「内向的」なのに「仕事がデキる」と言われる人は “この3つ” を心がけている。

「内向的」なのに「仕事がデキる」と言われる人は “この3つ” を心がけている。

「内向的な自分が嫌いだ」
「もっと外向的な性格にならなければダメだ」
「自分のように内気な人間は成功できないだろう」
このように、内向的な自分を責めたり、「こんな自分を変えたい」と悩んだりする方は少なくないはず。しかし、内向的な性格を無理やり変えることは、あまりおすすめできません

たしかに、外向的な人のほうが明るく、よくしゃべり、人と仲よくなることが得意かもしれません。しかし、内向的でも成功している人やリーダーとして活躍している人は多く存在します。今回は、内向的な人が強みを生かして力を発揮できるようになる方法をお伝えしましょう。

内向的な人は「高反応」、外向的な人は「低反応」

そもそも、なぜ内向的なタイプと外向的なタイプの人がいるのでしょうか。アメリカの発達心理学者ジェローム・ケーガン氏は、「内向的な人は高反応であり、外向的な人は低反応である」と説明しています。要するに、内向的な人のほうが外部の刺激に対する反応が強く、外向的な人のほうが外部の刺激に対して鈍感であるということ。これを証明するのが、ケーガン氏が行なった実験です。

実験ではまず、子どもたちを驚かせたり、奇妙なぬいぐるみや未知なものに触れさせたりし、反応を見ました。一部の子どもたちは、驚いて足をバタつかせたり、泣き出したりした(=高反応)一方で、まったく動じない子どもたち(=低反応)もいたそう。

のちに、高反応な子どもたちは内向的な大人になり、まったく動じなかった低反応の子どもたちは外向的な大人になったそう。つまり、刺激に対する感度の違いが、内向的・外向的な性格をつくっているのです。

外部の刺激に敏感な内向的タイプが、人前で話すことが苦手であったり、騒がしいパーティーに参加することで疲れたりしてしまうことの説明にもなりますね。反対に、刺激に鈍感な外向的タイプが、初対面の人たちと臆せず話せたり、新しい場所に飛び込んでいけたりすることにも納得できます。

内向的な人が力を発揮02

「内向的な人は成功できない」のウソ

『Quiet: The Power of Introverts in a World That Can’t Stop Talking』がベストセラーとなった、作家のスーザン・ケイン氏によると、全人口の30~50%は内向的なタイプだそう。同氏は、多くの内向型の若者が、自分の性格に問題があり、直さなければならないと考えていることを懸念しています。「変わらなければならない」と考えること自体が、能力の発揮を妨げているのだそう。

ハーバード・ビジネス・レビューの調査では、エグゼクティブの60%以上が「内向的な性格はリーダーシップの妨げになる」と答えたそうです。しかし、ケイン氏はその考えには懐疑的で、「内向的な人もリーダーとして力を十分に発揮することが可能」と述べています。

さらに、心理学者でペンシルベニア大学の教授も務めるアダム・グラント氏は、「内向的な人のほうが、じつはリーダーに適しているのではないか」という調査を実施しています。すると実際に、内向的なリーダーのほうが部下を大切にしており、それによって部下がやる気を出してよく働いているという結果が出たのだとか。

内向的な人は成功できない――これはただの先入観なのです。

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内向的な人が力を発揮する方法1:内向的な自分を受け入れる

前述したように、作家のスーザン・ケイン氏は、内向的な若者が、自分の内向性を「このままではダメだ」と感じ、無理に外向的になろうとすることを懸念しています。内向的な人が幸せに生きるためには、自分自身の内向性をポジティブにとらえることが大切です。「変わらなければならない」と自分にプレッシャーをかけることは、幸福度を下げる原因となります。

それを証明するのが、メルボルン大学の行なった実験。349人の男女を対象に、オンラインでアンケートをとり、内向性や幸福度などを調査しました。その結果、自分は内向的だと思っている人のなかでも、内向的な自分を受け入れている人は幸福度が高く内向的で「まわりが持っているものが自分には足りない」と思っている人は幸福度が低いことが判明。

