勉強が得意な人の、学びに対する理想姿勢。効率よく勉強するには「素直さ」こそが大切だ

山口真由さん「勉強が得意な人の、学びに対する理想姿勢」01

東京大学を「法学部における成績優秀者」として総長賞を受け卒業し、財務省に勤務したのち、弁護士として活動。その後は、米ハーバード・ロー・スクールや東京大学博士課程で「家族法」について学ぶなど、努力し続けることでも知られる山口真由(やまぐち・まゆ)さん。

これまで学んできた「家族法」をベースに、自身の体験なども織り交ぜたエッセイ『「ふつうの家族」にさようなら』(KADOKAWA)も話題です。

まさに「学びのプロ」とも言える山口さんは、「素直さ」は勉強を重ね目標を達成していくための鍵になると語ります。

構成/岩川悟、辻本圭介 写真/塚原孝顕

【学びの格言1】勉強は手段

勉強は手段——

私は、いつもこのように考えて勉強を続けてきました。好きなことや興味のあることを探求していくような「自分のための学び」とは異なり、勉強は目的があることが前提となります。その目的に向かって、最短距離を着実に進むための手段が勉強なのです。

だからこそ、常に最小限の勉強で目標を達成できる方法を模索し、それを実践してきました。

ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは、「目的合理的行為」という概念を提唱しました。これはある結果を得るために、最適な手段をとることを指します。

これと対比されるのが、「価値合理的行為」という概念です。結果はどうであれ、自分の信条などに従って行動することを指します。

これらの概念で言うと、私は常に「目的合理的」に勉強を続けてきました。正直なところ、私は勉強があまり好きではありません。だからこそ、このように考えないと勉強を続けることができなかったのです。

私と同じように勉強を好きになれず、挫折しがちな人がいたら、「勉強は手段に過ぎない」と声を大にして伝えたい。

勉強を「目的合理的」にとらえたときに初めて、勉強の方法や戦略が変わります

いかに楽をして、最大の成果を挙げられるか

これが私の勉強に対しての考え方なのです。

【学びの格言2】勉強においては、与えられた課題を粛々と受け入れる「素直さ」も大切

勉強するときは、「続けること」「反復すること(復習すること)」が大切だとよく言われます。加えて私は、ある程度の「素直さ」も、勉強する姿勢として重要だと考えています。

勉強の過程で、「このゴールでいいのだろうか?」「この課題設定はおかしくないか?」と、疑いをもつことがあります。最近では、むしろ枠組み自体を疑うことが推奨されています。

ですが正直なところ、それがいいか悪いかはともかく、いわゆる「勉強」が得意な人たちというのは、たとえば試験のあり方そのものや、いまの社会のルールの根本をあまり疑いません。素直にルールに従ってまっすぐに成果を出しているのが実情です。

そもそも、「この試験のあり方はおかしいのでは?」「これを勉強する意味はなんだろう?」ということが気になるなら、むしろそこから、「自分のための学び」に入ったほうがいいでしょう。特に自分のための学びには、自分なりの問いを常に立てていく姿勢が必要です。

私はこれまで勉強する過程において、そんな感情に引っかかったことがほとんどありません。目標を達成するために必要な課題を、素直に粛々と受け入れたからこそ、コツコツと勉強を続けられたと自覚しています。

