医師提唱の「5行日記」で勉強内容を毎日振り返ってみたら、難しい講義がラクに記憶できた!

勉強したことを「5行日記」で振り返ってみた01

頑張って勉強したはずなのに、試験で思い出せない。つい昨日参考書を読んだのに、もう忘れてしまっている……。このように、自分には記憶力がないと悩んでいる人におすすめしたいのが、医師が提案する5行日記

今回は、勉強した内容をより効率よく記憶するために、この5行日記を活用し、学習したことを毎日振り返ってみました。筆者の実践例とともに、その確かな効果についてリポートします。

「5行日記」が記憶定着に効果的な理由

「5行日記」を提案しているのは、脳神経内科・認知症の専門医である長谷川嘉哉氏。5行日記とはその名のとおり、1日の出来事を5行で書く日記を指します。じつは、これを続けることが記憶の定着に有効なのだそう。長谷川氏は、その理由を脳科学的観点からふたつ挙げています。

「手書き」が脳を活性化させるから

ひとつめは、「手書き」によって脳を活性化できるため。手で書くと、脳は以下のようにしてフル稼働するのだそうです。

記憶をつかさどる海馬から、書くべき内容に関する記憶を引っ張り出す
→引っ張り出した記憶を、前頭葉で文章として組み立てる
→指に至る運動神経と連動しながら、「文字を書く」ために指を動かす指令を出す

特に、手書きする際の指の動きは複雑で、スマートフォンやパソコンで文字を打ち込むときよりも格段に脳を刺激するそう。また、漢字・ひらがな・カタカナを使い分けるだけでも、それぞれ異なる脳の部位が働くのだと長谷川氏は言います。

「エピソード記憶」としてより強く記憶できるから

ふたつめは、1日を振り返ることにより、覚えたいことを「エピソード記憶」として覚えることができるからです。

記憶には大きく「意味記憶」と「エピソード記憶」の2種類があります。

  • 意味記憶:「appleの意味はりんご」のような、知識の記憶。
  • エピソード記憶:簡単に言えば思い出のこと。「去年の旅行ではこんなことがあって、楽しかったね」といったもの。

勉強の記憶には、用語や英単語などの「意味記憶」が多いものですよね。しかしこれらは、覚えづらくて思い出しにくいという難点があります。

一方で、感情をともなう「エピソード記憶」の特徴は、脳に定着しやすく思い出しやすいという点。このメリットが活きるのが、5行日記です。1日の勉強を振り返って日記につければ、勉強したことを「意味記憶」ではなく「エピソード記憶」として楽に定着させることができるというわけなのです。

勉強したことを「5行日記」で振り返ってみた02

「5行日記」が記憶定着に役立つ、ふたつの追加要素

5行日記の提唱者である長谷川氏は、上記のような理由を挙げていました。しかし、5行日記が記憶定着に役立つ理由はこれだけではないのです。別の識者らの見解も加えて、さらにふたつの要素をご紹介しましょう。

「思い出す」という行為自体が記憶を強化するから

まずは、「あとから思い出して書く」ことで記憶が強固になるという点。脳科学に詳しい東京大学薬学部教授の池谷裕二氏いわく、記憶力はインプットではなくアウトプットにより鍛えられるのだとか。

池谷氏は、『Science』誌に掲載されたある研究を紹介しています。その研究では、初めに50個の単語を被験者へ次々と見せたあと、被験者をふたつのグループに分けました。

  • 初めと同様に「単語を見るだけ」というやり方で復習するグループ
  • 単語を見ずに「思い出せる限りの単語を言う」グループ

すると、翌日のテストでは、後者のグループのほうが点数が高かったそう。

こうした研究結果があるように、自力で思い出してアウトプットすることは、記憶定着にとても効果的だと言えます。あとから思い出して書く5行日記は、アウトプットそのもの。「勉強したらそれで終わり」とするよりも、記憶を定着させやすいのです。

