デキる人ほどサボり上手だ
こう言われたら、多くの人が耳を疑うでしょう。

でも、“サボる” という言葉を額面通りに捉えてはいけませんよ。ここで言う “サボる” とは、本当に大事な仕事で成果をあげるために、エネルギーを温存する工夫をしたり、不要な無駄を徹底的に省いたりするという意味です。

積極的にサボったほうが、仕事効率は上がります。デキる人に学ぶ「上手なサボり方」を4つご紹介します。

1. デキる人は「昼寝」が好き

“まじめ” を美徳とする日本では、いまだに “休む=悪” とみなしている組織も少なくありません。これは「定時後すぐには帰りづらい」「有給休暇を取得しづらい」といった根深い問題の原因になっているほか、つい見逃しがちな昼休みを時間いっぱい使いきりづらい」という問題とも絡んできます。

昼食をデスクで慌ただしく食べて、すぐに仕事に戻ってしまってはいませんか。脳科学的観点から考えると、それは仕事を効率よく進めるうえで “まったく理に適っていない過ごし方” と指摘せざるを得ません

仕事において重要な認知機能に「ワーキングメモリ」があります。これは、情報を一時的に保持しながら同時に別のことに取り組んでいく機能のこと。仕事を段取りよく進めたり、複雑なタスクをこなしたりするうえで、必要になってきます。

しかし、心身の疲労や睡眠不足などが原因で、このワーキングメモリの働きが鈍ってしまうことが、脳科学の研究で明らかになっています。もし、「休む間も惜しんで仕事をするべきだ!」と信じているのであれば、その考えは今すぐ改めたほうがいいかもしれません。記憶の専門家である、早稲田大学研究戦略センター教授の枝川義邦氏は、「昼休みの昼寝」をすすめています。

仕事量が多い人、午後になると集中力が途切れがちな人は、昼食後に10分程度の昼寝をするのがおすすめです。公園のベンチや電車の中で10分、目をつむって過ごすだけでもOK。脳の働きがクリアになり、記憶力が正常化されると同時に疲労感も低下し、集中力が回復します。

(引用元:NIKKEI STYLE|物忘れを防ぎ、記憶力を高める10の習慣

GoogleやApple、Microsoftといった世界的一流企業も、オフィスに仮眠スペースや快眠マシンを導入しているほどです。もし、皆さんの周囲に、昼休みに昼寝をしている人がいたとしたら、それは決してサボっているわけではなく、午後の仕事に備えて脳を休ませているのかもしれませんよ。

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2. デキる人は歩き回りたがる

あなたの業務がデスクワーク中心で、“パソコンの前にずっと座り続けて1日が終わる” という毎日を過ごしているのであれば、改善したほうがよさそうです。日本人成人の平日の座っている時間は世界一長い——こんな調査結果もあるそうですが、決して自慢できることではありません。

当然ですが、座っている間は、脚の筋肉はほとんど使われません。このとき、“第二の心臓” と呼ばれるふくらはぎの活動も、ほぼ停止状態。下半身の血液を心臓に押し戻すポンプの働きが停止していることになりますから、全身に酸素や栄養を送る血流が滞ってしまうのです。早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授は、その危険性を次のように指摘しています。

その状態が長引くほど、いわゆるドロドロ血と言われる状態になって血栓ができやすくなる。血栓は、がんを含むあらゆる病気に多く見られる血管トラブル。血栓が血管に詰まって静脈血栓塞栓症を引き起こせば、即、死に至るケースもあり得る

(引用元:BUSINESS INSIDER JAPAN|座りすぎの死亡リスクは最大40%増——日本人は世界一座りすぎている

では、どうすればいいのか。シンプルに、歩き回ればいいのです。

イギリスのブリストル大学の博士らが実施した研究によれば、ランチタイム時に30分程度の散歩(※週に3回)を10週間してもらったグループとそうでないグループを比較したところ、前者のグループのほうが気分がリラックスしたのだそう。それが午後の仕事の生産性向上にどう影響を与えるのかについては、論文では直接的には示されていませんが、筆頭著者であるThogersen-Ntoumani氏は「昼食時に歩いた人のほうがより生産的になるだろう」と予想しています。また、身体を動かすことにより脳が活性化することも、さまざまな研究で証明されています。

