「限界を打破できる人」と「できない人」はいったい何が違うのか? 識者たちはこう考える

限界を打破できる人のイメージ。壊れた壁の向こうに爽やかな真っ青の空

「限界を打破できる人」と「できない人」の違いはいったいなんでしょう? もしもあなたが行き詰まり、現在の状況に不満があるならば、ぜひその違いを知っておくべきです。成功者や識者の見解をベースに説明しましょう。

疑い深く多角的か・疑わずに一面的か

戦前からの長い歴史をもつ老舗畳店の株式会社TTNコーポレーションは、2004年に畳業界では異例の24時間稼働をスタートさせたそうです。すると飲食店や旅館などから注文が殺到し、売り上げが4倍にも膨れ上がったのだとか。2007年には売上高業界一位にまで成長したといいます。

発明プロデュース協会会長、東京都知的財産総合センター 製品化コーディネーターの木村勝己氏は、「ビジネスの枠組みを変えるだけで大きな利益を出せる例」としてこの成功事例を紹介し、現状打破には次が重要だと述べています。

  • 現状を疑い考えてみる意識(なぜ? の問いかけ)
  • 多角的視点で物事をとらえ、考える意識

多角的視点について木村氏は、視点・視野・視座の3つを挙げ、それぞれの内容を次のとおりに示しています(※例は木村氏の言葉を参考に、筆者が “企業の商品開発を行なう人” を想定しアレンジしたもの)。

  1. 視点:何に注目しているか】⇒例:品質・機能・効果・簡便性・ビジュアル・開発容易性など
  2. 視野:どの範囲で見ているか】⇒例:自分の仕事・チーム全体・プロジェクト全体・業界全体・市場全体・世のなか全体
  3. 視座:どの立場で見ているか】⇒例:供給者として・ユーザーとして・オブザーバーとして・都会あるいは地方の住人として

つまり前出の株式会社TTNコーポレーションは、畳業界の常識を疑って世のなか全体を見渡し、営業時間外に効率よく畳を張り替えたいユーザーの立場になって考え、実行に移したわけです。

これらをふまえると「限界を打破できる人」は、“本当にそうだろうか?” と疑うクセがあり、そこから距離を置いて多角的視点で物事をとらえ(視点・視野・視座をいろいろ変えてみるなど)、考えることができる人だとわかります。

その一方で「限界を打破できない人」は、いっさい疑うことをせず、ずっと同じ偏ったままの一面的視点で物事をとらえている可能性があるわけです。

一面的視点で物事をとらえているため、いいアイデアが浮かばずオロオロする女性

「思い込みによる支配」の認識があるか・ないか

元陸上選手で、一般社団法人アスリートソサエティ 代表理事の為末大氏によると、私たちはマインドセットにかなり支配されているそうです。

マインドセットとは、それまでの経験や教育、先入観などにより醸成された、人それぞれにある思考スタイルのこと。また、何かを疑うことなく「正しい」と思い込んでしまう心理状態のことです(宇田左近氏著『なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか』にあるマインドセットの説明より)。

為末氏によると、たとえば子どもが6〜7歳で野球を始めた場合、同じ学年でもこの頃の4月生まれと、翌年3月生まれの子どもとでは、やはり体の差が大きいそうです。だから3月生まれの子どもに比べて、4月生まれの子どもは球が遠くまで飛び、足も速いのだとか。

すると4月生まれの子どもは、「自分は野球がうまい側の人間だ」と自らレッテルを貼るようになるそう。その影響が18歳まで残り、本当に野球がうまくなるのだとか。事実、甲子園に出場した高校球児は4〜6月生まれが多いといいます。幼少期の体の差は15〜20歳くらいでなくなるそうなので、やはり先入観が影響した可能性が高いわけです。

しかし、世のなかには絶対無理だといわれながら難関校に合格した人、不可能とされていた記録の壁を破った人、まったく違うジャンルに挑戦し、成功した人がいます。為末氏も自分の限界は頭のなかで決めているものなので、それをうまく取っ払えれば、実際の限界はもっと先にあるか、限界そのものが存在しないかもしれないと説いています。

