【友だち多い vs 友だち少ない】感情知性が育ちやすいのは「多い人」、でも発想力は「少ない人」が有利。

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「友だちはたくさんいるほうがいい」という人もいれば、「少ない友だちと濃い付き合いをしたほうがいい」という人もいるでしょう。どちらの意見が正しいのでしょうか?

今回は、「友だちが多い人と少ない人、どちらのほうがいいのか?」というテーマを深掘りしていきます。

友だちが多いことのメリット

まず、「友だちが多い」ことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しくご紹介します。

「心の知能指数」は経験からしか成長しない

EQ(Emotional Intelligence Quotient=心の知能指数)という言葉をご存じですか。「EQ」とは感情を理解・管理する能力のこと。EQが高い人は、自己認識・自己管理・モチベーション管理・共感性・社会性などに優れているといわれています。

EQを1990年に初めて提唱したのは、イエール大学の心理学教授であるピーター・サロベイ氏と、スタンフォード大学の心理学教授であるジョン・メイヤー氏。両氏は、「ビジネス社会で成功している人は、IQ(Intelligence Quotient:知能指数)だけでなく、対人関係能力にも優れている」と述べています。具体的には、自分自身の感情を把握することだけでなく、他者の感情も把握することに長けているのだそうです。

一見、生まれ持っての性質に思える社会性ですが、EQの研究者である行動科学者のダニエル・ゴールマン氏によると、感情および社会的な知性は、繰り返し経験することで成長していくのだそう。

つまり、多くの人と接して、さまざまな感情に触れることにより、心の知能指数は成長していくということ。友だちが多い人は、より多くの人と関わる機会があるため、EQが育ちやすいと考えられますね。

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あなたは周りにいる5人の平均

アメリカの起業家で自己啓発作家のジム・ローン氏は、人付き合いについて「あなたは最も多くの時間をともに過ごしている5人の平均である」と述べています。

あなたの身近にいる5人の人たちは、あなたにいい影響を与えてくれていますか。自分の「なりたい像」に近い人が、ひとりでもいるでしょうか。

たとえば、常にマイナス思考の人たちや、自堕落な生活を送っている人たちと一緒にいると、それが普通のことであると認識してしまい、自分も思考・行動を影響される可能性が高くなります。反対に、前向きで高い目標に向かって努力し続ける人が近くにいれば、よい刺激となるでしょう。

デューク大学の心理学教授らによる研究から、セルフコントロールが苦手な人は、自制心の高い友人を周りに置くことで改善が可能ということがわかっています。

つまり、自分自身ができていないことも、周囲の人たちができていれば、影響を受けて改善されるということです。友だちの多い人のメリットは、そのぶん、大勢の中から一番付き合いたい人たちを選ぶことが可能になるのです。

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友だちが少ないことのメリット

次は、友だちが少ないことによってもたらされるメリットもご紹介しましょう。

非社交的な人のほうが、クリエイティブで生産性も高い

バッファロー大学心理学部のジュリー・ボウカー教授によると、非社交的な人のほうが、クリエイティブである可能性が高いのだそう。

人と交流する時間が多いと、ひとりでいる時間に心配事やストレスを引きずってしまい、創造力が下がりやすいのだとか。反対に、仲間との交流をほどよい時間に抑えることで、ひとりの時間もしっかり楽しむことができ、クリエイティブな発想や、新しいアイデアが生まれやすいのだそう。

また、自分のための時間を充分に確保することは、生産性にも必要不可欠です。

常に人に気を遣い、社交的でいる姿勢は、脳の緊張状態を保たせていることになります。脳は、一度にふたつ以上のことに集中できません。反対に、ひとりでいる時間は、脳がリラックスし、気が散らないため、より今やらなければならない事柄に集中することができます

生産性とクリエイティビティのためには、友だちとの時間はほどほどにし、ひとりの時間を大切にする必要があるようですね。

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人間関係のストレスは免疫力を低下させる

老年学を研究するポートランド州立大学の研究によると、人間関係の衝突は、健康に悪影響を与えるそう。

650人以上の成人を2年間観察したところ、よりネガティブな人間関係(つまり、長期的または頻繁に対立している)を持つ人は、そうでない人よりも、体調の悪さを感じており、実際の健康状態も悪いという結果が見られたそう。

どうやら、ストレスが免疫にダメージを与えることが関係しているとのこと。必要以上に交友関係を増やすことは、ストレスを増加させるようですね。

本当に気の合う、わずかな友人としか交流していなければ、人間関係のトラブルは少ないでしょうし、ストレス増加のリスクも避けられます。

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友だちが多いことと少ないこと、どちらにもメリットはあるようです。人それぞれの環境や性格も異なりますので、どちらが正解とは一概にいえませんが、ぜひ両方の利点を参考にしてみてくださいね。

(参考)
ADVANTAGE Risk Management|EQとは?
Daniel Goleman (2017), Altered Traits: Science Reveals How Meditation Changes Your Mind, Brain, and Body, Reduce Your Hours, USA, Avery
APS|Low on Self-Control? Surrounding Yourself With Strong-Willed Friends May Help
Science Direct | How BIS/BAS and psycho-behavioral variables distinguish between social withdrawal subtypes during emerging adulthood
HB Publishing & Marketing Company|More Multi-Tasking Myths
Very well mind|Effects of Conflict and Stress on Relationships

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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