本当は頭がいい人の7つの特徴|「変わってる」と言われやすい理由と、7つの習慣

黒板の前で考えている女性

「集中力が高くて頭のいい人とは違い、私はすぐほかのことを考えてしまう。頭がよくないのかも……」

「頭の回転の速い人に憧れる。それに比べて、自分は意見を出すのが遅い……」

こんなコンプレックスを抱いてはいませんか? 今回は、そんなあなたが想像する “頭がいい人” の特徴とは別の要素を報告することになるかもしれません。じつは、頭のよさを決める要素はさまざまで、なかには多くの人にとって思いもよらないものもあるのです。

本記事では、頭がいい人の特徴と、頭がいい人が取り組んでいる6つの習慣を紹介します。まだあなたが気づいていない自らの賢さを知るために、ぜひご一読ください。

頭がいい人とは?

頭のよさには、大きく分けて2種類あります。

IQ(知能指数:情報処理力・論理構築力・記憶力・多角的な視点など)

IQは、「知能の水準あるいは発達の程度を測定した検査の結果を表す数値」です。テストの点数のような学力や知識ではなく、「様々な状況や環境に合理的に対処していくための土台となる能力」があるかを示します。*1

IQと深く関わるのが、情報処理力。複雑な情報を素早く整理し、活用できる人は、高い情報処理能力を持っていると言えます。

IQには、論理構築力も含まれます。物事の因果関係を正確に把握し、筋道立てて考え、結論を導き出せる人は高い論理構築力を持っています。

記憶力もIQに重要な要素です。情報を暗記するだけでなく、必要なときに適切に情報を引き出し、活用できる人は、高いIQを持っていると考えられます。

多角的な視点を持ち合わせていることもIQが高い人の特徴。問題に直面したとき、多角的な視点を持ち合わせていれば、従来とは異なる新しい解決策を見出したり、他人が気づかない潜在的なリスクや機会を発見したりできるでしょう。

EQ(心の知能指数:コミュニケーションにおける共感力・傾聴力・説明力・胆力など)

EQは、心理学者ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏によって提唱されたもので、「心の知能指数」とも呼ばれます。「仕事や人間関係において「感情をうまく管理し、利用する能力」」を指します。*2 EQの高い人は自分の感情をうまくコントロールできるだけでなく、他者の感情を察する力にも優れています。

コミュニケーションにおける共感力はEQに重要な要素です。共感力が高い人は相手が困っているとき、その人の立場に立って考え、適切な言葉をかけたり、必要なサポートを提供したりできるでしょう。

傾聴力の高さも重要です。傾聴力が高い人は相手の言葉の裏にある感情や意図を読み取ることができるため、深い理解と信頼関係を築きやすい特徴があります。

EQが高い人は説明力が高いのも特徴です。相手の理解度や関心に合わせて分かりやすく説明できます。

胆力もEQに重要な要素です。胆力が高い人には危機的状況でも落ち着いて対応し、周囲に安心感を与える特徴があります。

上記のように、IQとEQの高い人が、周囲から「頭のいい人」と認識されやすいのです。

IQとEQの文字が書かれた積み木

本当は頭がいい人の特徴7選

本当は頭がいい人の特徴は以下7つです。

  1. 難しい言葉を使わず、わかりやすく説明できる
  2. 発想力が豊かで応用力がある
  3. 問題に粘り強く向き合える
  4. 客観的な視点で冷静に判断できる
  5. 好奇心が旺盛
  6. 積極的に行動できる
  7. 知ったかぶりをしない

頭のいい人は、単に知識が豊富なだけでなく、その知識を実践的に活用できる能力を持ちます。以下で順に解説しましょう。

1. 難しい言葉を使わず、わかりやすく説明できる

頭のいい人は、複雑な概念を簡単な言葉で説明することができます。明治大学文学部教授の齋藤孝氏は、「頭のいい人は説明も上手」である理由として、「物事を的確で具体的な例を用いて説明し尽くす力がある」ことを挙げています。*3

