いくら頑張っても仕事が終わらず、残業続きで「自分は仕事が遅い……」とお悩みではありませんか? 仕事が速くなる秘訣を知りたいですよね。
仕事が速くなる方法について調べてみると、無駄を省いて作業を効率化する仕事術はたくさん出てきます。しかし、心の余裕のなさや疲労が原因で仕事がはかどらないなど、効率化だけでは解決できないケースもあるのではないでしょうか。
そこで参考にしてみたいのが、仕事の速い人がやっている “ちょっと意外” な習慣 。仕事のスピード改善にぜひお役立てください。
【ライタープロフィール】
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している
プレジデントオンライン|「仕事ができる人ほどよく遊び、できない人ほど残業する」精神科医が解説する納得の理由
弥報Online|仕事をゲーム化して社員のモチベーションUP!「ゲーミフィケーション」を取り入れる方法を聞く
ダイヤモンド・オンライン|創造力がドバドバあふれ出す!計画的に「○○する」技術
プレジデントオンライン|1日50個のアイデアが出るノートの使い方
My Wellness|休憩中の「昼寝」は正解! 仮眠で仕事がはかどるワケ
仕事が速い人の習慣1:「遊び心」をもって働く
「仕事は苦しくて当たり前だ」と思っているとしたら、まずはその考え方を変えてみませんか。なぜなら、仕事のスピードアップには “遊び心” が効くのです。
精神科医の樺沢紫苑氏によれば、「『つらい』『苦しい』という状況が継続すると、ストレスホルモンのコルチゾールが分泌」され、「モチベーション」や「記憶力」が低下するそうです。一方で、遊び心をもって楽しく働くと「ドーパミン」が分泌され、「スーパーマンのように効率的に働き、圧倒的な結果」を出せるのだとか。(カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|「仕事ができる人ほどよく遊び、できない人ほど残業する」精神科医が解説する納得の理由)
そんな遊び心を仕事に活かす方法として、「ゲーミフィケーション」があります。
日本ゲーミフィケーション協会を立ち上げたゲームクリエイターの岸本好弘氏は、次のように説明しています。
ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素を仕事や勉強・家事育児などに取り入れて、人をワクワクやる気にさせる仕掛けです。ひと言で表現するならば「遊び心」でしょうか。
(引用元:弥報Online|仕事をゲーム化して社員のモチベーションUP!「ゲーミフィケーション」を取り入れる方法を聞く)
ゲーム感覚で楽しく働けるよう仕事のやり方を工夫して、モチベーションを高めようというわけですね。
岸本氏は、ゲーミフィケーションを実践する際に重視すべき要素を3つ挙げています。
- 「能動的な参加」
- 「成長の可視化」
- 「称賛の演出」
(カギカッコ内引用元:同上)
たとえば、事務の入力作業にゲーミフィケーションを取り入れるなら、次のように実践することができます。
【能動的な参加】
(例)入力作業にかかる時間を、1件につき10分短縮するというゴールを設定。そのゴール達成に向け、自ら工夫する。
【成長の可視化】
(例)卓上カレンダーに、入力作業にかかった時間を記入する。
【称賛の演出】
(例)目標達成できたら、卓上カレンダーにシールを貼る。ひと月連続で目標達成できたら、ご褒美スイーツを食べる。
繰り返し達成感を味わううち、ゲームにはまるように楽しい気分で働けるようになるでしょう。つらい気分のせいで滞っていた仕事が、ドーパミンの効果でサクサク進むようになるかもしれません。きっと仕事の速い人に近づけますよ。
仕事が速い人の習慣2:仕事の合間に「ぼーっとする」
なかなか仕事が進まないときはいったん仕事から離れて、ぼーっとするのはいかがでしょう。空想や夢想を挟むことで、すばらしいアイデアが生まれるかもしれません。
『ハーバード×脳科学でわかった究極の思考法』著者で、ハーバード・メディカル・スクール精神医学臨床准教授のスリニ・ピレイ氏は、「夢想」は「新しいアイデアや感覚に対する好奇心や感受性を高める」としています。同氏がその根拠として挙げるのが、アメリカの認知心理学者ベンジャミン・ベアード氏らによる、創造力に関する研究(2012年)です。
この研究では、被験者たちに短時間でなるべく多くのアイデアを見つけ出す共通課題を与えました。そして被験者を4つのグループに分け、実験中の12分間の休憩時間の使い方を、それぞれ次のように設定しました。
