カギは “1:5”! 「私なんか全然ダメだ」自己否定癖のある卑屈な自分はこうやって変える

自己否定の癖を直す方法01

あなたには、「自分はなんて仕事の要領が悪いんだ」「どうせ自分には人望がないから」などと、自分を極端に卑下する癖はありませんか? 

このような自己否定を繰り返していては、いつまでたっても自己肯定感や幸福感は低いまま。いいことなんてひとつもありません。

なぜ自らを否定することがやめられないのか。その原因と改善方法について、解説します。

「自己否定の癖」にひそむ心理的問題点

かたくなに自分を卑下して否定する人の心理には、いくつかの特徴や問題点があります。3人の識者の見解をもとにご説明しましょう。

特徴1:「もともとの自分」を無理に生まれ変わらせようとしている

精神科医で『心がスーッと晴れ渡る「感覚の心理学」』などの著書がある名越康文氏によると、自分を卑下してしまう人は「社会が求める形に自分を変えなければならない」と考えているのだそう。たとえば、「引っ込み思案だから会議で発言できない。もっと社交的にならないと……」「ネガティブな自分はチャレンジ精神を持たなくては……」といった具合にです。

しかし、このように無理に社会に適合しようとすると、結局本来の自分を否定することになります。だから、ますます自信を失ってしまうのです。

名越氏が言うには、ありのままで社会に適応できるような恵まれた人など存在せず、誰もが多かれ少なかれ「社会不適合者」なのだそう。それなのに、自分を社会が求めるレベルに合わせるべきだと思い込んでしまうと、どうやっても埋まらない社会との溝をいつまでもコンプレックスに感じてしまいます。

「自分を変えたい!」という考えが強いうちは、いつまでも自己否定はやめられないのです。

自己否定の癖を直す方法02

特徴2:「勝ち負け」「優劣」に縛られている

「自分は不幸だ」などと考えがちな人は、他人を基準にした「勝ち負け」という価値観に縛られている。だから、負けたと感じたときに卑屈になってしまい、「どうせ自分なんて」と自己否定してしまうのだ――。こう指摘しているのは、心理カウンセラーで日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子氏です。

大野氏いわく、他人に対する劣等感自体は健全なものであり、「誰かに認められたいから努力する」ということにつながるのであれば、立派な成長の糧になるとのこと。しかし、劣等感が強すぎると、「自分はあの人より劣っている」と自分と他人を比べて落ち込んだり、「あの人は勝ち組で自分は負け組」と卑屈になったりしてしまうと言います。

すべてにおいて周囲の誰よりも優れた人間になるのは、とうてい不可能なことです。それなのに、優劣や勝敗にこだわり続け、「周りに追いつかないと」とプレッシャーを感じてばかりいては、自己否定の癖は直らないと言えます。

自己否定の癖を直す方法03

特徴3:「自責モード」に依存してしまっている

陸上選手としてオリンピックに3度出場し、著書『諦める力』がベストセラーになったことでも知られる為末大氏の話では、自己否定がやめられない人は「自分を責めること」に依存しているとのこと。

そのような状態のことを、為末氏は「自責モード」と呼んでいます。為末氏によると、自責モードの人は、「頑張っていますね」と言われても「いや、そんなことはありません」と反論しがちなのだそう。他人が何を言っても耳を貸さず、自分を責めること=自己否定にこだわり続けているのです。

為末氏いわく、自責モードに入りがちな人の共通点は、「あるべき自分」という目標が高い位置に設定されていること。だから、いつになっても「あるべき自分」に変わることができないし、高すぎる目標と現状の自分とのギャップが許せないのだとか。そのために、「自分なんてまだ全然だめだ」と卑屈になり、自分を責め続けてしまうというわけです。

そうやって、自分を責めることが癖になると、自己否定の沼にはまってしまいます。そこからは、なかなか抜け出すことができないのです。

自己否定の癖を直す方法04

自己否定気味な自分を変える3つの方法

それでは、自分を卑下する癖を直して自己否定の沼から抜け出す方法を3つ紹介します。識者らのアドバイスから、自分らしく生きるにはどうしたらよいのかを学びましょう。

【自己否定癖の改善法1】「自己否定的な自分」を否定しない

自己否定の癖を直すうえでまず間違えてはいけない点が、自己否定的な自分を否定しないという点です。なぜなら、「こんな自己否定ばかりする自分ではいけない」と考えること自体が、自己否定になるからです。

兵庫県にある心療内科さくらこころのクリニック院長で精神科医の南中さくら氏は、次のように述べています。

自己否定的な自分もそのままでOKとし、ネガティブな側面ばかりに注目していることを自覚し、自分の長所に目を向けましょう。

長所が1つもない人はいません。長所が見えなくなっているだけです。

(引用元:マイナビウーマン|生き辛い。「自己否定」してしまう人の特徴と克服方法)※太字は筆者が施した

終わりのないマイナス思考から抜け出すために、まずは「自分には自己否定の癖がある」ことを認め受け入れるところから始めましょう。

自己否定の癖を直す方法05

【自己否定癖の改善法2】自分の良い点を探し、受け入れる

自己否定的であることを自覚したうえで、自分の長所に目を向けましょう。仕事のミスを引きずったり上司などからの評価を気にしすぎたりして、自己否定が過剰になりがちなビジネスパーソンに最適な、自分の長所の見つけ方がこちらです。