同僚とのコミュニケーションも兼ねてオフィス内をうろうろする。仕事の合間に外へ散歩に出かける。意外と悪くないかもしれません。

3. デキる人は他人に仕事を頼む

「ビジネスでうまくいく秘訣を、ひとつ教えてください」と聞かれたら、「人に頼みごとやお願いをするのがうまいこと」と答えたいくらい、頼み方やお願いできる能力は重要です。

(引用元:リクナビNEXTジャーナル|“大きな成果”を出す人は、やっぱり「お願い上手」

こう述べるのは、コミュニケーション総合研究所代表理事の松橋良紀氏です。

「自分がやったほうが早い」あるいは「自分の優秀さを見せつけたい」なんて思いから、あらゆる仕事を自分ひとりで抱え込んではいませんか? あるフェーズまではそれで通用するかもしれません。しかし、自身のキャパシティを超えるところまで来てしまうと、仕事の遅延や身体的精神的疲弊にもつながりかねないでしょう。

とはいえ、すべての仕事を人に押しつけていては、文字通り本当のサボり人間に成り下がってしまいます。得意な仕事はあくまで自分で。逆に、苦手な仕事は積極的に人に頼んでしまいましょう

世の中にはいろんな人間がいます。あなたがとても苦手だと思うことを、すんなりとやり遂げてしまう人はたくさんいます。それなら、自分の得意なことは自分でやる。自分の不得意なことは、得意な人に任せる。

そのほうが、効率よく物事が進みます。

(引用元:同上)

まさに健全なサボり方ですね。適材適所という言葉もある通り、チームとして生産性を高めていくにも、「誰にこの仕事を任せれば、高いクオリティの成果を高速で生み出してくれるのか?」の視点を持ち続けることが欠かせないようです。

4. デキる人は不要な仕事を潔く捨てる

社会全体の富の8割は、上位2割の人が保有している——イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート氏が発見した『パレートの法則』というものがあります。この「8」と「2」という数字の関係性、じつはビジネスの世界でも適用できることが知られています。

・仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出している。

(引用元:Consultant転職|コンサルタントが使う思考法(フレームワーク)・問題解決方法「パレートの法則(80:20の法則)」とは

皆さんも、ご自身の仕事ぶりを思い返してみてください。成果に直結する “本当に重要な仕事” はあくまで全体の一部であることに気づくはず。逆に、成果に直結しない些末な仕事に多大な時間と労力を割いてしまってはいませんか?

「できることは可能な限り全部やりたい」のが正直なところ。でも、時間もリソースも有限であるのは厳然たる事実です。ToDoリストを活用してタスクに優先順位をつけるのもよいのですが、思いきって “重要でないタスク” は切り捨ててしまいましょう。脳科学者の中野信子氏も、「やらないことを決めると、やるべき目標を達成しやすい」と述べています。

期限が決められた目標を達成するには、できるだけ「やること」の数を減らし、余った時間や労力を「やるべきこと」に回す必要があります。「やらないこと」を決めておかないと、目的達成のために「やること」がどんどん膨れ上がり、1日24時間ではとても足りません。やろうと思っていて挫折してしまった……というのは、怠惰だからではなく、やることがどんどん増えた結果、できなくなってしまうからなのです。

(引用元:StudyHacker|目標を確実に達成するために最初にはっきりさせるべきこと【中野信子『カリスマの言葉』第7回】

「正直、必要ないのでは……」と思う仕事、2つや3つあるはずです。それらを捨ててみることで、本当に重要な仕事に割ける時間が生まれますよ。

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「デキる人はサボり上手だ」の真相がおわかりになりましたか? 4つのサボり方のヒントを、ぜひ今後の仕事に役立ててみてください。

(参考)
東洋経済オンライン|「休めない」日本人の生産性が著しく低い理由
NIKKEI STYLE|物忘れを防ぎ、記憶力を高める10の習慣
ダイヤモンドオンライン|NASAも認める「昼寝」の驚くべき効果
BUSINESS INSIDER JAPAN|座りすぎの死亡リスクは最大40%増——日本人は世界一座りすぎている
Thøgersen-Ntoumani C et al (2015), “Changes in work affect in response to lunchtime walking in previously physically inactive employees: A randomized trial.” Scand J Med Sci Sports, Vol.25, No.6, pp.778-787.
プレジデント・オンライン|脳細胞が増える運動「3つの条件」
StudyHacker|「昼休みの10分散歩」で仕事がデキる人になれる納得の理由
StudyHacker|「なぜか評価されない人」の残念すぎる行動習慣。“デキるふり” も意外と大事だった。
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