プレゼンテーションや説明の際、難解な言葉を避け、要点を端的に伝える能力があります。相手の関心や理解度に合わせて話題を選び、伝え方を調整することも得意です。このようなコミュニケーション能力の高さは、他者との円滑な関係構築にも役立ちます。

2. 発想力が豊かで応用力がある

豊富な知識と経験をもつため、一つの事柄から多角的な発想ができ、さまざまな状況に柔軟に対応する応用力があります。単に頭のなかで理論を組み立てるだけでなく、革新的なアイデアを具体化し、周囲を巻き込んでプロジェクトを推進する実行力も兼ね備えています。この創造性と実践力の組み合わせが、問題解決や新たな価値創造につながります。

たとえば、IT企業の開発者が、スマートフォンアプリの開発中に予期せぬバグに遭遇したとします。この開発者に豊かな発想力と柔軟な応用力があれば、バグを逆手にとって新機能として活用することを思いつくかもしれません。

うまく周囲を巻き込んで実行できれば、結果として、当初の計画にはなかった機能によって、アプリの人気が上がる可能性もあるでしょう。発想力と応用力があれば、予期せぬ問題を大きなチャンスに変えることもできるのです。

3. 問題に粘り強く向き合える

頭のいい人は、困難な問題に直面しても諦めずに粘り強く取り組む力があります。

前述のように、頭がいい人はEQが高いのが特徴。心理学者のダニエル・ゴールマン博士は、EQの特徴に、プレッシャーの中でも冷静さを保ち、動揺から素早く立ち直ることができる点を挙げています。*4

仕事や生活などで発生する現実世界の問題は、学校の勉強と違って正解がひとつとは限りません。頭がいい人は予期せぬ障害が生じても、柔軟に対応しながら最善の解決策を見出そうと努力し続けます。この粘り強さが、複雑な問題を解決し、大きな成果を生み出す原動力となります。

粘り強く考えている男性

4. 客観的な視点で冷静に判断できる

頭がいい人には、自分の考えだけに固執せず、多様な視点から情報を収集し、論理的に分析する能力があります。主観や一時的な感情に惑わされることなく、物事の本質を見極め、最適な解決策を導き出します。こうした感情をコントロールし、冷静に判断する力は、高いストレス耐性にもつながっています。

たとえば、組織のリーダーが、長年勤めてきた従業員の不正を発見したとします。客観的な視点で冷静に判断できれば、個人的な感情や長年の信頼関係にとらわれることなく、適切な処分を下せるはず。再発防止のためのルールを構築できれば、組織の改善にもつながるでしょう。頭がいい人は、客観的な視点をもって冷静な判断を下せるため、組織の信頼性を維持できるのです。

5. 好奇心が旺盛

頭がいい人は、日常的にさまざまな事柄に興味を持ち、絶えず新しい知識や経験を積み重ねてアイデアの引き出しを増やしています。

東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之氏は、「賢さの本質を突き詰めるならば、「知的好奇心が旺盛であること」に尽き」ると述べています。*5

単に情報をインプットするだけでなく、疑問に思ったことを納得するまで調べ、情報を整理して自分なりの結論を導き出します。この能動的な学習姿勢があるからこそ、いざというときに情報を活用できるのです。

6. 積極的に行動できる

頭がいい人は、指示を待つのではなく、自ら率先して行動を起こす積極性があります。自分や周囲の状況を改善するために必要な行動を自発的に取り、それを実行する勇気も持ち合わせています。この主体性と行動力が、理論を実践に移し、実際の成果につなげる原動力となるのです。

たとえば、営業部長が、自社の販売促進に課題を感じているとしましょう。積極性を活かせば、新たなマーケティング戦略を企画する、顧客データの詳細な分析に着手する……などの行動をとるはず。その結果、単なる販売促進にとどまらず、業務効率の改善にもつながるかもしれません。頭のいい人の積極性は実践的な価値をもたらすのです。

7. 知ったかぶりをしない

頭がいい人は、「わかったふり」はしません。自分の能力を正確に認識し、継続的に学ぶ姿勢を持っているからです。

1999年にコーネル大学のデイヴィッド・ダニング博士とジャスティン・クルーガー博士が行なった研究では、「能力が低い人ほど自己評価が高く、能力が高い人ほど自己評価が低くなる傾向」が示されました。つまり、本当に賢い人ほど自分の能力を過信せず、常に学ぶ余地があると考えているのです。

