そのスキル、ほかの仕事でも活かせますか? 「ポータブルスキル」がないと仕事と選択肢が減ってしまう

ポータブルスキルとは1

みなさんは、仕事で身につけておくべきスキルが世の中の平均レベルに達していると自信をもって言えますか? 「自分のスキルがほかの場所でも通用するか心配……」と思っている人もいるかもしれませんね。

今回は、最低限身につけておかないと将来担える仕事の選択肢が減ってしまうであろう「ポータブルスキル」を詳しく取り上げます。

「ポータブルスキル」とは?

グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長の村尾佳子氏によれば、ポータブルスキルとは「どこの会社や部署であっても活かせるような、持ち運びできるスキル全般」を指しているとのこと。たとえば、次のようなスキルが挙げられます。

  • クリティカル・シンキング
  • コミュニケーション力
  • 仮説構築力
  • プレゼンテーションスキル

ほかにもたくさんありますが、ポータブルスキルとして挙げられるスキルのなかには、このように社会人が身につけるべき基本的なものが多く含まれます。とはいえ、絶対に軽視してはいけません。単に「知っている」で終わらせるのではなく、ビジネスの現場でいつでも発揮できるようにしておかないと、将来、苦労することになるかもしれないのです。

ポータブルスキルとは2

「ポータブルスキル」をもっていないと仕事の選択肢が減ってしまう理由

グロービス経営大学院で「クリティカル・シンキング」の科目を担当する中村直太氏によれば、環境の変化が激しく将来の見通しが立ちにくい今後の時代を考えると、どんな環境に置かれても成果を出せる力が必要になるとのこと。

たとえば、企画職に就いている自分を想像してみてください。ポータブルスキルのひとつである「クリティカル・シンキング」ができなければ、「解決すべき問いはこれがベストなのか?」「ターゲットに対して訴求力のある打ち手なのか?」などを考え抜いて企画することはできません。同様に、「プレゼンテーションスキル」がなければ、会議などで企画内容を効果的に説明することはできないでしょう。企画内容や説明方法がまずければ、職場での評価に大きく関わります。

このようなケースは企画職に限らず、すべてのビジネスパーソンにあてはまることではないでしょうか。特定の業種や職種、時代背景にとらわれず、重宝されるのもポータブルスキルの特徴です。ポータブルスキルを日頃から磨いておき、十分なレベルでビジネスの現場で発揮できるようにしていれば、仕事の選択肢もひろがるというわけです。

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「ポータブルスキル」を自分のものにする方法

では、私たちはどうすればポータブルスキルを磨くことができるのでしょうか。具体的なステップをご紹介します。

【ステップ1】自分の立ち位置を把握する

前出の村尾氏によれば、ポータブルスキルは相対比較で決まってくるそう。自社内だけではなく、社外の同世代の人などとも比較して、自分のポータブルスキルがどれくらい通用するものなのかを把握する必要があると伝えています。

たとえば、取引先の人と打ち合わせをする際、「あの人は自分よりもコミュニケーション力が高い」と感じる機会があるかもしれません。そのとき、「自分は話が下手だから……」だけで済ませてしまうのではなく、「相手の反応をきちんと見ながら話せているか」「自分の伝えたいことを論理的に話せているか」など、どのレベルでコミュニケーション力が身についているかを冷静に分析する必要があります。そうすることで、自分がもっているスキルのレベルや今後の目標を見定めることができるのです。

【ステップ2】身につけたいスキルの優先順位を決める

前出の中村氏は、「何をどのような順番で学べば仕事での成果につながり、さらにビジネスパーソンとしての価値をも最大化できるのかを考えて行動するべきだ」と指摘します。

たとえば、いきなりプレゼンテーションスキルを高めようとしても、クリティカル・シンキングが身についていなければ、相手を納得させる内容を構築し、説明することはきっとできないでしょう。このように、ポータブルスキルが必要な場面では、いくつかのスキルを複合して発揮しなければならないことが多くあります

個々のスキルについて、どれを優先的に身につければ仕事の場面で効果的に活かせるかを注意深く考えるようにしてみてください。そうすれば、自分のポータブルスキルとその価値を効率的に高めていくことができるはずです。

【ステップ3】アウトプットの場を設ける

さらに、中村氏は「わかる」と「できる」のギャップを埋める必要があると伝えています。書籍などを利用して知識を吸収し、ポータブルスキルを身につけたと思っていても、それが本当に身についているかどうかは、実際に仕事でアウトプットしてみなければわかりませんよね。

たとえば、プレゼンテーションを行なう場面で、聞き手の関心事につながる情報がしっかり伝わるプレゼンテーションができたかどうかは、実際にやってみなければ判断できないでしょう。

あらかじめ自分でチェック項目をつくっておいて、あとから確認するのでもかまいませんし、聞き手となってくれた人に自分のプレゼンテーションはどうだったか感想やフィードバックをもらうのでもよいでしょう。そうして、足りなかった部分についてまたインプットとアウトプットを繰り返せば、ポータブルスキルとして自分のものにできるはずです。

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ポータブルスキルのなかには、基本的なスキルでありながら意外と疎かにされがちなものも多くあります。みなさんも、自分が身につけたいポータブルスキルについて、お伝えしたステップをぜひ実践してみてください。

監修:グロービス経営大学院

(参考)
グロービス経営大学院(2014), 『グロービス流 ビジネス基礎力』, 東洋経済新報社
GLOBIS CAREER NOTE |将来の選択肢を広げる「ポータブルスキル」とは?
GLOBIS 知見録 PICK UP|「代替されない人材」になるには、どうしたらいい? 「経験を“どんな環境でも活かせるスキル”に変える」ポータブルスキルとは?

【ライタープロフィール】
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