「うまい文章」とは “黒っぽくない” 文章。文を究極に読みやすくする4つのルール

「白っぽい文章は読みやすく、黒っぽい文章は読みにくい」を表現したもの

せっかく頑張って文章を書いても、「読みにくい」「要点がわからない」などと言われてしまうのは、大切なポイントを押さえていないせいかもしれません。プロに学ぶ、読みやすい文章4つのポイントを紹介しましょう。

◎【ポイント1】文章を白っぽくする

伝える力【話す・書く】研究所所長の山口拓朗氏によれば、下の画像のように、文字がギュウギュウに詰め込まれた「黒っぽい文章」は読みにくいそうです。

読みにくい文章は漢字が多く、空白行がなく、1行が長い

逆に、適度な余白がある「白っぽい文章」は圧迫感が少なく読みやすいとのこと。同じ内容ですが、上と下ではだいぶ印象が違います。

読みやすい文章は漢字が適度で、空白行があり、開業が早い

山口氏は、文章を読みやすく(白っぽく)するポイントとして、以下の3点を挙げています。

  • 早めに改行する

たとえば仕事のメールを送る場合、1行を30文字~長くても35文字くらいを目安に改行すると、読みやすくなる。

  • 空白行を挿入する

文章の合間に空白行(何も書かれていない行)を挟むと視覚的な圧迫感が減る。さらに何がどこに書かれているか把握しやすくなるので、理解度も高まる

  • 適度にひらがなを使用する

適度にひらがなを使用すると、やわらかくて読みやすい文章になる。漢字の使用率は全体の20〜30%が適正とのこと。

たとえば「御世話に⇒お世話に」「先程⇒先ほど」「有難うございます ⇒ ありがとうございます」「宜しくお願い致します ⇒ よろしくお願いいたします」「~の中 ⇒~のなか」「~の事⇒~のこと」「~の通り⇒~のとおり」など。

PCを操作する手のアップ

◎【ポイント2】書く前に準備する

人気漫画『ドラゴン桜2』の編集担当で現役東大生の西岡壱誠氏は、考え抜いたすえ、文章をうまく書けないのは「スキル不足」ではなく「準備不足」が原因だと気づいたそうです。西岡氏は書く前にやっておくべき準備として、以下の3つを挙げています。

  • 結論の準備

結論とは「伝えたいこと」であり、文章は「伝えたいこと」を言い換えたものである。だから結論の準備があれば、伝えたいことに沿ってブレることなく書ける。逆になければ何を伝えたいのかわからなくなる。

  • 目的の準備

目的とは「なんのために伝えたいのか」を指す。だから目的が準備されていないと文章の意図が伝わらない。西岡氏いわく、これがいちばん見落とされがちな準備とのこと。

たとえば結論が「この仕事術は〇〇に役立つ」だとすれば、その背景にある目的は「この仕事術を実践したいと感じてほしい」「この仕事術を実際に活かしてほしい」「この仕事術を紹介した本を購入してほしい」になる。

つまり目的とは、読み手に「どう感じてほしいか、何をしてほしいか」ということ。

  • 型の準備

ゼロベースで文章を書くのは難しいので、まずは何かの「型(※)」をまねて書き始めるとよい。たとえば定型文や、人からもらったメール、あらゆる文献など。オリジナリティはのちのち追求していけばいいとのこと(※まねるのは、あくまでも「型」であり、内容や表現そのものではない)

何かの文章の型を参考にするため、手書きでメモをとるビジネスパーソン

◎【ポイント3】ふたつの軸をつくる

大東文化大学文学部教授の山口謠司氏は、「伝えるべきこと」「伝えたいこと」が整理され、思考が明確になっていることが文章の質を上げるための第一条件だと述べます。そして、思考の整理に最適な方法はふたつの軸を立てることなのだとか。

  • 日常的なシーンでは、たとえば何か新しいものを買いたいけれど、欲しいものがありすぎて決められない場合、「いま足りないもの」と「好きなブランド」という2軸があれば、思考を整理しやすい。
  • 文章を書くシーンでは、たとえば本の感想文を書きたいけれど、何をどう書いていいのかわからない場合、「ためになったこと」「意外だったこと」といった2軸を立てることで焦点が絞られ、書きやすくなる。

整理され、明確になった思考で書き出された文章は、もちろん読み手にもわかりやすく読みやすい文章になるはずです。

2軸について考えながらパソコンを打つビジネスパーソンの手

◎【ポイント4】ムダな言葉を削る

最終的に出来上がった文章を見直す際に、ムダな言葉を削っていくとより読みやすい文章になります。前出の山口謠司氏によれば、不要な言葉の代表は「~のほう」「~かどうか」「~のような」など。「この言葉がなくても意味が通じる」と感じたら、それが削る箇所です。

また、朝日学生新聞編集部長、世論調査室次長を歴任し、現在は日本大学・大学院で講師を務める高橋俊一氏によれば、「そして」「しかし」「かなり」「〜だから」「~なので」「したがって」「基本的に」なども略せるケースが多いのだそう。

ムダな言葉を削り、スッキリと磨き上げられたシャープな文章は、誰にとっても「読みやすくて伝わる文章」になるはずです。

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今回は、以下の「読みやすい文章4つのポイント」を紹介しました。

  1. 文章を白っぽくする
  2. 書く前に準備する
  3. ふたつの軸をつくる
  4. ムダな言葉を削る

「ものすごく読みやすい!」とほめられる文章が書けるといいですね。

(※記事中の人物の肩書は記事公開当時のものです)

(参考)
日本実業出版社|「黒っぽい文章」は、読む人に嫌われる?
東洋経済オンライン|東大生が教える「文章が苦手」が一瞬で治るコツ
ダイヤモンド・オンライン|読みやすく伝わりやすい文章を書くコツ、才能やセンスはいらない!
CiNii Books |削るほど良くなる文章の練習帳 : すっきり!シャープ!いい文章が書ける
河出書房新社|削るほど良くなる文章の練習帳 :高橋 俊一

【ライタープロフィール】
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