仕事に苦労はつきものです。「仕事に行くのがつらい」と嘆いたり、「自分には結果を出すのは無理だ」と弱気になったりする人も、決して少なくはないでしょう。そんな方は、まずは自分の「幸福度を上げる」ことを目指しましょう。
アメリカ・イリノイ大学名誉教授のエド・ディーナー博士らによると、幸福感の高い人は、そうでない人に比べて、創造性が3倍高く、生産性は31%、売り上げは37%も高いのだそう。また、欠勤率や離職率が低いことも明らかとなっています。
デキる人は幸福度が高いのですね。今回は、幸福度を高めるために自分自身に問いかけるべき4つの質問を提案します。
1. 今週、誰かに親切なことをしましたか?
カリフォルニア大学の心理学教授であるソニア・リボムスキー氏によると、週に1回、誰かに良いことをすると幸福度が上がるようです。
20年以上、幸せについて研究してきた同氏の研究によると、週に1回がちょうどよく、週に3回行なっても結果は変わらないそう。また、親切の内容が毎回同じだと効果が薄れ、変化に富む行ないだと、効果が高まるのだとか。
同僚にコーヒーを入れてあげる、母親に電話をして気長に話を聞いてあげるなど、簡単なことでもかまいません。週に1回は、必ず誰かに親切なことをするよう心がけましょう。小さなことでも、行為を受けた人はきっと喜んでくれるので、Win-Winですね!
2. 感謝の気持ちを忘れていませんか?
スターリング大学・カリフォルニア大学などの教授らの研究によると、感謝の気持ちを持っている人のほうが、そうでない人に比べて、自信があり、睡眠の質も良く、疲れづらく、機嫌が良いということが明らかになっています。
日々の忙しさに追われて幸福を感じられない人は、少し立ち止まって、何に感謝すべきか考えてみましょう。
たとえば、1日のはじめに、心の中で感謝の気持ちを唱えてみてはいかがでしょうか。何も思い浮かばない人は、電気やインターネットが使えること、蛇口をひねれば清潔な水が出てくること、など簡単なことでもよいのです。朝起きたら、感謝の気持ちを唱えることを習慣づけてみましょうね。
3. 最近、自然と触れ合いましたか?
自然と触れ合うことは、幸福感を高めるのに有効です。
学会誌アラバマ大学バーミンガム校・作業療法学科の研究者らが『International Journal of Environmental Health Research』に発表した内容によると、20分ほど「都市公園」で過ごすだけで「幸福感」が上昇するそう。
また、別の研究では、仕事場に植物を置くことで生産性と幸福度が上がるという結果が出ています。学会誌『Journal of Environmental Psychology』は、集中力が必要な仕事をする際に、植物を置いてある部屋のほうが、置いてない部屋に比べ、疲れを感じづらいという研究結果を発表しています。窓の外に緑が見えることも、同様の効果が得られるのだそう。
窓の外に木や垣根など植物がある環境の人は、窓際に座ることをおすすめします。それがない場合は、デスクに小さな植物を置くのもよいでしょう。昼休みや休憩時間に公園へ散歩に行くのも、ストレスを軽減させてくれますよ。
4. 良い影響を与えてくれる人たちと付き合っていますか?
アメリカの起業家で自己啓発作家のジム・ローン氏は、人付き合いについて「あなたは最も多くの時間をともに過ごしている5人の平均である」と述べました。多くの成功者が彼の言葉に影響を受けていると言われており、この言葉を裏づけるような研究結果も発表されています。
デューク大学の心理学教授らの研究によると、セルフコントロールが苦手な人は、自制心の高い友人を周りに置くことで改善が可能なのだそう。つまり、向上心の高い人たちと過ごせば向上心が上がり、幸福な人たちと過ごせば幸福度が上がる、と考えられますね。
常にマイナス思考の人たちと一緒にいると、それが普通のことであると認識してしまいます。周りの人たちが自分に与えている影響がポジティブなものなのか、一度自身に問いかけてみてください。「ネガティブな影響を受けているかもしれない」と気づいた人は、今まで接したことのなかった人たちと関わりを持ってみてはいかがでしょう。交友関係を広げる良い機会になりますよ。
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漠然とした不安を抱えて嘆くよりも、自分自身に問いかけをし、幸福になるための行動を実践しましょう。
(参考)
東洋経済ONLINE|仕事の生産性にまで影響する「幸福」の正体
American Psychological Association|The Role of Gratitude in Spiritual Well-Being in Asymptomatic Heart Failure Patients
U.S. News|Acts of Kindness Can Make You Happier
George E. Vaillant (2012), Triumphs of Experience: The Men of the Harvard Grant Study, America, Belknap Press
sidsavara.com|Why 3% of Harvard MBAs Make Ten Times as Much as the Other 97% Combined
APS|Low on Self-Control? Surrounding Yourself With Strong-Willed Friends May Help
【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。