「うまい文章を書ける人」は “この3つ” を決してやらない。

「文章がうまい人」が決してやらない3つのこと01

日々のメールに大事な企画書。ビジネスのあらゆる場面で必要とされるのが文章力です。書き方ひとつで知的な印象を与えたり、相手を納得させることができたりと、文章がうまい人には多くのメリットがもたらされます。

しかし、うまい文章を書きたくてもどうすればいいかわからない方もいると思います。物事を上達させたいとき、「これをしなさい」に頼るのはよくあることですが、今回は逆に「これをやめなさい」というコツを3つご紹介します。文章をうまく書くために「やってはいけない」こととは、なんなのでしょうか。

1. いきなり書き始めてはいけない

あなたは文章を “一発本番” で書いてはいませんか? 1つめのNGは「いきなり書き始める」です。たとえば、「自社の強み」をアピールする文章を書くよう頼まれ、いきなりキーボードに向かって書き始めたとします。うちの会社にはこういうこだわりがあって、そこにはこういう理念があって、それで社員はこんなふうに働いていて……と思いつくままに書いていくうち、ただの会社紹介になり、「強み」がなんなのかはっきりしないまま文字数が埋まってしまった――。このように、いきなり書き始めると、文章の流れがあちこちに行き、何が言いたいのかわからなくなってしまうのです。

そんな事態に陥ることなく、よい文章を書きあげるためには、事前の準備が不可欠です。毎月1冊という驚異的なスピードで本を書き続けるブックライターの上阪徹氏は、文章を書く前にまず「素材」を準備するそう。「事実・数字・エピソード」の3つの素材を、書く分量に見合うだけそろえておくと言います。素材を集める方法は、丹念な取材とこまめなメモ。「自社の強み」を書きたいなら、各部署の社員にインタビューする、自分で商品を使ってみるなどの取材を行ない、聞いたこと、気づいたことをひたすらメモするといった具合です。

素材が手元にたまったら、それを使って「構成」をつくります。分量に合わせて、たとえばこんなふうに文章の流れを決めましょう。

  1. 自社の商品のこだわり
  2. そのこだわりが生まれた経緯
  3. 実際に使ってみると
  4. 将来の展望

こうして事前に構成を決めておくと、いざ書き始めたときに、何を書くべきか迷いません。構成が、いわば執筆の地図になってくれるのです。構成ができたら、いよいよ書き始めてください。

何も準備せずに、完璧な文章を書くことはできません。素材集め・構成づくりのなかで、少しずつ文章を組み立てていきましょう。

「文章がうまい人」が決してやらない3つのこと02

2. 形容詞に頼ってはいけない

2つめのNGは「形容詞」。かわいい、おいしい、すごい! というように、とても身近で使い勝手のいい形容詞ですが、じつはこれ、文章が幼稚に見える原因のひとつなのです。たとえば、企画書で商品の魅力を伝えたいとき、形容詞だけで紹介しようとするとこんな具合に。

「このボールペンは新しくて、使いやすいし、かっこいい

子どもの作文みたいですね。

国立国語研究所教授の石黒圭氏は、形容詞についてこのように言います。

ピッチャーの投球にたとえるならば、形容詞はまっすぐな「ストレート(直球)」です。形容詞を使えば、短く、はっきりと自分の感情を表せます。しかし、書き言葉(文章)の世界でストレートを多用すると、一本調子で平板な文章になり、読む側が足りない要素を「忖度」して読まなければなりません

(引用元:プレジデントオンライン|形容詞を多用すると文章はバカっぽくなる "すごい""おもしろい"は控えめに ※太字は筆者が施した)

先ほどの「このボールペンは新しくて、使いやすいし、かっこいい」では、何と比べて新しくて、どう使いやすくて、誰から見てかっこいいのか、具体的な情報がひとつも伝わりません。このように、形容詞は主観的な言葉であり、説明不足になりがちなのです。

石黒氏は、形容詞を「分析的・客観的」に言い換えるようすすめています。では、先のボールペンの文章を分析的・客観的に言い換えてみましょう。

  • 何と比べて新しいのか?
    「従来の製品から改良されたボールとインクを採用しています」
  • どう使いやすいのか?
    「滑らかな書き心地にこだわっています」
  • 誰から見てかっこいいのか?
    「スタイリッシュなデザインで、大人の高級感を演出できます」