そうして勉強のレベルが上がっていくにしたがって、ある程度疑う力がついてくるし、それによって自分のための学びに近づいていく場合もあるのでしょう。

ただ、明確に設定したゴールに向かって行なう勉強の過程では、疑わずに素直に取り組むことが実際には効率的だと考えています。

【学びの格言3】自分の向上を評価できるマークをつくる

私にとって勉強は、ある程度強制的な要素によって、課題(目的)が設定されているものです。そのゴールに向かっていく手段(過程)が、勉強というわけです。

「自分のための学び」は少し違いますが、勉強はゴールがかなり明確で、また、たいていの場合ゴールにたどり着けば報酬が用意されています。

「その過程の勉強が苦しいんだけど……」という人もいるでしょう。

苦しい過程をやり抜くポイントは、少しでも自分の向上を見つけ出すことです。そのため、ぜひ「自分は前へ進んでいる」と評価できるマーキングをしてみてください。

私の場合は、書き続けて減ったボールペンやメモパッド、また指にできたペンだこなど、物理的に勉強量がわかるものを見ると「前へ進んでいる実感」をもてます。

やり方は人それぞれですが、努力の過程をうまく「見える化」すれば、進んでいる実感が得られ、その達成感はさらに進んでいくモチベーションになります

一方、論文に取り組むときは、「つまらなくてもいいから1日5ページ書く」と決めています。論文を書く作業は、質にこだわると時間がかかりがちで、「自分は前へ進んでいない……」と自己嫌悪に陥る場合が多いもの。向上している実感を得るために、私の場合は量を基準としています。とにかく文字を積み重ねていくわけです。

このように自分の向上を評価できるマークをうまく設定できれば、勉強や学びはきっと楽になっていくと思います。

山口真由さん「勉強が得意な人の、学びに対する理想姿勢」02

【学びの格言4】努力とは「自分との約束を守り続けること」

努力とは、「自分との約束を守り続けること」だと私は思っています。

だからこそ、努力し続けることは難しい。一度自分との約束を破ってしまえば、もう歯止めが効きません。次の約束も「まあいいか」とずるずる流されていくことは目に見えています。そのうち、はなから破るつもりで自分と約束するようになり、そんな自分に期待できなくなります。

仕事でも勉強でも、よく「自信をもて」と言われますよね。じつは、揺るぎない自信というのは、自分との約束を守り続けることで育まれます。「約束を守った」「さあ次の約束だ!」。この繰り返しから、強い自信が生まれるわけです。

ただし、ここでひとつ注意点があります。それは、無理な約束はしないこと。

よく「1年で英語をマスターする!」「今年は年収を倍増させる!」などと張りきって取り組む人がいますが、現実的ではない目標を立てている時点で、それは「やる気の表れ」ではなく、「破るつもりの約束」です。

「破るつもりの約束」をする人は、自分を信じていない人です。「あなた(自分)にはどうせ守れない」と自らを軽んじて、「やっぱり守れなかった」と自分に失望する——。そのように、自分で自分を見捨ててはいけません。 

自分と約束するときのコツは、「自分が守れる約束」をすることです。「あなたならできる!」と自分に期待し、「よく頑張った!」と自分をほめてあげられる。そんな約束をしましょう。

「自分が守れる約束」をしっかりと守り続ければ、あなたは次第に成功へと近づいていきます。守れば守るほど、約束を守り続けることが自分のなかで固い決意になっていきます。

そして、そういう自分を誇りに思う気持ちが、揺るぎない自信となっていくでしょう。

※今コラムは、『人生の武器になる「超」勉強力』(プレジデント社)をアレンジしたものです。

【『人生の武器になる「超」勉強力』より ほかの記事はこちら】
「勉強し続ける人」だけが得る力。「全然勉強しない人」は生まれもった素質でしか勝負できない
勉強能力を最短距離で上げる方法。「努力そのもの」を楽しむと、成績は落ちていく

人生の武器になる「超」勉強力
齋藤孝・中野信子・山口真由 著
プレジデント社(2021)

齋藤孝さん・中野信子さん・山口真由さん『人生の武器になる「超」勉強力』

【プロフィール】
山口真由(やまぐち・まゆ)
信州大学特任准教授。1983年、北海道に生まれる。東京大学を「法学部における成績優秀者」として総長賞を受け卒業。卒業後は財務省に入省し、2008年に退官。その後、2015年まで弁護士として主に企業法務を担当する。同年、ハーバード・ロー・スクールに留学し2016年修了。2017年、ニューヨーク州弁護士登録。帰国後は東京大学大学院法学政治学研究科博士課程に進み、日米の家族法を研究。2020年、博士課程修了。法学博士。同年、信州大学特任准教授に就任。著書には、『東大首席が教える超速「7回読み」勉強法』(PHP研究所)、『高学歴エリート女はダメですか』(幻冬舎)、『「ふつうの家族」にさようなら』(KADOKAWA)などがある。

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