たしかに、外向的な人は、学校や会社で目立つ存在であることが多いでしょう。しかし、内向的な人は、能力で劣っているわけではなく、違う魅力をもっています。その事実を認識し、そこを伸ばしたほうが、幸せに生きられるのです。

内向的な人が力を発揮04

内向的な人が力を発揮する方法2:仕事環境を意識的に工夫する

残念ながら、大半のオフィス環境は、内向的な人との相性が悪くつくられています。常に近くに同僚がいて話しかけられるなど、さまざまな刺激であふれている職場環境は、高反応な内向タイプに不快感を与えてパフォーマンスを下げる要因となりえます

家具の販売会社であるSteelcase社の調査によると、米国では正社員の31%が仕事を遂行するために自席から離れることがあると回答しているそう。同社は「すべてのワーカーにとってプライバシーは必要である」と結論づけています。

内向的な人ほど、自分のいる環境から影響を受けやすいもの。スーザン・ケイン氏も「内向的な人が自分らしくいられる環境が増えるほど、もっと世のなかに還元できるすばらしいアイデアが生まれていくはず」と語っており、同氏はSteelcase社と共同で、内向的な人も快適に過ごせるオフィス環境を開発しています。

内向型の人は、主に以下の点を工夫することで、より力を発揮できるでしょう。

  • 集中して作業したいときは、空いている会議室を使う
  • 空調を調節できないのであれば、膝掛けなどを用意する
  • 自席が騒がしいのであれば、席の移動を上司に相談する

職場によっては、仕事環境の改善が難しい場合もあるかもしれませんが、できることから始めてみましょう。

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内向的な人が力を発揮する方法3:内部的報酬を重視する

ビジネス心理コンサルタントで『才能が見つからないまま大人になってしまった君へ』などを著書にもつ神岡真司氏いわく、内向的な人は “内側のモチベーション” を大切にしたほうが力を発揮しやすいのだそう。

人のモチベーションには、「外部的報酬」と「内部的報酬」の2種類があります。外部的報酬は「金」「名誉」「賞賛」など周囲からの評価のことで、内部的報酬は「関心」「好奇心」「楽しい」など心の価値観のこと。外向的な人は、目立つことが好きで外部的報酬に強く影響される一方で、内向的な人は、心の充足感を求めるため内部的報酬により強く影響されるそう。つまり、内向的な人は、自分の内面の充実感を大切にしたほうが、物事に取り組むときのやる気が上がるということ。

神岡氏は、「万有引力発見」のニュートンや、「種の起源」のダーウィン、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツなど、歴史的に大成功した人には「内向型の人」が多く、その理由を「彼らが内側の報酬をモチベーションにしていたから」と説明しています。内向型の人は、自分の仕事や普段の行動が自分の内面を満たすものなのか、一度立ち止まって考えてみるのがよいかもしれません。

「いまの仕事は給料がいいけれど、自分は本当に、好きになれない自社商品を売る仕事を続けたいのだろうか?」「高い服を買いがちだけど、本当にこれが自分の心を満たしているのだろうか?」などと問いかけてみましょう。内部的報酬を満たしてくれるものこそ、内向的な人にとって「やる気」の源となり、力を発揮するために重要なポイントとなるのです。

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内気で目立たないことをコンプレックスに感じていたり、自分は社交性の足りないダメな人間だと悩んでいる人は内向的なタイプかもしれません。無理して外向的な人を目指すよりも、内向的な自分の良さを発揮したほうが、結果につながるのではないでしょうか。

(参考)
プレジデントオンライン|実は「内向的な人」ほど成功を掴みやすい
The Guardian|How extroverts are taking the top jobs - and what introverts can do about it
YouTube|The power of introverts Susan Cain
Mentalist DaiGo Official Blog|内向的な人が「そのまま無理せず」幸せになるほぼ唯一の戦略
Steelcase|「静かな人」の秘めたパワー
Business Journal|内向的or外向的性格、遺伝が決定付け?内向的な人が存在感を発揮&世渡りで成功する方法

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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