この姿勢の根底にあるのは、強い目的意識です。頭のいい人は常に「目指すゴールは何か?」を考え、目的を明確にしています。「いま、何のために時間を使うのか?」といった問いを常に自分に投げかけることで、効果的に知識を吸収しているのです。

詳細は以下の記事をご覧ください。

「本当に頭のいい人」が絶対にやらないムダな行動。この7つを “しない” からこそ賢くなれる 

目指すゴールを示しているイメージ

頭がいい人が「変わってる」と言われやすい理由

独特な考え方を持っているから

頭がいい人は、好奇心が強いため普通は気に留めない些細なことにも強い興味を示します。また、柔軟性の高さから、非常識にも見えるほど固定概念にとらわれない考え方をしたり、冷たく見えるほど合理的な判断をしたりすることも。

関西大学総合情報学部教授の植原亮氏は、人は「最初に思いついた仮説」に飛びつきがちだと言います。同氏いわく、頭がいい人は状況に応じて「あえて遅く考えている」のだそう。*6

頭がいい人は、偏見や思い込みに飛びつくことなく、多くの人が見逃しがちな事柄にも目を向けているのですね。このような特徴から、ほかの人から見ると独特な感性をもっていると思われやすいのです。

頑固な性格に見える場合もあるため

頭がいい人は、自ら収集した情報をもとに客観的な判断を下します。そのため、主観的な意見を出す人が多い状況では「ほかの人の意見を聞いても意思を曲げない人」という印象をもたれる可能性があります。

脳科学者の中野信子氏は、「頭のいい人」の特徴のひとつとして「空気を読まない」点を挙げています。*7

ここでいう「空気を読まない」とは、周囲に気遣わないわがままな態度を意味するわけではありません。無理に人に合わせるのではなく、合理的な判断をくだすということです。

また、頭がいい人は自分の非を認められる素直さがあるため、仮に間違っていたとしても潔く詫びて行動を改める傾向にあります。

デスクに座って考えている女性

頭がいい人が取り組んでいる7つの習慣

1. 読書をする

読書は頭をよくする方法のひとつです。

読書には脳を活性化させる効果があります。医学博士で東北大学教授の川島隆太氏によると、「本の黙読により、視覚情報を処理する後頭葉や、判断・創造性などに関わる前頭前野など、脳のさまざまな部位が活性化する」そう。*8

特に前頭前野は思考や記憶、感受性など、人間らしい高度な機能をつかさどる箇所です。「最近、言葉を思い出せないことが増えた」などの悩みを感じている方は、読書をしてみるのもひとつの手かもしれません。

想像力が磨かれることも読書の効果です。脳生理学者で東京大学教授の酒井邦嘉氏は、読書をすることで「言葉の意味を補う『想像力』(行間を読む力)が自然に高められる」と言います。*9 この能力は、文章理解だけでなく、コミュニケーションや問題解決にも応用できるでしょう。チームのメンバーの立場に立って考えたり、顧客のニーズを先回りして考えたりする能力はビジネスに必須です。

さらに、読書はボキャブラリーを増やします。読書は知らない言葉に出会いやすく、認知語彙を増やせます。たくさんの活字に触れ、同じ言葉に何度も出会うにつれ、認知語彙は使用語彙へと変わり、ボキャブラリーが増えていきます。

前述のように、「わかりやすく説明できる」点は頭がいい人の特徴のひとつ。ボキャブラリーが増えれば、相手の理解度に合わせて適切な語彙を選べます。

読書がもたらす効果は以下で詳しく紹介しています。

読書が脳にもたらす効果とは? 本を読むメリット10選

読書をする手元

2. 時間を管理する

頭がいい人は優秀だから、スケジュール帳が真っ黒になるほど多忙なはず……。そんなイメージを抱く人もいるかもしれませんが、じつはこれは間違い。

一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏は、スケジューリングは「いかにして白くするか」を考えることが大切だと言います。*10 その理由は、主体的に使える時間を確保するため。

