問題を解決できる人は○○を見ている。「視座が高い人」2つの特徴

望遠鏡で遠くを見据えている女性

「上司にもっと視座を高くしなさいと言われた」
「リーダーになりたいなら視座を高めることが大切だ、とビジネス書で読んだ。でも、どうすれば視座を高められるのだろう……」

視座を高める必要性はなんとなくわかっていても、実際に何をしたらいいのかわからない人は多いのではないでしょうか。

本記事で、そもそも視座が高いとはどういうことなのかを確認し、視座の高い人の特徴について知りましょう。視座を高める習慣の取り入れ方も、筆者の実践を交えながら紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

【ライタープロフィール】
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。

「視座を高める」とは?

そもそも、視座とはなんでしょうか? 小学館のデジタル大辞泉では、「物事を見る姿勢や立場」と説明されています。(カギカッコ内引用元:コトバンク|視座(しざ)とは?

視座が違えば、同じものを見ていてもその見え方は異なります。

たとえば、ナスカの地上絵は地上から見てみると、線が何本か確認できるだけ。ですが、セスナ機に乗って空から見れば、意味をもった絵として確認できます。つまり、物事をどこから見るかによって、見え方は大きく異なるわけです。

そんな視座を “高める” とは、いま自分が物事を見ている立場よりさらに上へと引き上げる行為です。仕事に当てはめるなら、いま自分が置かれているよりも上の立場(上司や役員、経営者など)で物事を見られる状態にすることだと言えるでしょう。これは、リーダーにとって重要な資質のはず。

多くの企業でリーダーシップ指導を行なうエグゼクティブ・コーチの林健太郎氏も、リーダーに必要なのは「仕事の全体像を見渡すことができる『視座』」であると述べています。そして、いいリーダーとは「周囲の協力を得られ、チームとしてひとつの仕事を成し遂げることにつながるような影響をまわりに与えられる人」だとのこと。(カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|できるリーダーは常に○○を見ている。「リーダーレベルの視座」あなたはもてていますか

視座を高め、仕事の全体像を見渡せるようになれば、さまざまな角度から物事を判断できるでしょう。自分の意見だけを押し通すのではなく、メンバーの意見を尊重しながら、円滑なコミュニケーションを行なうこともできるはず。結果、関係者の協力を得やすく、チームとしていい仕事ができるわけです。

遠くを見据えている男性

視座が高い人の特徴

視座が高い人は、仕事の仕方にどんな特徴があるのでしょう。視座が低い人との違いはどういった点なのでしょうか。

ポイントは、どこを見据えているかにあります。

企業研修プログラムを開発する株式会社プロジェクトデザイン代表取締役の福井信英氏は、以下のように述べています。

視座の高い人(例えば経営者)は、より遠く、例えば5~10年後を見据えて、今打たねばならない手を打ちます。それに対して視座の低い人(未成熟な多くの社員)は、今月なり今期なりの業績を達成するために手を打ちます。

(引用元:株式会社プロジェクトデザイン|:リーダー育成や管理職育成のときに話題に出てくる『視座の違い』について(ビジネスゲーム開発日誌 Vol.28)

つまり、視座の高い人は長期的なスパンで考えながら問題に対応し、視座の低い人は目の前で起きている問題にしか対処しないのです。どの時点を見据えるかが違うので、当然、成果を出すための思考や行動も大きく変わってきます。

また、視座の高い人は、多くの関係者に対しても目を配ります

福井氏いわく、「視座の高い人は自部門だけではなく、より多くの部門の動きを見据え、全体が最適になるような手を打ちます」。(カッコ内引用元:同上)

たとえば、販売部門で働く人が、商品が思うように売れないという問題に直面しているとしましょう。このとき、視座が低いか高いかで、考え方に次のような差が出ます。

  • 視座が低い人の考え
    「割引すればもっと売れるだろう」

  • 視座が高い人の考え
    「割引すれば売れるかもしれない。いや、商品の質が低いのかも。コンセプトが曖昧で顧客に良さが伝わっていない可能性もあるな。それともPRが不足しているのだろうか……」

視座が低く、自分が働く販売部門のことにしか目が向いていないと、「割引すればいい」という短絡的な対処法しか思いつかないもの。売れない原因が値段にあるかどうかわからない以上、単に割引するだけで根本的に解決できる可能性は低いでしょう。

一方、視座が高く、商品開発部門やマーケティング部門といった他部門の視点からも考えられる人は、いくつもの観点から客観的に仮説を立てることができます。そのため、最適な解決策に至れる可能性が高いのです。

まとめると、視座が高い人には

  • 長期的なスパンで考える
  • 多くの関係者に対して目を配る

という特徴があると言えます。

検討している女性

視座を高めるトレーニングをしてみた

ここからは、視座が高い人になるための、取り組みやすいトレーニング法を紹介しましょう。紙とペンを用意すると実践しやすいですよ。

参考にしたのは、『推論の技術』著者でマーケティングやビジネス思考などに詳しい羽田康祐氏がすすめる、二項対立による考え方です。二項対立で考えると、「見逃している『もう片方の視座』」に気づけるのだとか。(カギカッコ内引用元:Mission Driven Brand|視座とは|視座の意味とあなたの視座を養う5つの方法

この方法なら、自分や目の前のことしか考えられていない状態から視座を高める練習になりそうです。そこで、羽田氏が挙げている二項対立のなかから、今回は以下のふたつをピックアップします。

  • 「『俯瞰』と『ズーム』」
  • 「『売り手』と『買い手』」

(カギカッコ内引用元:同上)

それぞれ、筆者の仕事に当てはめて、以下のように考えてみました。

「俯瞰」と「ズーム」の視座

俯瞰とズームの視座の実践紙面

俯瞰とは、上から見下ろすような高い視座のこと。ズームとは、1か所にのみ焦点を絞るような低い視座のことです。(参考:同上)

筆者はマーケティングの仕事をするなかで、つい日々のタスクや広告キャンペーンの数値に集中してしまい、目の前の成果を追い求めるズーム的な考え方にとらわれて視座が低くなりがちでした。

しかし今回、俯瞰の視座で市場動向や競合他社の動きをふまえたうえで集客方法や予算に目を向けたところ、単に日々の成果を追求するのではなく、ブランド価値を長期的に育てることを考えられるようになりました。広い視野で市場を見渡すことで、自分のやっていることが全体のどの部分なのかを客観的に把握でき、長期的な目標に焦点を当てることができたのです。

「売り手」と「買い手」の視座

売り手と買い手の視座の実践紙面

いままでは、商品の販売について低い視座でしか物事を見られず、売上目標を達成することばかり考えていました。しかし、売り手として3C分析を活用し、競合の強み・弱みや市場の動向を深く理解することで、自社の強みを最大限に活かす戦略を立てられるように。また、買い手の視座に立つことで、なぜ顧客が自社商品を選ぶのか、どのようなベネフィットを求めているのかを把握するように努めました。

「売り手」と「買い手」の視座で考えることにより、短期的な利益だけでなく、顧客の本質的なニーズやブランド価値について考えられるようになったと感じます。

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視座を高めるためには、自分の立場や短期的な利益だけでなく、長期的な目標や他者の立場、ニーズに目を向けることが大切です。今回ご紹介した方法を取り入れることによって、問題に対してよりよい解決策を見出すことができるはずですよ。

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