「人脈を築けない人」2つの致命的欠陥。異業種パーティーより大切にしなければいけないこと。

「人脈を築けない人」2つの致命的欠陥。異業種パーティーより大切にしなければいけないこと。

「人脈」というものに、多少なりとも嫌悪感を持っている人もいるかもしれません。ただ、ビジネスにおいてそれが大きな力を発揮するのは事実です。では、どうすればより強い人脈を築くことができるのでしょうか

お話を聞いたのは、大企業を中心としたクライアントを相手に経営コンサルタントとして活躍する平野敦士カールさん。多くの著書を出版し、作家としても活躍する平野さんですが、作家業のはじまりも人脈がもたらしてくれたものだったのだそうです。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹(ESS) 写真/玉井美世子

素直に人を頼ることもビジネスでは大きな力となる

数多くの社会人と接してきたなかで、「人脈を築けない人」にはふたつのタイプがあるように感じます。ひとつは「どこかで人脈を嫌っている人」。これは、「人脈を築かない人」と言ってもいいかもしれません。ただ、このようなタイプは、仕事のスキルとしては優秀なものを持っている人が多いように思います。

人脈というと、特に日本では「人を利用する」というようなあまりいい意味にとらえられないこともあります。どこかでそういう認識を持っているのでしょうね。こういう人は、「自分の力でのし上がるんだ!」という気持ちが強いばかりに、たとえ問題にぶつかったときにも人を頼ることができない。ただ残念なことに……人との付き合いがなければ、どんなに優秀であってもその優秀さはなかなか周囲に伝わりません。結局、会社でもあまり評価されないということになってしまいます。

素直に人を頼ることもビジネスでは大きな力となる

誰もが知る大企業・『Apple』は、銀座のブランドストリートに実店舗を持っていますよね。ブランド化を図るという意味もありますが、あらゆることがネット上で完結できるいまだからこそ、ユーザーとのリアルの接点をつくろうとしているのです。それは人間関係においても同じこと。ネット上での付き合いが増えているいま、リアルの関係の重要さが増しているのではないでしょうか。

そういうリアルの関係を周囲としっかり築いている人もいます。それは、優秀なのに「人脈を築かない人」の真逆ですね。そういう人は、仕事の力そのものはそれほど優秀とも言えないのに、なぜか成果を出せる人が多いもの。仕事上の問題に直面したときに人に「助けてもらう力」、人を頼る「素直さ」があるのです。

じつは、頼られる側もそれはそれでうれしい場合が多い。わたしのメインの仕事は企業のコンサルティングです。直接、社長を相手にすることがほとんどですが、その仕事のなかでクライアントの満足度が高いのは、社長とわたしが7:3くらいの割合でしゃべっているケースです。もちろん、わたしもコンサルタントですからまったく話さないなんてことはありませんが、わたしのちょっとした言葉で「気づき」を得て、社長が冗舌になっているケースほど相手は満足してくれる。しゃべることと同じように、たとえ誰かに頼られてする仕事であっても、人は主体的に行動することによろこびを感じるものなのです

そういう感覚を持って、ときには素直に人を頼ることも必要でしょうね。

自己発信こそが人脈とチャンスをもたらしてくれる

「人脈を築けない人」のもうひとつのタイプは、「人脈を築く目的」と「人脈の本質」が見えていない人です。

人脈を築こうとしながら、そもそもなぜ人脈を築きたいのかそれがわかっていないのでしょう。自分の抱えている仕事をこなすには、A社との連携が必要だとしましょう。それが「人脈を築く目的」です。であれば、A社の人、あるいはA社につながりを持つ人と知り合えばいい。こんなにわかりやすいことはないですよね?

それなのに、多くの人はただやみくもに名刺交換会や異業種交流会に顔を出しては名刺をばらまくような行動に出ます。あるいは、芸能人など有名人と写真を撮ってSNSなどに得意げにアップする。それが人脈を築くことだと思っています。でも、そういうものが本当に人脈だと言えるでしょうか?

明確な目的を持ったうえで、「互いにメリットを得られるもの」。それが本当の人脈です。本を出版したいという目的を持っている人にとって、出版社の人と知り合えば、当然、大きなメリットを得られます。逆に、本を書ける人を探している出版社の人からすれば、思うような本を書いてくれる人と知り合うことが大きなメリットをもたらしてくれるでしょう。そういう関係性こそ、人脈だととらえなければならないのです。

自己発信こそが人脈とチャンスをもたらしてくれる

「六次の隔たり」という言葉を知っていますか? その言葉を知らなくとも、「直接の知り合いからたどって6人以内で世界中の人につながる」という話は聞いたことがある人も多いかもしれません。SNSなどのソーシャルネットワークサービスは、この仮説が下地となっています。つまり、会いたいと思えば会えない人はいないということです。でも、目的がなければ会う意味はありませんし、相手にメリットをもたらせられなければ会ってもらうこともできないでしょう。それが地位のある人や有名人ならなおさらです。

もちろん、思わぬ出会いがビジネスに発展することも多いものです。わたしがはじめて本を出版したのは、独立して間もない頃でした。ある人に誘われたランチの席で、「本でも書かない?」と誘われたのです。聞けば、前日に一緒にゴルフに行った出版社の社長に「誰かいい書き手がいないか」と相談されたのだとか。それで、わたしは本を書くことになったというわけです。

ただ、それも待っていただけでは起こり得なかったことです。ランチに誘ってくれた人には、わたしは以前から「本を書いてみたい」と話していたのです。その人とは、以前から仕事上でお世話になっていたわけですから明確な目的を持って関係を築いたわけではありませんが、やはり、自分から発信していたからこそ、本を書くよう誘ってもらったのでしょう。

幸い、いまはSNSやブログなど自己発信するツールには事欠きません。自己発信こそが、人脈を引き寄せ、大きなチャンスをもたらしてくれるのだと思います。

【平野敦士カールさん ほかのインタビュー記事はこちら】 ヒントはYouTubeにあり。自分に強みがなくても “最強人脈” を築く方法 良質な人間関係は “昼12時” から始まる。口下手でも人脈が築ける「アライアンスランチ入門」

【プロフィール】 平野敦士カール(ひらの・あつし・かーる) 1962年4月21日生まれ、アメリカ・イリノイ州出身。経営コンサルタント。株式会社ネットストラテジー代表取締役社長。社団法人プラットフォーム戦略協会代表理事。麻布中学・高校、東京大学経済学部経済学科卒業。日本興業銀行、NTTドコモを経て、2007年、コンサルティング&研修会社・株式会社ネットストラテジーを創業。ハーバードビジネススクール招待講師、早稲田大学MBA非常勤講師、BBT大学教授、楽天オークション取締役、タワーレコード取締役、ドコモ・ドットコム取締役を歴任。著書に『プラットフォーム戦略』(東洋経済新報社)、『ビジネスモデル超入門』(ディスカヴァー21)等、監修本に『大学4年間のマーケティング見るだけノート』(宝島社)、『大学4年間の経営学見るだけノート』(宝島社)など20冊以上。

【ライタープロフィール】 清家茂樹(せいけ・しげき) 1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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