スケジュールに入る予定は、会議や打合せなど、誰かに合わせる受け身の時間が多いですよね。そんな予定が増えるほど、自分の成長のために使える時間は削られてしまうのです。いくつもの予定を詰め込むよりも、予定を絞り込み、残りの時間を自己研鑽に充てるほうが、長期的に成長できるのです。

加えて重要なのが、数分単位の「スキマ時間」を活用すること。IT企業の副社長でタレントの厚切りジェイソン氏は、多忙ななかで日本語能力検定1級を取得した経験から、スキマ時間の重要性を説いています。同氏が提案するのは、スキマ時間の長さに応じて学習内容を変えること。*11

たとえば、数分程度の短い時間なら、スマートフォンのアプリを使って勉強したり、20~30分程度の時間があればオーディオブックを聴いたり……と、事前に時間の使い方を決めておくことで、突然生まれたスキマ時間も無駄にせず、効率的に学習を進められます。単なるスケジューリングではなく、自己成長のために時間を管理すれば、頭がいい人に近づけるはずです。

デスクの上に置かれた時計

3. ぼーっとする時間をもつ

頭がいい人は、勉強にも仕事にも並外れた集中力を発揮している――直感的にそう思う人は多いでしょう。ところが意外なことに、注意散漫な人も、特有の “頭のよさ” をもち合わせているのです。

「注意散漫=非生産的」というイメージがあるかもしれません。しかし実際はそうとも限らないもの。たとえば、みなさんがアイデアを思いつくのは、浴槽に浸かっているときやいつもと違う道を歩いているとき、音楽を聴き流しているときなど、“ぼーっとしている” 状態のときであることが多いのではないでしょうか。

実際、こんな研究結果があります。2001年、米セントルイス・ワシントン大学医科大学院の神経学者マーカス・レイクル氏らが、注意力が求められる際の脳の活動に関する研究を行なったところ、以下のことがわかったそうです。

脳の特定の領域群では、能動的な課題よりも受動的な課題をこなすときのほうが活発に機能していた。*12

つまり、注意力を必要としない作業をするときにこそ、活発に働く脳部位があると判明したのです。レイクル氏らは、これらの部位を「『初期状態』を意味する『デフォルト』モード・ネットワーク」(=DMN)と名づけました。*13

このDMNの活性は、私たちの “創造性” に大きく影響を与えています。前述の研究で、「創造力を測る作業の成績と、DMNを構成する灰白質(神経細胞が集まる部分)の容積との間に相関」が見られたのだそう。*14

簡単に言えば、下記の好循環が生まれています。

【ぼーっとする → DMNが活性化する → アイデアがひらめく】

また、米ペンシルベニア州立大学の認知神経科学者ロジャー・ビーティー氏によると、DMNは「過去の経験や世界に関する知識を引き出すことによって、アイデア創出の初期段階にも関わってい」るとのこと。*15

つまり、ぼーっとすることで、脳のなかでそれまでの経験や知識が組み合わさり、思いもよらない斬新なアイデアが浮かぶきっかけがつくられるのです。

さらに、米ドレクセル大学の認知神経科学者ジョン・クニオス氏いわく、「自然の中で散歩すれば気分が改善し、かけ離れたアイデアや遠い昔の思い出にも思考が広が」るとのこと。*16

実際、Appleの共同創業者の一人であるスティーブ・ジョブズ氏や、Meta Platforms, Inc.の共同創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏は、歩きながらミーティングすることを好んだと言われています。*17 散歩は、思考を自由に広げるための適切なエクササイズと言えそうですね。

そこで筆者もある日、買い物がてらあえて公園の周囲を歩き、「もし、自分がこの街を設計できるとしたら?」とぼんやりと想像をめぐらせてみました。想像した内容を図にまとめてみると、まるでマインドマップのよう。

筆者が想像した内容をメモした図

何かを意図的に考えるよりも、散歩しながら想像するほうがリラックスするため、思考は柔軟に広がっていくと感じました。「いいアイデアがひらめいた!」と思えたなら、それをメモに留める習慣も忘れてはいけません。