「要約」で内容を整理しながら記憶できるから

そして、たった5行という短さで「要約」することも、記憶定着に効果的です。要約が優れた勉強法だと言うのは、東大生の勉強法を数多く発信している著作家の西岡壱誠氏。

要約しようとすると、勉強した内容のなかから「重要なポイント」を見つける必要がありますよね。するとおのずと、どこが重要でどこがそうでないのか、内容が整理されて頭に入ってくるそうです。

「要するにどういうことなのか」を考え、勉強内容を5行に要約することは、だらだらと文章を書き連ねるよりもずっと、理解と記憶を深めるのに効果的なのです。

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1日の勉強内容を「5行日記」で振り返ってみた

さて、そんな有効性だらけの5行日記、筆者も実践してみました。

長谷川氏のすすめるやり方は、その日の天気や服、何をしたかなどを箇条書きで書き出すというもの。それをアレンジし、今回筆者は、大学のオンライン講義を1日1回分ずつ受講し、その日の夜に、勉強したことを振り返って5行日記をつけることにしました。

講義内容は、映画を精神分析的に解釈するというもの。精神分析の用語や難解な文章が出てくるため、覚える以前に、そもそも理解するのが大変な内容です。そんな講義の中身をよりよく覚えるため、5行日記に次の5項目を書きました。

  • 講義で扱われた映画
  • 重要な人物名
  • 重要なキーワード
  • 講義の結論をひとことでまとめると
  • その日の天気

天気を書くことにしたのは、単なる講義ノートではなく日記として「エピソード記憶」を形成するためです。また、池谷氏が紹介していたとおり、できる限り何も見ないで5行日記を書くことにしました。できあがった紙面がこちらです。

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「5行日記」を実践したら、勉強した内容がちゃんと記憶に残った!

勉強に5行日記を取り入れて最初に実感したのは、要約の効果。これは5行日記を書く以前の、勉強している段階から感じられました。というのも、「あとで5行日記にまとめる」と意識したことで、「覚えるべき人物は誰か」「この考えは誰のものか」「先生はこの講義で何が言いたいのか」などと、内容を頭のなかで整理しながら勉強できたから。その結果、これまではどの説が誰のものか覚えづらかったのが、「フロイトといえばこれ、ラカンといえばこれ」とすっきり頭に入ってきたのです。

次に感じたのは手書きの効果。自分の頭で何を書くか考え、自分の手を使って書くことで、5行日記に手書きしたキーワードがより強く印象に残りました。講義の内容すべてを暗記していなくとも、頭に残ったキーワードから芋づる式に、どんな内容だったかあとで思い出すことができたのです。

さらに、エピソード記憶の効果もよく感じられました。5行めに天気を書いたことで、勉強していたときの空気感や気分まで印象に残り、気分や感情にひもづけて記憶できたからです。実践した期間はあいにくずっと優れない天気。じめじめと雨の降るなか、頭だけでなく気持ちの面でも、精神分析の考え方を理解した――そのときの自分の内面が「雨」というキーワードからすぐに思い出せ、勉強内容の理解にもつながりました。

天気に限らず、その日の服装や食事などでもいいでしょう。生活のなかでみなさんの気分にひもづきやすいものを探して書くと、きっと記憶力アップに役立つはずです。

***
記憶定着にメリットしかない5行日記。なかなか覚えられなくて勉強に悩んでいる方、ぜひノートを開いて実践してみてください。

(参考)
STUDY HACKER|医師「手書きが脳にいいのは当然」――脳を刺激する“最高のアナログ習慣”してますか?
東洋経済オンライン|脳機能の低下を防ぐには「手書き」が有効だ
介護ポストセブン|記憶力が劇的に回復するメモ術5行日記|あれあれ症候群や認知症対策にも!
東洋経済オンライン|医者も実践「どんどん進む脳の老化」を防ぐ習慣
WEDGE Infinity|記憶力を鍛えるのは入力じゃなくて出力です 池谷裕二(脳科学者)×出口治明(ライフネット生命会長)[第3回]
東洋経済オンライン|マンガ!東大生の「最強の勉強法」は要約である

【ライタープロフィール】
梁木 みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。

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