- 休憩 + 休憩中に「集中力を要する作業」あり(※「夢想する余裕」なし)
- 休憩 + 休憩中に「集中力を要さない作業」あり(※「夢想する余裕」あり)
- 休憩のみ
- 休憩なし
実験の結果、最も高い創造力を発揮したのは、休憩中に「夢想する余裕」のあった「集中力を要さない作業」をしたグループ2だったそうです。
(ここまでのスリニ・ピレイ氏による解説部分の参考およびカギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|創造力がドバドバあふれ出す!計画的に「○○する」技術)
つまり、発想力を高めるには、休憩時間を削って仕事をし続けるよりも、小休止をとりつつ軽作業をしながら空想に耽るのが効果的なのです。たとえば、Appleの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏が仕事の合間によく散歩していたというのは、有名な話ですよね。
空想で得られた発想は、忘れないうちに「アイデアマラソン」で仕事に活かせるかたちにしておきましょう。
アイデアマラソンとは、『仕事ができる人のアイデアマラソン企画術』(2009)など40冊以上の著者をもつ樋口健夫氏が提唱する「具体的思考のトレーニング」です。やり方は、「携行しやすいノート」を1冊用意し、「毎日、必ず何かを考え、即ノートに書き留める」だけ。「日付」と「イラスト」も添えておきます。(カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|1日50個のアイデアが出るノートの使い方)
実際に、筆者がA5のノートで実践したアイデアマラソンの例をご覧ください。
イラストをセットで描くことで、アイデアが具体的にイメージできただけでなく、頭のなかがスッキリして快適な気分になりました。
「発想力がなくて仕事が進まない……」という人は、仕事の手を止めて簡単な別の作業に取り組んでみてください。いいアイデアがサクッと浮かび、ただ悶々と考えるだけだったときと比べて格段に、仕事の速い人になれるのではないでしょうか。
仕事が速い人の習慣3:「パワーナップ」をとる
残業や仕事の持ち帰りで、睡眠時間を削ってはいませんか? 仕事の効率が落ちているのは、寝不足のせいかもしれません。足りない睡眠は、仮眠で補ってみるのも手です。
「寝不足が続くと、仕事のパフォーマンスが落ちる」と述べ、「『パワーナップ』と呼ばれる短時間の仮眠」をすすめるのが、医学博士で睡眠コーチの坪田聡氏。
パワーナップとは、1998年にアメリカの社会心理学者ジェームス・マース氏が提唱した「短時間で効率的に疲労を回復させる昼寝」のことで、「仕事の能率が上がる」「ストレスが減る」などのメリットがあるそうです。
(カギカッコ内引用元:My Wellness|休憩中の「昼寝」は正解! 仮眠で仕事がはかどるワケ)
昼寝で仕事が速くなるとは嬉しいかぎりですが、職場で横になることは難しいですし、平日のわずかな休憩時間で、寝不足のぶん1時間も2時間も眠るわけにはいきませんよね。しかし、「自分には仮眠なんて無理かもしれない……」と諦める必要はありません。
坪田氏は、次のように語っています。
昼休みに食事を摂ったあとに、10分から20分間、昼寝をするのがおすすめです。時間が短いと感じるかもしれませんが、昼寝は『浅い睡眠』の間に起きたほうが、頭がスッキリします。逆に30分以上寝てしまうと、眠りが深くなり、起きたあとも眠気が続いてしまうのです。
(引用元:同上)
つまり、あえて10〜20分の短い睡眠をとることにこそ、効果があるのです。
また、浅い睡眠のためには「寝る姿勢」も重要。深く眠らないよう横にはならず、「椅子に座ったまま背もたれにもたれかかるようにして寝るか、あるいはデスクに伏せる」のが効果的だと言います。(カギカッコ内引用元:同上)
筆者も昼食後、午後の仕事が始まるまでの10分間にパワーナップを実践してみました。1週間ほど続けたところ、たった10分の睡眠でも頭がスッキリして、昼寝をしなかった頃よりもスムーズに仕事に集中できたように感じましたよ。
簡単に実践できて、効果は抜群。寝不足が原因で仕事が遅くなっていると感じる方は、ぜひ試してみてください。
***
仕事がはかどらないときは、仕事の速い人になれるように習慣をチェンジしてみては? 仕事のスピードが改善できるかもしれません。