一見効率的でない「ぼーっとする」時間で、自らの創造力を引き出してみましょう。

4. 遅く考えるクセがある

頭の回転の速い人ほど、知性的に見えます。しかしじつは、頭のいい人には、結論を出すまでに “遅く考える” 習慣もあるのです。

前出の関西大学総合情報学部教授の植原亮氏は、あえて遅く考えることで「エラーが生じやすい場面でもエラーが生じにくくな」ると述べます。*18

たとえば、「社歴の浅い社員はリーダーシップを発揮できない」というもっともらしい考えがあるとしましょう。これは、リーダーを務めるには勤続年数が長くないといけないと考える人による見方だと考えられますし、個々の社員の適性を無視しているとも言えます。

その考えを鵜呑みにして、能力的にはリーダーに向いているが社歴が浅い社員をリーダーとして起用せず、能力はいまひとつで社歴が長い社員をリーダーに据えるとすれば、その会社にとって損失と言えるでしょう。

もっともらしい考えに安易に飛びつくと、時に本質を見誤り、不適切な結論を出してしまう恐れがあるのです。

そこで植原氏が伝えているのが、あえて遅く考える「遅考術」を使いこなすことで「誤った結論に至ることを回避できる」ということ。この遅考術で大切なのが「思いつきをいったん否定」することだと言います。*19

直感的にイメージした思いつきで突き進むのではなく、一度その考えを否定することで本当の因果関係を探るのです。先ほどの例であれば、

  • 本当に社歴の長い人だけがリーダーシップを発揮できるのだろうか?
  • 社歴が長ければ誰でもリーダーに向いているのだろうか?

と疑い「社歴の浅い社員はリーダーシップを発揮できない」という考えを否定します。こうすれば、知らず知らずのうちにとらわれていたバイアスにも気づけるはず。

“遅く考える” とは、いわゆる “思慮深さ” です。これが誤った決断を避け、頭のよさへとつながっていくわけですね。

黒板にクエスチョンマークと電球が描かれている

5. 運動が好き

頭のいい人と聞けば、オフの日でも本を読んで勉強している姿を想像するかもしれません。ところが、「運動するのが好き」という側面をもっている可能性も。

ベストセラー『スマホ脳』(新潮新書)の著者で精神科医のアンデシュ・ハンセン氏は、運動と知性に関する意外な研究結果を述べています。

総合的に見れば、あらゆるデータは同じ結論に行きつく。運動をすれば頭がよくなるのだ。*20

ハンセン氏は、スウェーデンが26年以上にわたり、120万人を超える男性から得た軍の入隊検査のデータを取り上げています。この入隊検査では、「体力テスト」「筋力テスト」「心理テスト」および「知能検査」といったテストが行なわれました。その結果、「体力テストの結果がよかった新兵は、そうでない新兵よりも知能指数が高かった」のです。*21

ただこれだけだと、もともと知能の高い人が偶然に体力もあった可能性が考えられます。

ですが、「一卵性双生児のデータに着目」した調査結果によれば、前述した調査に参加した一卵性双生児のうち「体力的にすぐれているほうは、体力が劣る兄弟よりも、おしなべて知能指数が高」いというのです。*22

なぜ、この結果になったのか? ハンセン氏は「運動の効果が最も出る部位」である「海馬と前頭葉」が運動によって強化され、最も体力と相関性の高い「論理的思考力」と「言語の理解力」が高まったのではないかと考察しています。*23

考えてみれば、知性を発揮している世界的なエグゼクティブ――マーク・ザッカーバーグ氏(Meta共同創業者)、ウォーレン・バフェット氏(投資家)、ティム・クック氏(Apple CEO)など――には、運動習慣があることで有名です。*24

彼らは “運動すれば頭がさえる” ことを経験的に知っていると考えられます。

じつは筆者も在宅勤務になってから、運動習慣をもつように。以前は、疲れやすく、悲観的に考えては生産性を落としてしまうことがありました。しかしいまでは、ヨガやジョギングをすることで、気分が上がるとともに思考がクリアになりました。