  1. 肯定的な意見を「収集する」
  2. 収集した意見を「深く掘り下げる」
  3. 得られた意見は真実だと「信じ、行動する」

これは、エグゼクティブコーチのサビーナ・ナワズ氏がすすめる方法です。ナワズ氏は実際にこの方法で、自己否定に陥っていたとある大企業の重役を明るくポジティブに生まれ変わらせたと言います。各ステップについて詳しく説明しましょう。

1. 肯定的な意見を「収集する」

ナワズ氏いわく、人は仕事になると、欠点や批判的な意見に耳を傾けがち。しかし、自分のよい面を探すには、積極的に肯定的な意見に耳を傾けなければいけません。

ナワズ氏によれば、人が精神の安定や幸福を実感するためには、頭の中の否定的な声1つに対して、肯定的な声が5つ必要だということが、いくつかの研究でわかっているとのこと。この「1:5」の法則を踏まえれば、自己否定癖を改善するには、自分自身について1つ否定するごとに、5つの肯定的な意見を集めなければいけないということになります。

自己否定の癖を直す方法06

ポジティブな意見をきちんとキャッチするには、かなり積極的にアンテナを張る必要があります。そのために、たとえば自分の行なったプレゼンについて、上司などに「よかった点はどのあたりでしょうか?」と自ら尋ね、肯定的な意見をフィードバックしてもらいましょう。そして、いい意見をもらえたらそれを素直に受け入れてください。

2. 収集した意見を「深く掘り下げる」

次に、良い意見をもらったら、それらの意味を深く考えましょう

たとえば「君のプレゼンは熱意があってすばらしかったよ」と言われたとき、「いえ、当然です……」と謙遜したり、「ありがとうございます」で済ませたりするのは、もったいないこと。

「どのあたりの説明のときに、熱意があったでしょうか?」「どんな態度に、熱意がこもっていると感じたでしょうか?」といった具合により具体的な理由を尋ね、自分のどこが優れているのかを詳しく理解しましょう

3. 得られた意見は真実だと「信じ、行動する」

最後に重要なのは、ここまでで収集した肯定的な意見を信じて行動することです。それらの意見をどうしても疑ってしまう場合でも、その意見が真実である可能性を信じ、それが真実であるかのように行動します。肯定的な意見をもらえたのだから、自信を持ちましょう

先の例を続けると、上司に「聴衆の目をしっかり見て話していたところが、熱意ある感じがしてよかった」と評価されたのなら、これからも堂々と同じように行動すればいいのです。

肯定的な意見をより信じられるようになるには、あなたのためを想って本音で話してくれる人から意見をもらうことが効果的だとのこと。入社時からずっと面倒を見てくれている上司、いつも激励してくれる先輩など、偽りなくコミュニケーションを取ってくれる相手から、繰り返し肯定的な意見をもらうとよいでしょう。そうするうちに、その言葉が内在化して、いい面に自然と目が向くようになるそうですよ。

自己否定の癖を直す方法07

【自己否定癖の改善法3】「よかったことを3つ記録」する

仕事だけでなく日常生活の中でも、自己否定の癖を改善できる方法があります。それは、先述の南中氏がすすめる"今日のよかったこと3つ"を記録するという方法。ナワズ氏のアプローチと同じく「いいことに意識を向ける」手法です。

幼いころは、「好きな絵本を読んだ」「お花がキレイだった」など、大人になった今は「何でもない」と思うようなことを、特別な、素晴らしいことと感じていましたよね?

当時のように、日常の中にある「よかったこと」に注目し、一日の終わりに「今日のよかったこと3つ」を記録しましょう。

(引用元:同上)

これは、アメリカの心理学者マーティン・セリグマン氏が提唱した「スリー・グッド・シングス(three good things)」と呼ばれる手法です。セリグマン氏が約60人の実験参加者を対象に行なった研究では、参加者に「就寝前にその日にあったよいことを3つ書き出す」という作業を1週間続けさせたところ、ほぼ全員の「うつの症候」が減少し、「幸福度」が向上したとのこと。

また、独立行政法人経済産業研究所の関沢洋一氏らによる研究では、週2回のスリー・グッド・シングスを4週間続けた被験者は、肯定的感情が高くなったのだそう。

南中氏の話では、最初は1つしかいいことが思い浮かばなくても、次第に5つでも6つでも挙げられるようになります。科学的根拠があるうえに簡単に実践できますので、偏った感受性を矯正する足掛かりとして、この方法をぜひ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

***
南中氏いわく、自己否定の癖を直すためには、「自己否定をやめたい」と頭の中でイメージするだけではなく、実際に行動を起こすことが大切なのだそう。行動することで初めて、自分に変化がもたらされるのです。

今回紹介した方法をぜひ実践してみてください。それによって、自分にもいいところがこんなにたくさんあるんだと気づき、自分自身を肯定できるようになれば、もとの自分を無理に変える必要もなくなりますし、優劣や勝ち負けにこだわらなくてもよくなるでしょう。「変われない自分はなんてダメなんだ」という、自責モードに陥ることもなくなるはずです。

(参考)
東洋経済オンライン|何をしても「自分を卑下してしまう人」の盲点 「ありのままの自分」では社会に適応できない
東洋経済オンライン|他人と比べて「自分は不幸」という思考は危険だ まずは「本当の気持ち」を知る訓練を始めよう
プレジデントオンライン|うまくいかないことを全部自分のせいにしてしまいます
マイナビウーマン|生き辛い。「自己否定」してしまう人の特徴と克服方法
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|自己否定の「内なる声」には4つのステップで打ち勝つ
プレジデントオンライン|悲観症克服:就寝前の「3つのよいこと」メモ習慣
独立行政法人経済産業研究所|良いことを毎日3つ書くと幸せになれるか?

【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。

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