だからこそ、「自分は思い込みに支配されている」といった考えをもつことが重要なのだとか。“思い込みの支配” について認識があれば、目の前の世界がすべてではなく、「もっと違う世界があるかもしれない」と想像力を働かせることができるからです。

自分の限界が思い込みだったと気づいたビジネスパーソン

つまり、「限界を打破できる人」は “思い込みの支配” について認識がある一方で、「限界を打破できない人」にはその認識がなく、マインドセットに支配され続けているわけです。

身近なスターがいるか・いないか

ギネスワールドレコーズ公式サイトによると、陸上選手のロジャー・バニスター氏は1954年5月6日に、当時不可能だといわれていた1マイル4分の壁を初めて破ったそうです。でも、本当に興味深いのはここから。

前出の為末氏によると、バニスター氏が記録の壁を破った42日後、なんと別の選手にその世界記録はあっさりと破られてしまったのだとか。しかも、その選手もまた3か月ほどで別の選手に記録を破られてしまいました。それから2年以内には、なんと20名もの選手が4分を切ってしまったとのこと。

こうした事象があることからアスリートの世界では、「人ができたことは自分もできる」と信じる性質と、「人ができていないことは自分にもできない」と考える性質が、人間にはあると考えられているそうです。

こうした影響は同じグルーピングほど強く、身近なところからスター選手が出ることにより、全体の能力が上がると示した研究もあるとのこと。つまり、どこかの国のすごい人が偉業を成し遂げた姿より、同年代のビジネスパーソンの活躍を見たほうが、よりいい刺激を受けやすいわけです。

だとすれば「限界を打破できない人」は、あまりにも偉大で遠い存在の人を参考にしているか、「そんなの無理、絶対無理」と言いがちな人とよく接している可能性があります。

一方で「限界を打破できる人」は、自分の可能性に蓋をしない人とよく交流し、チャレンジ精神旺盛な人が集まる場に身を置き、親近感を覚えるような有名人や成功者を参考にしている可能性が高いわけです。

身近な人にいい影響を与えられているビジネスパーソンたち

「成果」が目標か・「成長」が目標か

株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役会長の南場智子氏と、C Channel株式会社代表取締役社長の森川亮氏(元LINE株式会社CEO)は、2015年6月4日に東京カルチャーカルチャーで行なわれた対談イベントで、こんなことを述べています。

  • 自分の成長など考える余裕がないほど必死になると、能力が発揮され、結果として成長する
  • 成果を上げ続けている人は、自身の成長や目先の評価より、ユーザーやお客さまの評価を大事にしている
  • 「成長を考えるほど、成長しない」というパラドクスがある
  • 成長は結果論であり、目標ではない

これらを参考にして言えるのは、「限界を打破できる人」の目標は “成果を上げること” で、「限界を打破できない人」が掲げる目標は “成長すること” ではないでしょうか。どんなに成長したいと切望しても、この仕事が誰かに、会社に、世のなかに役立ってほしいと必死になっている人には、到底勝つことができないのです。

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「限界を打破できる人」と「できない人」はいったい何が違うのか、成功者や識者の見解をベースに掘り下げてみました。わずかに意識と見方を変えるだけでも、目の前にある “限界の壁” にピシッとヒビが入るはず。ぜひトライしてみてください!

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|【南場智子×森川亮 特別対談(1)】「成長したい」という人ほど、成長できない理由
グロービス経営大学院 創造と変革のMBA|「限界の正体」とは?自分の思い込みから抜け出す方法〜為末大
ギネスワールドレコーズ公式サイト|ロジャー・バニスター:1マイル4分の壁を初めて破った男
宇田左近著, 黒川清解説(2014),『なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか』, PHP研究所.
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TTNヒストリー|TTNコーポレーション採用サイト

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