身体(脳)と精神(心)は、密接につながっているもの。みなさんも運動で気分を高めるとともに、脳を賢く鍛えてみてはいかがでしょう。

ジョギングしている様子

6. 十分な睡眠をとる

頭がいい人になるために、睡眠時間を削って勉強しなくては……。こんな考え方では本末転倒です。睡眠は脳の健康と認知機能に極めて重要な役割を果たしています。

長尾クリニック院長の長尾和宏氏によると、睡眠不足は脳内に「アミロイドβ」というタンパク質を蓄積させるそう。このタンパク質は「脳内のゴミ」と呼ばれ、認知機能の低下を引き起こし、長期的には認知症の発症リスクを高めるのだとか。*25 頭がいい人になりたいからといって、睡眠を疎かにするとかえって脳によくないのですね。

事実、東京大学大学院でAI研究を行ないながらプロ棋士としても活動する谷合廣紀氏は、「寝不足の頭では、研究や将棋に集中することは不可能」なので、「睡眠時間は8〜10時間とたっぷりとる」ことで集中力を維持しているそう。*26 優秀な人は多忙そうに見えても、十分な睡眠時間を確保して生産性を高めているのです。私たちも、夜遅くまで頑張るよりも、早めに切り上げてしっかり睡眠をとり、翌日スッキリした頭で取り組むほうが効率的だと感じた経験があるのではないでしょうか。

これは科学的にも裏付けられており、ハーバード大学医学博士のエドワード・M・ハロウェル氏によれば、睡眠不足が続くと「イライラや記憶力の低下」につながり、「注意が散漫」になると言います。*27 睡眠不足では、ちょっとしたことでイライラしたり、大事な約束を忘れたり、ミスが増えたりすることがあります。そんな状態では、複雑な問題を解決したり、新しいアイデアを生み出したりするのは難しいでしょう。

頭がいい人になり、高いパフォーマンスを発揮するには質のいい十分な睡眠が不可欠です。忙しい日々のなかでも、睡眠時間の確保を優先することで、長期的には生産性の向上につながります。睡眠は脳の重要なメンテナンス時間であり、知的能力を最大限に発揮するための基盤となるのです。

眠っている男性

7. 疑問を放置しない

頭がいい人は、疑問を放置しません。株式会社カルペ・ディエム代表取締役社長の西岡壱誠氏は、多くの東大生には「日常の些細な事柄に疑問を持って、深く考える」習慣があると言います。*28

コンビニの店員の制服のデザインが新しくなった。近所の公園に新しい遊具が設置された……など、日常生活においてまわりを見渡すと、このようにさまざまな変化が見られますよね。たいていの人は、その変化に気がついたとしてもさほど気にしません。一方で、東大生の場合は「なぜ変化したのだろう?」と考えるそう。

たとえば「コンビニの制服デザイン変更は、若い従業員を増やすための戦略なのだろうか?」「新しい遊具は子育て世帯を呼び込むための市の施策なのだろうか?」などと考えたり調べたりする過程で、彼らは多くの知識を得ているのです。

西岡氏は、日常的に思考する習慣を身につける練習としてまず、周囲を見渡して疑問に思ったことの答えを10分間調べてみるという手法をすすめています。調べる際は、スマートフォンなどのツールを使ってもよいそう。

たとえば、「なぜ電車の中吊り広告は効果的なのだろうか」という疑問から、マーケティングにおける「接触頻度」について調べてみる……これは、消費者行動論や広告心理学の基礎概念の理解につながり、さらには経済学や心理学の分野にまで発展する可能性があります。

たとえば、「なぜコーヒーショップの店員はバリスタと呼ばれるのだろう」という疑問から、「barista」という単語がもともとは「バーでサービスを提供する人」といった意味であることを知れます。さらに、この単語がイタリア語起源であることを知れば、「-ista」という接尾辞や、関連単語の理解にもつながるでしょう。

