「やらなきゃ」と思うのに「行動できない」人の4パターン。当てはまるなら “この対策” を。

「やらなきゃ」と思うのに「動けない」人の原因と対策4つ01

「来週テストがあるから勉強しなきゃいけないとわかっているのに、手が動かない」
「プレゼンの準備をしないといけないのに、資料を出すのがおっくうに感じる」

「やらなきゃ」と思うのに「動けない」のには潜在的な原因があり、それは主に4つのタイプへ分類できます。タイプに合った対処をすれば、「やる気はあるのに動けない」という状況を脱することは可能なのです。では具体的にどんな対処をすればいいか、説明していきましょう。

【原因1】どうせ失敗すると思っている

1つめは、「やらなきゃ」と思いつつも、心の底で「どうせ失敗するだろう」と思っているせいで行動にブレーキがかかるタイプです。たとえば、プレゼンの準備を始めたくても、当日の失敗を思うとなかなか着手できないといった人が当てはまります。

トレスペクト教育研究所代表で脳科学にも詳しい宇都出雅巳氏によると、「できないと思ってブレーキをかけるのは、性格ではなく脳のせい」。脳にはエネルギー節約のために楽をしたがる性質があるのだそう。楽をする(=行動を起こさない)ための理由や言い訳として、過去の記憶から失敗体験を掘り起こし、「どうせ失敗するからやる必要はない」とあなたの行動をコントロールしようとしているのだと言います。

そこで宇都出氏は、失敗の記憶を別の視点から見るリフレーミングをすすめています。視点を変えるには、昔の失敗の状況を現在の自分から見直すことがポイント。前のプレゼンで「一生懸命練習したのに、緊張して頭が真っ白になってしまった」という記憶が強く残っているのであれば、リフレーミングで「あのときは初めてのプレゼンだったから、緊張するのは当たり前」と違う見方をしてみるのです。

また、何事も100%失敗ということはないので、少しでもできたところを探すのも有効なリフレーミングだと宇都出氏は言います。プレゼンで失敗した例の場合、「たしかに、話に詰まってスムーズに説明できなかったけれど、質疑応答には丁寧に答えられ、周囲を納得させることができた」など、ほんの少しでもできた記憶が思い出されれば、芋づる式にプラスの記憶が浮かび上がり、行動できるようになるそうですよ。

「やらなきゃ」と思うのに「動けない」人の原因と対策4つ02

【原因2】具体的に何をすればいいかわかっていない

2つめは「やらなきゃ」と思いつつ、「どこから手をつけたらいいのかわからない」と立ち止まってしまうタイプ。試験勉強で、試験範囲はわかっているのにどう勉強してよいかわからない人はこれに当てはまるかもしれません。

宇都出氏は、このタイプの人はやるべき内容を行動できるレベルまで明確化できていないために、脳がパニックを起こしていると言います。行動を起こすには、まず脳のパニック状態を鎮めなければなりません。その際には、アメリカの著述家デビッド・アレン氏が提唱するGTD(=Getting Things Done)というタスク管理手法が有効だと、宇都出氏は説きます。

GTDとは、やるべきことをすべて書き出してから、「最初に行なうこと」を徹底的に明確化する手法です。たとえば、資格試験の勉強を始める場合。やるべきタスクとして「テキストを買う」「問題集を買う」などいろいろ浮かんだら、そのうち、最初に行なう「テキストを買う」というタスクを明確化してみましょう。すると、「テキストを買う」ためには「選ぶ」必要があり、それには「評判のいいテキストをピックアップする」べきで、手始めに「Amazonでテキストの評判を調べる」とよさそうだ、とわかるはず。「Amazonでテキストの評判を調べる」くらいなら簡単にできそうと思えるのではないでしょうか。このようにして、GTDで最初の一歩を見つけ出してみてください。

「やらなきゃ」と思うのに「動けない」人の原因と対策4つ03

【原因3】完璧主義で理想が高すぎる

3つめは、準備が完璧に整うまで行動に移さない」という思いが行動にブレーキをかけているタイプです。細かいところもすべて決めておかないと仕事を進められない人は、これに当てはまるでしょう。

