みんなやってる」けど「じつは意味ない」4つの勉強法

誤解されがちな絶対にやってはいけない勉強法01

「勉強時間を増やしたのに、あまり記憶に残らなかった……」
「まじめに丁寧に勉強しても、成果に結びつかない……」

勉強しているわりに身についている実感が得られないのだとしたら、あなたの勉強のやり方に誤りがある可能性も。非効率な勉強法にしがみついては、せっかくの努力も報われません。

今回の記事では、東大生やハーバード大生が警告する「じつは非効率だけど正しいと誤解されがちな勉強法」を4つお伝えします。あなたの勉強法は間違っていないかどうか、ぜひ一度ご確認ください。

【間違った勉強法1】頑張って “一度に全部” 覚えようとする

睡眠を削ってでも勉強時間を確保する。休日だからといって、長時間ずっと勉強し続ける。あなたがもし、このように長時間机に向かい一気に覚えようとしているなら、そのやり方は改めたほうがいいかもしれません。

東京大学を首席で卒業後、ハーバード大学ロースクールで学んだ経験をもつ山口真由氏は、「記憶は脳に負荷をかけても定着しない」と言います。無理をすればするほど、勉強の効率は悪くなってしまうのだそう。一時的に勉強時間を増やしてとにかく頭に詰め込めばいい、というわけではないのです。

ワシントン大学の心理学教授ヘンリー・ローディガー氏も、一気に詰め込むタイプの勉強習慣は、ゆくゆく成績を大幅に落とすおそれがあると指摘します。一夜漬けはその代表格。短時間で集中的に覚えた知識は、早いうちに抜け落ちてしまうのだそう。

本当に効果が期待できるのは、間隔を置いて勉強する分散学習です。科学誌『Journal of Neuroscience』にも掲載された、独立行政法人理化学研究所の報告によると、休憩中に小脳皮質でつくられるタンパク質が、学習内容の長期的な記憶に重要な役割をもつそう。あえて空白の時間を挟むことが、記憶の定着を促すのですね。

また、復習を重ねるのも効果的。ポーランドの研究者ピョートル・ウォズニアック氏によると、 1~2日後→1週間後→1か月後――と、間隔を少しずつ広げながら復習すると、長く覚えていられるのだそう。このタイミングを目安にすれば、自然と分散学習が行なえるでしょう。

誤解されがちな絶対にやってはいけない勉強法02

【間違った勉強法2】“冒頭から” 覚えようとする

参考書を開いたら、1ページずつ丁寧に読んで覚えようとしていませんか? 初めから熟読して覚えようとするのは、じつは非効率です。

こう注意を促すのは、東京大学薬学部卒で心理カウンセラー・作家の杉山奈津子氏。初めから丁寧に覚えようとするのは、まじめに勉強したい完璧主義者ほどやりがちなこと。しかしこのやり方では、細部だけにとらわれた、まさに「木を見て森を見ず」状態になり、よくないのだそうです。

そこで杉山氏は、初めの段階で最初から終わりまでを軽く読み通すことが必要だと述べています。

じつはこれは、心理学的にも理にかなった方法なのだとか。というのも、あえて丁寧に読まず、ちゃんと理解できていない “空白箇所” を意図的につくることで、脳がもつ「空白を嫌う性質」を刺激できるからです。テレビドラマの途中で突然CMが挟まれると続きが気になって仕方なくなる……これと同じザイガニック効果(ツァイガルニク効果)が生まれるのだと、杉山氏は言います。

たとえば、勉強を始めたらまず、参考書の見出しや太字部分などに注目し、軽く読み流すようにしてみてはどうでしょうか。最初に全体像を把握すれば、重要な部分とさほど力を入れなくてもいい部分の選別にも役立ちそうですね。

誤解されがちな絶対にやってはいけない勉強法03

【間違った勉強法3】学習内容を “すべて復習” する

繰り返し復習することが有効なのはよく知られていること。ですがあなたは、すでに覚えたことも含めてすべての内容を復習しようとしていませんか?

現役東大生で、勉強法に関する著書をもつ布施川天馬氏は、すでにできるようになったことを繰り返し確認するのは時間のムダだと警鐘を鳴らします。それゆえ、100点のテストにはたいして価値はないとのこと。すべて正答できている以上もはや要改善点がないため、100点のテストを復習目的で繰り返し解いても、意味はないのだそうです。

それより価値があるのは、全問正解できなかったテスト。どのパターンでミスしやすいのか、どの部分が知識不足なのかを把握でき、成績を上げられる伸びしろがあるからです。

そのうえで布施川氏は、復習では覚えた単語や問題はいっさい無視することを推奨しています。布施川氏いわく、知らないことを知って成長することこそが勉強の本質。覚えたか不安な知識や間違えた問題などに絞って集中的に復習することが、効率よく成果を伸ばす秘訣なのです。

ですから、すでに理解できた内容を再度おさらいしなくてすむよう、勉強の際は、クリアした単語や問題に忘れずにチェックを入れておくといいでしょう。

誤解されがちな絶対にやってはいけない勉強法04

【間違った勉強法4】“ひたすら書いて” 覚えようとする

単語や用語などを暗記するとき、ひたすら語句を書くだけで覚えようとしていませんか。子どもの頃漢字はそうやって覚えたから……と思うかもしれませんが、語句を漫然と書き取るだけでは、ムダな努力に終わってしまう可能性があります。

教育アドバイザーの伊藤敏雄氏が、こんなエピソードを紹介しています。あるテレビ番組で、「どういう勉強をしている受験生が東大に落ちると思いますか」という質問に対し、東大生たちが真っ先に挙げたのが「重要語句を何回も書きまくる」勉強法だった――というものです。

伊藤氏いわく、この勉強法のデメリットは、「覚える」ことではなく「何回も書く」こと自体が目的となりやすいこと。書く作業に集中してしまうがゆえに、意味や背景を十分に理解できないのです。

ハーバード大学を首席で卒業したバイオリニストの廣津留すみれ氏も、ハーバード大受験に必要な英単語15,000語を覚える際、繰り返し書き取る暗記法は行なわなかったそう。代わりに廣津留氏が貫き通した勉強法が、聴覚や視覚などをフル活用する五感暗記。たとえば、目で語句を読みながら、実際に自分の声で発声すると、「視覚情報」と「聴覚情報」が一致して、記憶が確実なものになるのだと言います。

ほかにも、ランニングしながらポッドキャストを聞いて覚えるのも効果的だとのこと。視覚・聴覚だけでなく、運動による触覚的体験も重なり、より脳が刺激され、記憶に残りやすくなるのだとか。

ただ書き取るだけの勉強法に頼りがちだった人は、ぜひ五感を使いながら、楽しく覚えてみてください。

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今回の記事で当てはまるものがあった人は、ぜひご自身の勉強法を見直す参考にしてみてください。苦しい努力を、成果が実感できる楽しい努力へと変えていきましょう。

(参考)
PRESIDENT Online|「5分で覚える人」と「徹夜してもダメな人」の違いはどこ?
DIAMOND online|「頭がいい子」がやっている、たった1つの勉強のコツ
理化学研究所|運動学習の記憶を長持ちさせるには適度な休憩が必要
PRESIDENT Online|偏差値29から東大へ「頭のよさとは要領のよさ」
東洋経済 ONLINE|「母の看病」しながら東大合格した19歳の勉強法
All About|東大生も危険視する「努力しても成績が伸びない子」の残念な勉強習慣
PRESIDENT Online|ハーバード流「あれ?」がなくなる暗記術

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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