日常生活における疑問にひとつひとつ向き合うことで、ほかの人と差がつくレベルで知識を得られるのです。

頭のいい人がやっている習慣について、詳細は以下をご覧ください。 

「本当に頭のいい人」がやっている4つの習慣。賢くなるために “10分間” をこう使いなさい

閃いた様子のイメージ

本当に頭がいい人が意識している仕事術・勉強法

本当に頭がいい人が意識している仕事術・勉強法は以下のみっつです。

  1. インプットとアウトプットをバランスよく行う
  2. 目標を明確にして優先順位を決める
  3. 効率化を心掛ける

順にご説明しましょう。

インプットとアウトプットをバランスよく行なう

知識を柔軟に活用するためには、記憶にしっかり定着させることが大切です。本を読む、講義を聞くなど、インプットだけで満足していませんか? 効率よく知識を身につけたいなら、バランスよくインプットとアウトプットを織り交ぜましょう。

速読✕記憶術を活用した勉強法の専門家であり、トレスペクト教育研究所代表の宇都出雅巳氏は、「あらゆる勉強は、「読む」、つまりインプット」から始まると言います。加えて同氏が重要だと述べるのが「「思い出す」、そして「語る」というアウトプット」。同氏いわく、知識を定着させるにはこの「「読む」「思い出す」「語る」を繰り返す」ことに尽きるそう。*29 つまり、インプットとアウトプットをバランスよく行なうことが欠かせないのです。

加えて、言語の習得など、一朝一夕で身につけることのできない知識の場合、特にインプットに工夫が必要です。株式会社電通を経てストラテジックプランナーとして活躍する筧将英氏は、「短期」と「中長期」二数類のインプットの重要性を語っています。

「短期インプット」は、「目の前にある仕事を完成させるためのインプット」。「中長期インプット」は、「今後の自分の成長やキャリア形成のためのインプット」です。同氏いわく、「中長期インプット」に重要なのは「習慣化」。*30 プロジェクトが終わったら不要になるような一時的な知識ではなく、一生ものの知識を身につけるには、日常生活のなかで継続的に学び続けることが不可欠なのです。

株式会社スタディーハッカーが運営する英語のパーソナルジム『StudyHacker ENGLISH COMPANY』では、学習の習慣化をサポートしています。やる気やモチベーションに左右されることなく学習を継続できるよう、ひとりひとりの生活リズムを考慮したうえでトレーニングメニューをプランニングし、学習の習慣形成をサポートしています。

勉強している手元

目標を明確にして優先順位を決める

明確な目標を立てて、優先順位を決めたうえで行動することが大切です。優先順位が定まっていることで目の前のことに集中しやすくなり、スピーディーに対応できます。

目標を決める際、「◯月の試験に合格する」「◯◯の資格を取得する」などの長期目標のみでは不十分です。「長期の目標を達成するためには、具体的な目標(=短期目標)を設定する」必要があると学習・教育アドバイザーの伊藤敏雄氏は言います。同氏が進めるのは「1日単位でできる達成可能な」短期目標を設定すること。*31

たとえば、「TOEICで800点を取得する」という長期目標があるなら、一日あたりの短期目標は、TOEIC頻出単語を30個覚える、リスニング問題を15分間解く、文法問題を10問解く……といった具合。

目標を決めたら、優先順位を設定しましょう。優先順位を決める際におすすめなのが仕事でもよく使われるフレームワーク「マトリクス」を活用すること。重要・重要でない・緊急・緊急でないという4つの基準をもとに、タスクに優先順位をつけるメソッドです。

マトリクスの図解

(画像引用元:STUDY HACKER|「本当に頭のいい人」の3つの仕事習慣。稼げる人・稼げない人の分かれ道がここにあった

このマトリクスを使えば、たとえば「重要かつ緊急」な来週の模擬テスト対策を最優先する、次に「重要だが緊急ではない」毎日の短期目標に取り組む……など、効率的に時間を配分できます。友人に勉強会に誘われている場合は、「緊急だが重要ではない」ので、時間に余裕がある場合にのみ検討する、英語で洋画を視聴したいなら「重要でも緊急でもない」ので、リラックスしたい時間に適宜取り入れる……といった具合。

このように優先順位を明確にすることで、限られた学習時間を最大限に活用できます。また、緊急性の高いタスクに振り回されることなく、重要なタスクにも適切な時間を割くことができるでしょう。