ここで言う準備とは、「自信がついたら」といった精神的なものから「時間ができたら」「金銭的な余裕ができたら」といった条件的なものまで、あらゆるものを指します。メンタリストDaiGo氏は完璧主義について「準備が完璧だから完璧な結果が得られる、そういう確信がないと行動できないのは現実的ではない」と警告し、「ある程度の準備が整ったら始めて、そこから常に改善を積み重ねていき、自分が望んだ結果に近いところにたどり着く」最善主義を目指すほうがよいと述べています。

そこでメンタリストDaiGo氏が提唱するのは、完璧主義を直すノート術です。やり方は簡単。1日の終わりに

  1. 「今日自分は完璧主義者としてどのような行動をとってしまったか」
  2. 「今日自分は最善主義者としてどのような行動をとることができたか」

というふたつの質問に対し、思い当たる行動を5つほど日記帳やスケジュール帳に書き出しましょう。

1の場合、たとえば「資料に挿入した画像サイズが気に入らず、納得のいく出来ではなかった」というように、 “こんなことではだめだ” と思った行動を記録します。一方、2では「忙しいなか、期日に間に合わせただけでも上出来だろう」というように、“まあ、こんなものか” と思った行動を記録しましょう。

過去の記録を見直せば、「資料や文書を作成するとき、細部にこだわりすぎて完璧主義の傾向が出る」といった思考の癖に気づけるとのこと。「作業効率も考慮して、8割の出来で良しと思うようにしよう」と、最善主義の考えで行動できるようになるそうですよ。

「やらなきゃ」と思うのに「動けない」人の原因と対策4つ04

【原因4】心のどこかで「なんとかなる」と思っている

4つめは「やらなきゃ」と思いつつ「いまやらなくても、直前に始めればなんとかなるだろう」とも考えてしまい、SNSを見るなどして時間を無駄につぶしてしまうタイプ。昇進試験の日が迫っているのに勉強がなかなか手につかない人などはこのタイプかもしれません。

精神科医の西多昌規氏によると、やるべきことから目を背けて別のことを始めてしまう心の状態を、心理学の世界では「逃避行動」と呼ぶそう。逃避行動は主に、やるべきことに向き合う際のストレスやプレッシャーから逃れたい気持ちによって引き起こされます。

ギリギリに始めてもなんとかなるという考えには根拠がないので、その状態を続けるべきではないと西多氏は注意を促します。そこでおすすめしたいのが、心理学者のネイル A. フィオーレ氏が提唱する先送りメモです。

先送りメモでは、行動にブレーキをかける原因となるストレスやプレッシャー、不安といった負の感情をありのまま書き出します。先送りメモを実践する『仕事と自分を変える「リスト」の魔法』の著者・堀正岳氏によると、「いま、やらなくてもいいや」と立ち止まってしまいそうなときに感情を言葉にすれば、自分を客観視できるようになり、過度な恐れを抱いているに過ぎないことに気づいて安心感を得られるのだそう。

たとえば、昇進試験の日が迫っている人の場合。「上司からアドバイスをもらったのに落ちたらどうしよう」「話し下手で面接がうまくいく自信がない」というように、メモを書いてみるのです。そして、書いたメモを客観視してみましょう。「上司は一生懸命頑張った部下が試験に落ちても理不尽に責める人ではない」「まだ時間はあるから面接の予行演習をやってみよう」と書き出した気持ちに向き合えば、悲観的な考えをなくせるはずです。

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以上をまとめると、次のようになります。

「やらなきゃ」と思うのに「動けない」人の原因と対策4つ05

やらなきゃという気持ちに行動がともなうと、仕事も勉強もより大きな成果を生み出せることでしょう。自分が当てはまる原因の対策をぜひ実践してみてくださいね。

(参考)
宇都出雅巳 (2018), 『自分を変える「脳」の習慣: 「脳科学」×「記憶のマネジメント」で頑張らずにうまくいく』, SBクリエイティブ.
Mentalist DaiGo Official Blog|完璧主義を治すノート術
西多昌規 (2013),『「すぐやる! 」コツ』, ソフトバンククリエイティブ.
ネイル A.フィオーレ (2008),『戦略的グズ克服術 :The now habit』, 河出書房新社.
堀正岳 (2017), 『ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250』, KADOKAWA.

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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