主観的な形容詞を詳しく言い換えると、ぐっと魅力が伝わるようになりましたね。

また、上阪氏は、形容詞を含めて「わかったようでわからない言葉」を使ってはいけないと言います。「膨大な」「丁寧に」「しっかりと」「少しだけ」……思わず「どれくらい?」と聞きたくなるような、主観的な言葉をなくしましょう。そして、分析的・客観的に、伝わりやすく言い換えましょう。

「文章がうまい人」が決してやらない3つのこと03

3.「〜ない」を使ってはいけない

3つめのNGは「否定文(〜ない)」。冗談みたいな話ですが、この記事でさんざん書いてきた「〜してはいけない」、じつは改善すべきなんです。

なぜ否定文はNGなのか。理由は簡単、わかりづらいからです。ビジネス書作家の木暮太一氏は、否定文についてこのように分析しています。

人間の頭は、否定形をイメージできないようです。たとえば、「走る」という動作はすぐにイメージできますが、「走らない」という動作はすぐにはイメージできません。「走らない」と言われて思い浮かべるのは、「歩いている」か「立ち止まっている」状態でしょう。でも、それは「走らない」状態ではありませんね。

たとえば「食べる」「寝る」「でんぐり返しをする」もすべて「走らない」に該当します。つまり、「○○しない」という動作はないんです。そのため、「○○しない」という動作は、イメージしにくいわけです。

(引用元:木暮太一オフィシャルサイト|こんな文章はわかりづらい!(>。<) ※太字は筆者が施した)

木暮氏は、特に「二重否定」を使ってはいけないと言います。ただでさえわかりづらい否定がふたつ重なれば、いっそうイメージできなくなります。そんなまわりくどい二重否定の文章は、次のように肯定文に言い換えましょう

二重否定「日本人が朝食にパンを食べないとは限らない
→ 肯定文「日本人も朝食にパンを食べることがある

すっきりしましたね。文章はシンプルが一番伝わります。ややこしくする必要はないのです。もちろん、すべての否定文をなくすことはできませんが、直せるものはできるだけ肯定文に直すことをおすすめします。

加えてビジネスにおいては、相手に行動を促す観点でも、肯定文が重要になります。文章術に関する著書を多くもつ山口拓朗氏は、相手に何かをしてほしい(あるいは、やめてほしい)とき、否定文ではなく肯定文で書くべきと言います。木暮氏の述べるとおり、否定文はイメージしづらいため、「〜をやめてください」と言っても、相手は「じゃあ何をすればいいの?」と思ってしまうのです。

ですから、相手へのお願いや指示は「〜してください」と肯定的かつ具体的な文章にしましょう。

では、今回ご紹介した3つのNGを肯定文に直してみます。

  1. いきなり書き始めてはいけない→「書く前に準備をしましょう」
  2. 形容詞に頼ってはいけない→「分析的・客観的に言い換えましょう」
  3. 否定文(〜ない)を使ってはいけない→「肯定文で書きましょう」

これで、文章をうまく書くために、何をやめて何をすればよいかわかりましたね。

***
文章を上手く書くための「3つのNG」と改善法をお伝えしました。3つに共通して言えるのは、「わかりやすさが大事だ」ということ。文章がうまいとは、小難しいテクニックを使うことではなく、読みやすく、伝わりやすく、わかりやすく書くことなのではないでしょうか。

(参考)
リクナビNEXTジャーナル|ビジネス文章が「もっと速く書ける」ようになる“シンプルな考え方”――上阪徹の『超スピード文章術』
Schoo|上阪 徹先生の授業・プロフィール
プレジデントオンライン|形容詞を多用すると文章はバカっぽくなる "すごい""おもしろい"は控えめに
リクナビNEXTジャーナル|わかりやすい文章に「形容詞」が少ない理由――上阪徹の『超スピード文章術』
木暮太一オフィシャルサイト|こんな文章はわかりづらい!(>。<)
伝わる文章の専門家・山口拓朗オフィシャルブログ「Writing is power!」|相手に行動を促したいときは「否定文」ではなく「肯定文」で書こう!

【ライタープロフィール】
梁木 みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。

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