株式会社スタディーハッカーが運営する英語のパーソナルジム『StudyHacker ENGLISH COMPANY』でも、目標に向かって無理なく英語学習をつづけられるように、受講生の課題に合わせて優先順位をつけて学習メニューを細かく決めています。

デスクに向かって勉強する女性

効率化を心掛ける

常に効率化や最適化の方法を模索して、最短距離でゴールに向かえるよう意識しましょう。スケジューリングには空白をつくり、勉強のための時間を確保することが重要です。また、どんなに多忙なときでも数分間のスキマ時間は必ず存在するはず。

5分間のスキマ時間ではこれをしよう、30分のスキマ時間ではあれをしよう……と、スキマ時間に合わせて勉強する内容を事前に設定しておきましょう。

株式会社スタディーハッカーでは、最短距離で英語力を上げるために効率重視のパーソナルコーチングを実施しています。

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まとめ

頭のよさは、一概に語れません。しかし、自らのもつ “賢さの要素” に気づいて大切にすれば、さらに知性的な人に近づけます

また、頭がいい人が取り入れている習慣を実践することで、仕事や勉強で理想的なパフォーマンスを発揮できるでしょう。今回紹介した方法を取り入れて、「頭のいい人」を目指してみてはいかがでしょうか。

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(参考)

*1 カギカッコ内引用元:e-ヘルスネット|知能指数 / IQ(ちのうしすう)
*2 カギカッコ内引用元:Schoo|EQの高い人の特徴とは? EQ(心の知能指数)を高める人材育成について解説
*3 カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|なぜ本当に頭のいい人の説明はわかりやすいのか…頭のいい人が無意識に使っている「魔法のフレーズ」
*4 参照:Make It|Harvard researcher says the most emotionally intelligent people have these 12 traits. Which do you have?
*5 カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|パックン×脳医学者が考える「賢い子」の条件
*6 カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|本当に頭のいい人はあえて「遅く考える」。下手に速く考えないほうがいい2つの理由
*7 カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|「空気を読まない人」ほど高く評価されるワケ
*8 参考元:学校法人産業能率大学 総合研究所|東北大学 川島隆太教授 インタビュー「読む&書く」からこそ学びは深くなる
*9 カギカッコ内引用元:東京大学 大学院総合文化研究科 相関基礎科学系 酒井研|科学者に聞く!読書は脳を創る
*10 カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|超デキる人の「スケジュールが白い」ワケ
*11 参考元:プレジデントオンライン|厚切りジェイソン「年収2000万の勉強法」
*12 引用元:日本経済新聞|斬新なアイデアの生み方 何をすればひらめくのか
*13~16 カギカッコ内引用元:同上
*17 参考元:Inc.|7 Powerful Reasons to Take Your Next Meeting for a Walk
*18 カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|本当に頭のいい人はあえて「遅く考える」。下手に速く考えないほうがいい2つの理由
*19 カギカッコ内引用元:同上
*20 引用元:プレジデントオンライン|「スマホのゲームより、外遊びをさせたほうがいい」世界的精神科医が"できすぎ"と思うほど表れる成長の違い
*21~23 カギカッコ内引用元:同上
*24 参照:Business Insider|How 19 highly successful people stay in shape
*25 参照:プレジデントオンライン|睡眠で脳内の"ゴミ"を掃除しないと認知症
*26 カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|「睡眠は8~10時間」プロ棋士&東大AI研究者の集中を維持する4つのコツ
*27 カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|「集中力の続かない人」は睡眠を軽視している
*28 カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|10分で賢くなれる! 現役東大生が実践する秘密の思考法ゲームとは
*29 カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|資格試験に受かる人があたりまえにやっている、勉強の「3つの基本動作」
*30 カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|優秀な人は日頃どんな「インプット」をしているのか? おろそかにしがちだからこそやれば差がつく
*31 カギカッコ内引用元:All About|勉強ができる人の目標の立て方・学習計画はココが違う!

【ライタープロフィール】
青野透子

大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
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    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
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