一文は◯字以内が鉄則。スピーチのプロがやっている「うまい伝え方」3つの極意

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ビジネスパーソンには、プレゼンや説明会など、人前で話す機会が多々ありますよね。そのような場でわかりやすく伝えられている自信はありますか? せっかくよい企画書をつくっても、先方に伝わらなければ意味がありません。

今回は、“伝え方のプロ” ひきたよしあき氏が著書『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』で紹介している伝え方の極意を抜粋して3つご紹介しましょう。

1.「しばり」をかけて要点を絞る

まず、ひきた氏のテクニックのひとつが「しばり」をかけることです。あれもこれも話そうとするのではなく、「いまはこれについてだけ話す」としばりをかけます。

たとえば、ある市の魅力を伝えるとしましょう。

「◯◯市の魅力は海産物です。交通の便もよく、人気のレジャー施設もあります」

あれもこれも話そうとすると、このようになってしまいます。これでは、その市がどんな雰囲気で、何を一番の売りにしているのかわかりませんよね。

そこで、海産物についてだけ話すとしばりをかけます。

「◯◯市の魅力は海産物です。新鮮な魚が並ぶ市場は多くの人で賑わい、海鮮料理で人気の店もあります」

海の幸で盛り上がる市の様子が、魅力的に伝わってきますよね。

話の下手な人は、多くの場合、内容がまとまっていません。人に何かを伝えるには、伝えたいことを自分のなかではっきりさせる必要があるのです。

マッキンゼーを経て、ディシジョンマインド社代表を務める経営コンサルタントの籠屋邦夫氏は、「伝達」にばかり気をとられて「内容」を整理できていない人が経営者や管理職クラスにも多いと言います。それを改善するには、「誰かに伝える」ということをいったん忘れて、まずは自分が内容を理解するよう努めるべきとのこと。

「なぜかというと、誰か特定の人に伝えることを考えながら整理すると、『こう言ったら、あの人はこう返してくる』などと余計な思考が入り、頭がこんがらがってくるからです。

相手のことを考えるのは、自分が話す内容をしっかり理解してからでも遅くはありません」

(引用:THE21オンライン|マッキンゼー流「一瞬でつかむ」伝え方の極意

まずは、自分が理解できるように整理し、そのあと伝え方を考える。だらだら話しがちな方は、ぜひこの流れを意識してみてください。

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2. 一文を40字以内にまとめる

簡潔にまとめたいのは、内容だけではなく、文章も同様です。

私は小学生の頃、引っ込み思案な性格で友だちがあまりいませんでしたが、中学のとき、担任にすすめられて生徒会役員を務め、それをきっかけに積極的で外向的な性格になりました。

(句読点を除いて78字)

私は小学生の頃、引っ込み思案で友だちがあまりいませんでした。しかし中学のときに生徒会役員を務め、それがきっかけで外向的になりました。

(句読点を除いて28字・34字)

どうでしょう。一文が短くまとまっているほうが、内容が伝わりやすいですよね。一文が短い文章のほうが、伝えたいことが明確で、力強い印象を与えます。だらだら話しがちな方は、40字程度を目安に「一文を短く」を意識してみましょう。

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3. 伝わりやすい・伝えたい数字だけを使う

最後に、数字の使い方です。データを見せるのは大事だけれど、数字だらけではわかりづらくなりますし、どこでどれだけ使えばいいか悩みますよね。ひきた氏いわく、数字を使うポイントは次の2つです。

  1. 曖昧な表現をわかりやすくするための数字
  2. 人が聞いて「へぇ〜」となる数字

1の「曖昧な表現をわかりやすくする数字」とは、「たくさん」「とても」「少し」などの表現を具体的にする数字です。「たくさんの人→10万人」「とても長い期間→40年間」など、具体的な数字を用いることで、より伝わりやすくなりますよね。

2の「人が聞いて『へぇ〜』となる数字」は、インパクトや意外性のある数字のこと。「◯◯万個も売り上げたらしいよ」「こう思っている人は◯◯%もいるんだって」と、思わず人に教えたくなる、人の興味を惹くような数字を話のなかに盛り込んでみてください。

年間200社を超える企業を相手にプレゼンの研修や講演を行なっているプレゼンテーション・クリエイターの前田鎌利氏も、プレゼンのなかに数字を入れることで、聴衆にとって「自分事」にさせられると言います。具体的な数字を示すことで、聴衆の感情を動かせるのだとか。

反対に、1・2に当てはまらない数字は削りましょう。数字ばかりになると、要点がわかりづらくなり、聞き手はかえって興味を失ってしまいます。

***
ひきた氏流「伝え方」を3つご紹介しました。共通するキモは、伝えたいことを明確にして、それ以外は削ることです。わかりやすい話し方に自信のない方は、簡潔にまとめて話すことを心がけてみてください。

(参考)
ひきたよしあき(2019),『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』, 株式会社大和出版.
NIKKEI STYLE|出世ナビ|話が「伝わる人」と「伝わらない人」、7つの違い
THE21オンライン|マッキンゼー流「一瞬でつかむ」伝え方の極意
STUDY HACKER|なぜか聴き続けたくなるプレゼンには「数字」と「○○」が入っている。

【ライタープロフィール】
梁木 みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。

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